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【発見◇池上】111年目の一家団欒~堤方神社狛犬物語~
堤方神社は古くから初詣、夏祭り、七五三など、池上・堤方地域の村社として親しまれてきました。阿吽一対の狛犬に守られた社殿に向かう参道の左側に古い狛犬さんが鎮座しています。裏を見ると明治40年、池上村石工松坂重吉と彫られています。阿像の顎が欠損するなど経年劣化が著しいので、2018年に新しい狛犬に交代しました。この間、大震災、空襲、台風など幾多の困難がありました。堤方神社の氏子は長い間氏神様を守り続けた古い狛犬さんを労わって、小さなお堂を作りお祀りしました。宮大工の技を持つ工務店が精魂込めた檜造・銅板葺の贅沢な隠居所です。思い出の狛犬さんが大切にされ、氏子も一安心しました。右と左に分かれて阿吽厳めしい様相で氏神様をお守りしていた狛犬さんが子連れで一緒にくっついたら、まるで笑っているようなおだやかな表情になりました。互いに優しく見つめ合って111年間の労を労わり合うと同時に、111年離れ離れだった家族がやっと一緒になれた喜びが、ほほ笑ましく感じられます。この姿を見て、子の健やかな成長や家族円満を願ってお参りしていく方が増えてきました。転勤家族、単身赴任家庭にも希望を与えますね。
因みに大田区には子沢山の狛犬が多く、磐井神社(大田区大森北)の子は6頭。春日神社(大田区中央)の子は4頭。それぞれ子宝、安産、子育てのお守りとして親しまれています。堤方神社の狛犬さんも2頭の子が縋りついています。親子一緒に祀られた狛犬一家団欒の姿は幸せな家庭を象徴しているようです。
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