個人投資家・覆面座談会―IRnoteマガジン参加社から読み解く(後篇)
このnoteは、主に「IR noteマガジン参加企業の方々」と「これからIR noteマガジンを始めようと考えている企業の方」に向けて書いたものですが、IR業界に携わる全ての方々にとって有益な内容となってます。
はじめての試みなので、至らぬ点もあると思いますが、「よりよいIRの世界」を目指す想いから生まれた企画なので、温かい目で読んで頂けたら幸いです。
後篇は、経緯やノウハウが中心ですが、この覆面座談会は、単に個人投資家の方々の意見を集約したものではありません。きっかけは、1月のIR大新年会からはじまります。「情報発信」であるはずのIR note が「情報開示」の延長線上に書かれているところに違和感を感じたのです。
というわけで、IR noteマガジン参加社の全サイトを読みました。そのためには必要な筋力とスキルが必要になります。そこから得た知見を覆面座談会の進行・モデレーションに注ぎました。ご参加いただいた個人投資家の皆さまのご協力に感謝します。その情報を皆さまと共有できたら嬉しいです。8,000字ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
前編は ⇒ コチラ
―1:「なぜ覆面座談会なのか?」はnoteから始まった
情報発信量(アウトプット)が多い方は、インプットである読書量が多い傾向があります。体験的な確信によれば、インプットとアウトプットの両方が多い方は「知の体系化」が進んでいるので実際にお会いしてコミュニケーションがスムーズです。文章を書かないヒトには「その違い」が理解できません。
リンクスリサーチ・小野社長の出会いはnoteから始まりました。IR界隈で名前を出して情報アウトプットしている方は少数です。殆どが匿名評論文章が大量に出回っています。note継続的にアウトプットされていたのが、小野社長でした。
noteから始まる出会いは、他の出会いより安心で安全である確率が高いのです。noteが優れている点は「文章力から理解るコミュニケーション能力」なのかもしれません。
ただしコレは全てに当てはまるわけではありません。中には嘘や盛ってるヒトもいるからです。その事例として「面白い文章を書くヒトほど実際に会ってみると違う」というのが挙げられます。しかし書いてる本数が多い場合はその違いを見抜くことができるのです。
―2:「おまえ何者?」池松のnote経歴について
私の成業はコミュニケーションデザインであり、スタートアップCEOの壁打ち相手です。その他にWeb婦人公論にときどきコラムを書いたり、小説を書いています。noteを書いて7年になります。
2018年〜2019年頃は、noteクリエイターの活動が最も盛り上がった最初の時期で全国でワークショップや講演を年間50本以上開催していました。noteピンバッチ(番号:006)を頂いたのもこの時期です。
「note酒場」や、CXOの深津さんがいらっしゃった「非公式noteオフ会」その当時の様子は下記にまとまっています。
「note10周年 と私たち」をご覧頂ければ、何者でもなくインフレンサーでもない私が「何故noteにこだわるのか?」感じて頂けるかもしれません。
―3:上手なIR noteの書き方について
「情報開示」と「情報発信」のちがいと具体的なノウハウ
「個人投資家・覆面座談会―IRnoteマガジン参加社から読み解いた3つのポイント(前編)」を書いて「自社のIR noteへアドバイスをもらえないか?」というお問い合わせを数多く頂きました。ありがとうございます。
そのような情報はnoteで公開・共有した方が良いと思いましたので「note利用初心者の方へ」役立つノウハウをシェアできればと思います。
そもそもの前提①:「情報開示」と「情報発信」のちがいを明確にする
「情報開示」と「情報発信」は役割が違い、両者は補完関係にあります。
そもそもの前提②「IR情報の種類が増加」した
「紙とPDFだけの時代」と「youtubeとnoteがある時代」は情報量が違います。情報大洪水の時代です。素早く的確に伝わる「情報の要約力」に加えて「他にはない情報」が求められているのではないでしょうか。
ダメな事例と良い事例のちがい①:そもそも「編集」の概念が無い
ダメな事例に共通する傾向として、読み手を意識したコンテンツになっておらず、情報が整理されてない、誰に何を伝えたいのか不鮮明です。良い事例は、読んで欲しいターゲットが明確です。読み手である投資家がどのような情報を望んでいるか?明確なのだと思います。
例えば、企業はPLを重視して開示しているのに対して、投資家は資本効率を重要視しています。その違いが理解されていない情報開示が多い。
企業はPLを重視して開示しているのに対し、投資家は資本効率を重要視している。その違いが理解されていない情報開示が多い。
そもそも「情報開示」に齟齬のあるのに「情報発信」でそのギャップは埋められるのでしょうか?そこに、IR活動の難しさが垣間見えます。
答)①:編集力をつける方法
多くのヒトは「答え」を求めて「答えだけをパクる」ヒトが多いのですが、果たしてそれで読まれるnoteが書けるでしょうか?それは「痩せたいけど、痩せれないヒト」に思考様式が似ていると思います。
そのために重要なのは「編集概念とスキルを持った仲間」を作ることから始まります。しかし編集力を一日で作れるわけがありません。ハックできないのです。
例えて言うなら、パリの高級ブランド店へ行く状況をイメージしてください。編集概念さえ無いあなたは、「超カッコいい服を買いに行くために、その店に行く相応しい服がない状態」に似ています。その状態を脱するための最初の一歩だと思って読んで頂ければ幸いです。
ダメな事例と良い事例のちがい②:業務で致し方なく最小エネルギーでやってる
IR noteマガジンで最も多いパターンがコレです。読み手の解像度が低い。情報発信の量(蓄積)が少ない。業務としてやってるので、省力化のかたまりになっているコンテンツです。具体的には単なるコピペ情報の場合です。
そのnoteを読んだ投資家がどう思うでしょう。「耳の痛い指摘」ほど誰も言いません。「その情報は誰のため?」なのでしょうか。
答)人手不足・時間不足を補う方法
ダメな事例と良い事例のちがい③:そもそもnoteなどSNS情報発信に不慣れ
「文章を読むヒト(情報消費者)と、文章を書くヒト(情報発信者)は似ていて非なるもの」です。
「若いからSNSとか使ってるでしょ。やってよ」
「SNSは誰でも使えるもの」だと思いこんでいる場合が多いと思いますが、これが現場の悲劇を生み出していることを日経新聞は書いてはくれません。
全IR noteマガジン参加社を読み込んで感じたことの一つに、孤軍奮闘しているIR担当者が多いことでした。
答)SNS情報発信に不慣れを卒業する方法
自分一人のスキルで不慣れを克服するのはハードルがあります。まずは似たような状況で悩んでいるnoteから仲間を探して横のつながりを作ってみましょう。
―4:法人note「人材採用note」と「IR note」のちがいから学べること
note株式会社では「法人note勉強会」が開催されています。先日私も参加しました。法人note利用の基礎が学べます。
法人noteの利用ケースとして代表的なケースに「人材採用に活かすnote」があります。「IR noteとの違い」を表にしてみました。分かりやすいように「個人note」を入れた3種類のnoteを比較してみました。
法人noteコンテンツには、編集のヒントが沢山眠っています。越境して「法人note仲間」と仲良くなることをオススメします。
「note pro運営チームが読んで、note proを利用する方へおすすめしたいと思った、すてきな法人noteを集めたマガジン」があります。notePRO(8万円/月・税別)の利用事例集ですが、IR noteにも役立つ視点や情報が沢山あります。もちろん読むのは無料です。
その他に、note pro公式アカウントには「法人note同士のコラボの仕方」など色々な工夫の事例もあります。参考になるのではないでしょうか。
―5:その情報は誰のため?
そもそもIR活動は「企業価値や株式市場を意識する経営者」の理解度にかかっています。しかし実際には「資金調達」や「M&A」など具体的な経営課題が生じなければ「経営者が企業価値や株式市場を意識すること」は少ないのではないでしょうか。だからなんのために情報発信するのか?
その情報は誰のため?
誰でも情報発信できるようになった時代だからこそ、大事なのは「対話のための情報発信」ではないでしょうか。
「出来高を高めたい」「潜在株主に認知をしてもらいたい」IR現場の課題は色々あります。「時間がない、人手が足りない、予算がない」というのもあるでしょう。
で。「対話は誰とするの?」
で。。「企業価値を高めるって誰のため?」
株主のため?利害関係者のため?経営者によって様々な見解があるでしょう。そこでグルグルまわる。現場のシゴトはしなきゃならない。ではどうするか?
皆さんに問いかけたいのは「むかしからこの国は空気に弱い」ってことです。だから「空気を変えること」が突破口なのではないでしょうか。
当局が言うから。機関投資家が言うから。きっかけは色々あるでしょう。その状況を前向きに「空気を醸すこと」から始めるのは一つの手だと思うのです。
情報発信には「空気を醸し、生み出し、変えるチカラ」があります。
そんなカンタンではないよね。という声が聞こえそうです。確かにその通りでしょう。理解されない場合は「お前ナニ言ってんだ」状態かと思いますが、ココまでで8,000字。大きな仕組みの問題だからこそ個人単位でも出来ることから考えたいと思います。
ここまで貴重なお時間を割いて読んで頂いた奇特な方に感謝して「後篇」を終えたいと思います。ありがとうございました。
この続きとして、「株式発行している事業者」「機関投資家」「個人投資家」「金融機関」「IR支援企業」の方々が、フラットでオープンに出会え、満足を持ちかえれる「ミートアップ的なる新しいタイプのイベント」を、6月中旬~下旬を目指して準備中です。ご興味のある方、ご協力頂ける方は、XのDMなどでご連絡ください。皆さんと一緒に盛り上げていければと思います。
IR noteマガジン 参加社一覧(2024年4月時点・順不同)
株式会社 Figurout/フィギュラウトは、企業価値に関わるデータを可視化するIRをDXするSaas「Hooolders Analytics」で、IRnoteマガジンを応援しています。
▼IR noteマガジン 参加社noteご紹介
※2024年4月時点
◆IR noteマガジン未参加の注目IR note
◆ここまで読んで頂いた方へ
貴重なお時間を割いて読んで頂きありがとうございます。このnoteに書ききれない情報が沢山あります。6月中〜下旬開催準備中のイベントにご興味のある方、一緒にやりたい方はXのDMへご連絡ください。新しい共有知がシェアできれば幸いです。