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大好きだった11月
11月。一番好きだった暦。
冬との変わり目でどっちつかずの天気と気温。
花粉や寒さを気にせず歩ける夜。
社会は年の暮れに向けて歩き出し、特に大きなイベントもなく、なんかなあなあと過ごし、相手にされていないような時間。
一年の内で一番影が薄いと感じるこの季節が本当に生きるのに心地よい。
そして何より僕の生きる意味だった人たちが大切にしてた月でもあったから。
そんな思い出をくれた11月。
手帳を遡ると2年前の今日NICO Touches the Wallsのライブに行っていたようだ。
記憶が正しければNXAツアーのファイナルだったと思う。場所は幕張メッセイベントホールかな?
元々仲の良い友人Nと一緒に行った。Nは金沢から、僕は長野から。車も無く、金もないからできるだけ安く済むように選んで公共交通機関を使って移動した。幕張に着く頃にはヘロヘロだった。
ツアー自体は新潟公演の時に参加したので(もちろんボロ泣きしたけど)まあセトリを頻繁に変えるバンドでもないし、とりあえずセトリにはそんなに期待もせずファイナルだし、また聴けるなら!といったくらいの気持ちで向かったのが正直なところ。今ではそのテンションで行ったのが逆に良かったと思ってる。
ツアーの途中でミステリーゾーンと名付けられた計40分にも及ぶ今までのNICOの曲を用いた人力マッシュアップという常人には到底思いつかないイカれた(褒め言葉)セットが組まれていたからだ。
多彩なアレンジに目まぐるしく変わる曲調。一体何曲混ぜた?と分からなくなるくらいNICOの今までの曲たち、もっといえば紡がれてきたバンドの道が折り重なりぶつけられた。言葉も出ない圧巻のパフォーマンス。おそらくあの瞬間を超える体験は今後そうはないと思う。
途中でやった『プレイヤ』という曲。初期も初期の歌なんだけど、めちゃくちゃカッコいい。
〈ひたすら前向くしかなかった あなたの足跡は 幾たびも迷って躓きながら続いてく〉
当時だんだんと就活を考えなければいけない時期の僕には強く刺さった。迷っていい。躓いたっていい。そう背中を押してもらえた気がした。
一生忘れることのない時間。そんな日を思い出したのでちょっと書いてみた。こんな時間がまた経験できたらいいな。