「コンセプトを持つ。」
俺は昔、某観光地域の某旅館に住み込みでバイトをしたことがある。
そこでバイトをして感じたことはコンセプトの重要性だ。
それを感じた理由は働いた俺と利用したお客さんとで旅館に対する評価が違ったからだ。
もっというと、
働いていた俺としてはハッキリ言ってこの旅館は微妙だなと思っていたんだけど、利用したお客さんの評価は高かったんだよね。
俺が担当したのはホールで料理の配膳が主な仕事。
料理は美味しいものがあるし見栄えも良いからお客さんが喜んでくれて高い評価をもらうことには納得がいく。
ただ、やっぱり旅館全体の評価は微妙だなと思うんだよね。
なぜなら、旅館自体は結構年季が入っていて故障やトラブルが多いし部屋も特別良いものとは思えなかったからだ。(HP等で見る写真は本当に上手く撮れている。笑)
料理以外にも旅館の評価を決める要素があるにも関わらず、お客さんの全体評価は高かったんだよね。
ただ、旅行慣れしているお客さんからの評価は低かった。
つまり、色々と見極められていたんだ。
観光として来るお客さんと仕事でくる俺とでは見る視点が変わるのも、
お客さんが知れないところを知ることができそれで評価が変わるのも、
確かに当然かもしれないしそれがマイナスなことだったら尚更だ。
お客さんと従業員とで旅館の評価が変わることは案外旅館バイトあるあるなのかもしれないが、俺はそこに違和感を感じていた。
それにお客さんの質の良さも気になっていた。
(もちろん、とんでもない人も来ることはあったけど。笑)
基本的に来るお客さんは男女二人で大学生が集団で泊まりにきて夜通し騒ぐことなんて一度もなかった。
子供を連れて3,4人で来るお客さんもいたけど、静かにしっかり座って自分で食べれる子ばかりだったからうるさくなることは無かった。
(別に旅館は幼児NGを出してはいない。)
じゃあ、なんであの旅館の全体評価が高くお客さんの質が良いかというとコンセプトが良いからだ。
その旅館の売りにしているコンセプトは「大人がひっそりと休める」だった。(もっと具体的に言えるけど伏せる。)
そのコンセプトにしているから食事中も静かに過ごしてくれる。
恐らくHP等でこの旅館を知りコンセプトを感じ取れば幼児がいる家族は来ないんじゃないかと思う。
旅行といっても旅館が観光客でガヤガヤしていたら嫌だと思っている人たちはこのコンセプトに惹かれて来る。
旅館はそのコンセプトに沿った雰囲気を創っていれば、お客さんは勝手に味わってくれる。
旅行という非日常を味わうだけでも楽しいのにコンセプトも非日常を味わえるものなら自然と評価は高くなるわけだ。
ほんと、「大人がひっそりと休める」というコンセプトは上手いなと思った。
もちろんあの旅館に良い所はあるけど、コンセプトでかなり助けられている。
というか、コンセプトのおかげで勝てていると言っても良い。
それくらいコンセプトってめちゃくちゃ大事なんだよね。
なんでコンセプトが重要かというと、それが決まればやるべきことも決まってくるからだ。
コンセプトが創れれば、それに沿って旅館の内装やHPだって創れるんだ。
良いコンセプトでそれができれば自然と人は集まってくる。
これは個人の活動や人生レベルでも活用できる。
つまり、自分自身のコンセプトを決めればやるべきことは見えてくるということだ。
一々目標とか夢とかいらないんだよね。
ただ一生レベルでのコンセプトは難しいと思うから、一年毎のテーマとか年代毎にモットーを決めるなんかでもいい。
例えば、
俺は20代は「テキトーにフラつく」ことがモットーで今年のテーマは「実験」だ。
そう決めるだけでなにか迷ったときも決断できるような生きる道標になる。
そして、今やるべきことが見えてくるんだ。