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鯛のお頭祭り

イタリアで魚は高級品!?


イタリアでは、肉より魚が高い!だから肉料理をよく食べる。
肉料理は、鶏肉二人前約400円で済ますことができるのに対し、
魚料理は、鮭二切れで二人前約700円はするほど、
だから魚は、週末やパーティ、また外食など、ここぞという時に食べる傾向がある。半径5mの話だから、一般的にどうかの統計はない。

新鮮な魚が手に入るのは、港町ならでは。海がそばにあること、海の幸をすぐに味わえることは、私の人生で欠かせない。かつて、留学でフィレンツェに住んでいた頃は、街のメインである、アルノ川を見ただけでは、フル充電できなかった。また、魚介も冷凍の生食を料理していたので、味は落ちるが仕方なくそれを手に取るしかなかった。


港町で、魚を買いに行く場所は、中央市場。夫の知り合いのお兄さんのところへいくのかだが、ここ一年、日本人の友だちと行く時は、なぜかいつも呼び止められるおじさんのところで買う。「今日は太刀魚があるから、持って帰って!」とタダで渡される。「魚のサービスしておくからね!」と、知り合いでもないのに、なぜか大盤振る舞いしてくる。さらに料理の仕方まで教えてくれる。だが、そのレシピは大体同じで、ネギをオイルで炒めて、魚を入れて塩胡椒で焼くだけ。白ワインとトマトは忘れずに!簡単そうだけど、材料のバランスが肝になる。だからイタリアンは奥深い。

生の他に、魚介の冷凍専門店がある。ここでは、養殖ではない鯛の半身、メルルーサ一尾、大きな海老、魚介ミックスなどを買って、いざという時に食卓を彩る救世主となる。


日本食レストラン勤務の醍醐味


sushiレストランで働き出して四年が過ぎた。なにが嬉しいって、食材や食べたい日本の料理が身近にあることだろう。醤油が無くなればくれるし、傷みそうな食材を処理してと食べることもある。特にいくらは、ご褒美だ。穴子も稀だから良い。生魚は誰も食べないので独占状態。注文を間違えたりしたら、食べ過ぎになる。こんなもんだから、お店から離れられないのかもしれない。

寿司用の魚は丸ごとやってくる

我がレストランの寿司ネタは、お店で捌いている。サーモンは丸々太ったのが約10尾ほど、二日おきに入って来くる。それを、三枚に分け冷凍処理をする。イタリアでは、魚を獲れたての生では提供できない。アニサキスの菌を筆頭に人体に危険ウィルスなどを殺菌しなければならない。マグロは解体した後のものがはいってくる。鯛はというと、実は赤くめでたいものではなく黒鯛を扱っている。


今回は、オーナーに、「黒鯛の頭がほしい!」と申し出た。
かつて私は、本格日本料理店でバイトをしていた。あの時のまかないで、新鮮な魚の味を学んだ。鯛の旨さの基準はあそこにあるので、かなり厳しいジャッジをしていることだろう。あと、鯛のかま焼き、あら炊き、あらの汁物など、体ではなくお頭という粋な味わい方も教わった。あれから20年…

捨てられていくお店の鯛のお頭を見ていると、つい「ほしい」と願い出た。もちろん、すんなり渡してくれるのだが、一つや二つではなく4つも。小さいからちょうどいいんだけれど、合わせてお腹の脂肪がついた部分も入れてくれた。

半分をあら炊きにし、煮付けの醤油と生姜の食い合わせを満喫した。そしてもう半分は鯛汁にし、骨の髄まで味わった。。。

こうやって書くのは簡単だが、意外にも下処理に手間がかかった。血の部分を丁寧にのけたり、鱗を全てとるつもりで徹底した。臭みや口当たりの悪さは、料理を台無しにする。

そんな手間をかけて、手に臭いが移っても、臭いゴミが出ようとも、鯛を味わっていきたい。この美味さ、イタリア人にわかるのかなぁ〜。頭だけを食べる料理って。よくよく考えたら、不思議な料理だ。

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