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情報開示と情報発信はちがう

そもそも私は広告マンでしたが、もともと証券業の血筋です。株屋の血筋と言ったほうがいいかもしれません。父は最後は大手証券会社・子会社の役員でしたし、祖父は証券会社を経営していました。幼少の頃から兜町の証券会館のレストランへランチに連れていかれ、株屋の背中を見て育ちました。わたしはそんな2人を見て「株屋ってクソだな」と思って育ったのも事実です。以来マネーゲームで儲けたいオーラを出してるヒトに嫌悪感があります。美意識の問題ですので、コレばかりはしかたがない。というわけで社会にでた時は、広告の世界に飛び込んでました。

そんな私が、縁あって株式会社Figurout中のひとになった経緯はこのnoteに書いたので割愛しますが、株とコミュニケーションが重なり合う世界とも言えるIR界隈に関わることになるとは誰が想像していたでしょう。人生は偶然と突然に囲まれている。面白いですね。

そんな経緯から、1/25に開催されたIR大新年会に、FiguroutのCEO・中村が登壇するので、現場のお手伝いに行ったのですが、そこで気がついたことをこの機会に書き残しておこうと思います。僕的にはマニアックで超ニッチな話しですが、ご興味のある方はお付き合いください。

池松潤(いけまつ・じゅん)
コミュニケーションデザイン / 株式会社Figurout中のひと/文筆家
慶應義塾大学卒・大手広告代理店を経てスタートアップの若手との世代間常識を埋める現役57歳。ときどき婦人公論コラムなど⇒ https://lit.link/junikematsu




IRってナニ?って方に前説明すると「Investor Relations」です。
新聞とかの話題に出る「Integrated Resort」カジノなど大規模リゾートのことではありません。

IRとは・・・
上場企業が株主や投資家に対して、財務状況など投資の判断に必要な情報を提供する活動全般です。最近では、株主や投資家だけでなく、顧客や地域社会に対しても経営方針や活動を伝えることもIR活動の一つになっています。会社は、IR活動を通じて株主・投資家・顧客と意見交換して、お互いの理解を深め、信頼関係を構築し、資本市場で正しい評価を得ることができます。逆に外部からの厳しい評価を受けることで経営の質を高めることも可能になります。

ココまで読んて頂いた方へ・・・
のっけからツマラナイですね。すいません、そうです、そうなんです。IRとは基本的に情報開示が基本スタンスな活動なのです。ではそれをnote愛を持って、ひも解いていきますので、少々お付き合いください。

5年くらい前に頂いたnoteバッチ#006番


なぜIR文章はつまんないのか?

若い世代の方は知る由もないでしょうけど、長年に渡って含み損を隠したり違法行為の数々が、バブルがはじけて遂に隠しきれなくなった山一證券という4大・証券会社の一社があります。最後は大蔵省に見放されて免許返上だってことで「自主廃業」したのは1997年のこと。社長が「社員は悪くありませんから!」と大泣きした記者会見なら知ってる方もいらっしゃるでしょう。

「社員は悪くありませんから!」山一証券・野沢社長の予期せぬ号泣を引き出して。文春オンライン「私が令和に語り継ぎたい「平成の名言」特集より引用

証券不祥事でググってもらえば沢山の新聞記事が出てきます。だから詳細は書きませんが、そりゃキチンと情報開示しろよってルールになるのは当たり前です。

株を買ったことがあるヒトなら知ってると思いますが、こんな文章が最後に書かれているの読んだことありませんか?。IR担当者なら誰でも知ってるやつです。まぁビールの宣伝の隅っこに書かれている「お酒は二十歳から」みたいなもんですね。誰も読んじゃいません。でも、こういうコトは大事です。だからどんな業界にも法令やルールがある。

(ご留意事項)
本記事は、情報提供のみを目的として作成しており有価証券の販売の勧誘や購入を勧めるものではございません。

しかし気になるのは、情報開示の考え方の延長で、コンテンツを書いて伝えたいヒトに読まれると思ってるIR担当者って多いのでは?ってことです。

ここで、正確なのか?・読まれるのか?って二元的なハナシがしたいんじゃなくて、「情報開示」と「情報発信」は違うって、どのくらいのヒトが認識しているんだろう?って疑問でした。それが1/25・IR大新年会の交流会で感じた違和感だったのです。それをヒモ解いていきますので、もう少々お付き合いください。



情報開示と情報発信の違い

つまりこれって、IRとPRの違いでもあるんですけど、そういう表面的なハナシじゃなくて、紙とPDFだけの時代から、noteとか、youtubeや、ログミーFinaceIRTVなど、新しいプラットフォームがどんどん増えてきたってコトだと思うんです。

これは時代の流れそのものです。いろんなプラットフォームを使う「情報開示」と「情報発信」の両方が必要になってきた時代なのでしょう。

正しい情報は大事です。それに加えて統合報告書のように、会社の価値をわかり易く伝えるための種類が増えたのです。これは「IR」と「コーポレートPR(企業広報)」の領域が重なってきたのだと言えます。

PBR1倍割れが問われる」時代とは、企業価値の魅力を如何に伝えるか?どのように伝えやすくするか?という時代なのだと言えます。いまは、誰もが情報発信できる時代なので、会社単位の情報だけでは魅力が伝わりにくい。だから経営者や担当者の顔が見えないと伝わりません。だって相手は人間です。そして会社だって人間で出来ているのですから。

しかし「情報開示」には「法律で決まった情報開示」と「自主的な情報開示」がありますし、「情報発信」とは「目的」や「内容」も違いますし、法令のアリ・無しも違うのです。大変な時代です。

私は、IRのスペシャリストではありませんが、だから分かることがあります。自分の会社をスキになってもらって⇒ 株式を購入してもらって⇒ できれば長く持ってもらって⇒ もし他の人に勧めてもらえたら嬉しい。ってことは、「認知してほしい」⇒「対話をしたい」⇒「できれば株を買ってもらうヒトを増やしたい」を頑張らなきゃならないってことです。

IR業務をロジックツリーにすると従来のIR領域に加えて、情報発信の領域が増えたことがわかります。これを簡単に言うとシゴトが増えたってこと。大きな会社はより強くなり、小さな会社には大変な時代だと言えるかもしれません。

Deepなハナシですが、ビジネスnote界隈にこんな世界があるんだってコトで、もう少々おつきあいください。


IR noteをやってる会社と、やってない会社のちがい

そこで重要になってくるのは、note書いたらウチの株価あがるの?とか、noteってウチの会社にどう影響するの?ってコトです。当事者ですから、経営者なら知りたいですよね。

そのことについて、IR大新年会で、note IRマガジン参画企業の株価パフォーマンスについてCEOの中村が話したので、それを振り返りたいと思います。

ザックリまとめると「IR noteをやってる会社と、やってない会社」には差がありました。やってる会社の方が株価が高くなっていた。しかもその差がデカくなってました。

要点:アウトパフォーム+4.9%から ⇒ +11.4%とさらに乖離は拡大

時短でサマるとこうなります。IR note マガジン参画企業の方が株価が高い理由を考察するとこんな感じです。

<直接の因果関係>
1:IR note マガジンによりその銘柄の存在を知る人が増える
2:IR note マガジンを読んだことにより、その銘柄の購買意欲が高まる/適正株価目線が上がる

<因果関係以外の要因>
1:業績(≒株価推移)の好調な企業がIR note マガジンに参画している
2:IRに対して力を入れている企業(投資家に魅力が伝わりやすい企業)がIR note マガジンに参加している

※アウトパフォームとは、証券用語で、比較する指標(日経平均株価やTOPIX・東証株価指数などに対して一定期間の成績が上回ること。この場合は3月23日のIR note マガジン発足時点での参画企業が対象で、比較企業は各社バフェットコードで自動抽出される「類似企業のうち時価総額が近い2〜4社を採用したもの。


詳しく書いた弊社CEO・中村のnoteがあるので、コチラを読んで頂ければ嬉しいです。
https://note.com/kntn123/n/nf45cc84a004f


ちなみに、このIR大新年会とは、IR向上委員会note株式会社株式会社Figuroutが中心にお声がけして約80名の方々が集まったリアル・イベントです。IR担当者だけでなく、IRアドベントカレンダーに執筆された投資家、アナリスト、IR支援会社の方々など、さまざまな話題で盛り上がった会でした。詳しい様子は、コチラのnote・IRの三浦さんが書いてらっしゃるnoteに書かれていますのでどうぞ。三浦さんお疲れ様でした。

IR大新年会@note本社イベント会場

特に、IR向上委員会、後藤さん、シゲマツさんお疲れ様でした。


鹿島さんnoteから学ぶこと

皆さんが使われているnote株式会社のCFO(財務担当・取締役)に鹿島さんという方がいらっしゃいます。会ったことがある方ならそれはご存知でしょう。ナイス・ガイです。鹿島さんは、IRマガジンを盛り上げている方の一人ですが、鹿島さんのnoteは面白い。ありがちな杓子定規な情報発信ではありません。そこに気づきや発見があるからなのですが、「想い」や「ヒト」が見えてくるからなのではないでしょうか。

スタートアップJAPAN@東京ビッグサイト。note CFO鹿島さんの講演聞きに行ったら、スローシャッター著者 田所さん、ひろのぶと出版社長 田中泰延さん、オッさん大集合。お疲れさまでした。


情報開示ではなく「情報発信」が上手なIR noteから学ぶこと

私はIR noteマガジンに参加されている70社すべてのnoteを読み込んでいます。ヒマ人は世界を救う。いやちがいます。「情報開示と情報発信のちがい」を知りたかったからです。そこには金融界隈にある独特な思考様式が潜んでいるのを感じます。正直まだ模索していて苦労の影が見えるIR noteも多いのですが、がしかーし情報発信が上手なIR noteから学べることがあります。以下の3つがその特徴です。

1:誰が発信しているか?顔や人柄が見える
2:一方通行のプレゼンではなく、コミュニケーションを取ろうとしている
3:SNSを組み合わせて使うなど読んでもらうための工夫を色々している

※IR情報発信のコンテンツが素晴らしいnoteは別の機会にご紹介したいと思います。既にココで4000字超。長いごめん。


「情報開示」と「情報発信」をひも解いたら「noteユーザーなら知ってるツッコミどころが満載だった」

なんとなく、情報開示の目線で書く文と、情報発信で書く文の違いがご理解いただけたでしょうか。

文書を書くのと、文章を書くのは違います。文書とは、会社で書く文のことです。文章とは、事実と心象風景を交えて、読んでもらうための文を書くこと。会社でシゴトができるからって、文章が上手いとは限りません。

誰でも情報発信できる時代。フォロワー数やスキ数など見える化してしまう時代。これはIR担当者でも経営者でも一緒です。ナニを言うかより誰が言うか。だからこそ言語化スキルや、情報発信スキルは大事になっている。

文章を書けるヒトにとっては、当たり前な言語化スキルですが、場所によっては貴重なスキルになる。これを特に、企業広報やオウンドメディアに関わっているヒトにシェアしたい。なぜならば、企業価値を高めるのを、全社で対応する企業が増えると推測するからです。日経平均株価は最高値になりました。さて皆さんはどう考えるでしょうか。

ココまで読んでいただいた奇特な方へ
5000字超のDeepでニッチなハナシでしたが、お付き合いいただきありがとうございました。久々のビジネス・ネタ書いたので疲れました。フワフワしたnoteも書きますので、どっちも楽しんで頂けるように、note愛をもってアウトプットしていきたいと思います。

ではまたnoteで、そしてリアルな場でお会いしましょう。

ログミーFinanceとFigurout主催で、上場企業の役員・IR担当者向けにウェビナーを開催https://logmi.seminarone.com/ logmi20240227/event/


ディア・マスターズ株式会社と株式会社Figurout主催で、上場企業の役員・IR担当者向けにイベント開催https://lp.hooolders.com/event0319


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IR noteマガジン 参加社一覧(2024年2月時点・順不同)

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★Special Thanks

renny さん いつも引用ポストありがとうございます。IR大新年会おつかれさまでした。#資本主義のアップデート  一緒に頑張っていきましょう。そしてビジネスnote酒場やりましょう。まずはIRnote酒場みたいなやつから。

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#情報開示と情報発信はちがう


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Jun Ikematsu / 池松潤
チップありがとうございます! よい日をお過ごしください。