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【完結】『青い封筒の約束⑤』~Tax return Story~


青い封筒の約束

冷たい風が吹く中、白井税子(しらいせいこ)はオフィスを出て心を弾ませていた。「税金の勉強は、コスパ最強」と池松税理士に改めて背中を押され、自分の未来に大きな可能性を感じ始めていた。

アクセサリー作りという趣味から始まったオンライン販売は予想を超える成長を見せていた。税子の手作りアクセサリーは、その繊細さと温かさが評判となり、青い封筒に包まれて届くその瞬間もまた特別だと感じられていた。「幸せの青い封筒」と呼ばれるようになったのは、自然な流れだった。

途中報告の相談

税子はアクセサリー販売の売上と経費をきちんと整理し、池松税理士に改めて相談を持ちかけた。

「池松先生、今期の途中報告ですが、こちらが収入と支出のまとめです。少しずつですが、思った以上に売上が伸びてきました。」

池松税理士は報告書を受け取り、真剣な表情で内容を確認する。

「素晴らしいですね、税子さん。これだけの成果が出ているなら、次のステップを考えても良い時期かもしれません。」

「次のステップ…ですか?」

池松税理士は頷き、税金のシミュレーション結果を示した。

「実は、所得がここまで増えると、個人事業主のままだと税負担が重くなります。一方で、法人化すれば節税効果が期待できます。ご興味はありますか?」

法人化を考える

税子は少し驚きつつも、池松税理士の説明に耳を傾けた。

「法人化、つまり会社を設立するということですね。でも、具体的には何を考えればいいのでしょうか?」

「そうですね。大きく分けて三つのポイントがあります。」

  1. 代表取締役の肩書が必要か? 「不動産関係や特定の業種では肩書が重要になることがありますが、税子さんのようなオンライン販売では特に必要ありません。」

  2. 社会保険への加入を希望するか? 「税子さんは、サラリーマンなので、既に社会保険に加入しています。こちらも特に考える必要はないですね。」

  3. 税金が安くなるか? 「所得が400万円を超える場合、法人化した方が税負担が軽くなる傾向があります。今回のシミュレーションでは、法人化した方が有利という結果が出ています。」

税子は納得しつつも、まだ実感が湧かないような表情を浮かべた。

「法人化すると、私も会社の代表になるということですよね…?」

「その通りです。会社名や事業内容、これからの目標をどうしたいか、一緒に考えていきましょう。」

新たなスタート

その夜、税子は机に向かい、新しい会社の名前について考えた。アクセサリーを青い封筒に包んで届けることには、自分自身の気持ちがたくさん込められている。アクセサリーを手にしたお客様が、少しでも幸せになれたらという願い――その思いが自然と答えを導いた。

「株式会社 青い封筒(Blue Envelope)」

シンプルだけれど、税子の想いそのものを表す名前だった。翌朝、税子は池松税理士にこの名前を伝え、法人設立の手続きを進めることを決意した。

幸せの青い封筒

法人設立後も、税子のアクセサリー販売はさらに成長を続けた。「青い封筒」が届くたびにお客様からは「これをつけると不思議と幸せな気分になる」という声が増えた。

税子は自分の努力が形になり、誰かの幸せに繋がることを心から嬉しく思った。そして、税金や投資の勉強を続けることが、自分の未来だけでなく社会全体を明るくする力になると信じていた。

「青い封筒の約束は、これからも続いていく。」

税子はそう心に誓い、次なる挑戦に向けて歩き出した




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池松孝一郎/予祝占い師/予祝税理士/イクメンドクター
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