024:20200731 オンラインバーチャルフェスに参加した/リアルタイムライブ配信について考えた
何やら面白げなオンライン・バーチャル・フェスがやってたので参加してみたところ、いくつか思うところあったので雑感を述べる。
Tomorrowland
参加したのは、ベルギー初のEDMフェス「Tomorrowland」というやつ、のオンライン版。
Tomorrowland https://www.tomorrowland.com/global/
僕は寡聞により知らなかったのだが、元々とても有名で大規模なフェスで、検索してみると規模感もすごい。ステージセットは非常に豪華だ。
バーチャルフェスってどんな
「バーチャルフェス」とは何か、というのは人によって想像するものは違うと思う。僕もどんなもんなのかなと思って参加した。
リアルでの豪華なステージセットの世界観を継承して、大きなセットのCGの中でプレイする感じ。
これらのプロモーション映像はかなりレンダリング品質が高い印象を受けるだろうが、実際にこのくらいの綺麗さだったと思う。
- チケットを買ってログイン。チケットは12ドルくらいだった気がする。
- ウェブサイト上の3Dマップに島があって、そこにいくつかのステージがある、島は3D空間内を鳥瞰である程度移動できる
- 個別ステージと全体マップがシームレスにつながって遷移しているわけではない
- クリックすると遷移してそのステージのライブがみれる
- ライブは3DCGの背景ステージと、実写のアーティストが合成されてる
- カメラワークはかなりグリグリ
- ライティングも数が多くてすごい
日本語対応とかちゃんとできててびっくりした。
プリレンダだった模様
グラフィックすごい、綺麗だった。最初UE4あたりでリアルタイムレンダリングかなと思ったがプリレンダだった模様。
アーティストはグリーンバックスタジオを世界何箇所かに設置して撮影したとある。
アーティストもいくつもアングルはありつつ、でも「うーんこれは板ポリ?」と思う角度も若干あって、レンダリング上の仮想カメラの位置と、スタジオでのリアルカメラの位置と板ポリの板ポリ感が出ない範囲の角度、を調整してたのかなと思う。
アーティストはリアルタイムだったのかな
ちょっと良くわからないのが、プリレンダ部分もあるとして、それは背景だけなのかアーティスト含めて全部がプリレンダだったのかということ。
サイト上でも「Now」「Live」というような文言があったので、リアルタイムにアーティストがライブをやっていたのだと思っているのだが、それであってるのだろうか。背景はプリレンダリング、アーティストはグリーンバックのスタジオでリアルタイム撮影して合成だと思っていたが、もしかして全部事前なのか?
ということでリアルタイム配信だったのか、そうではなかったのか、良くわかっていない。
「リアルタイム」「ライブ」配信の価値って
そこでまた考える。最近良く思うテーマ、ライブ配信、リアルタイム、の価値や意味はどこにあるんだろうということ。
サイトで実際にできたこと
僕はこれをリアルタイム配信だと思って技術的興味から見たわけだが、実際のサイトでやった(できた)体験としては、大雑把にいうと
- 3Dの島を鳥瞰でインタラクティブにカメラ移動
- 各ステージに入って動画(←ここ重要)をみる
- 画面についているチャットに書き込む
というだけだ。
リアルタイムライブ配信じゃなくても体験は一緒
ステージで見れたのはあくまで動画であって、そこに対してのインタラクティブ性はない。つまりそれは事前に作られた動画であっても、リアルタイムにプレイしているものの配信であったとしても、視聴体験としては変わらなかったということ。
はずなんだけど気持ちは違う
でもなんとなく、リアルタイム配信じゃないのかも(わからないが)、と思ったときの残念感はなんなのかなと。単にリアルタイムレンダリングと合成からの配信でどこまでできるのかという技術的な興味からのちょっとがっかりだったんだろうか。
いやそれは今回の話だけど、もちろんそれだけではなくて、普段見ているクラブからの配信もそれがリアルタイムであるかどうかはわからないのに、もしリアルタイムではないと思うと多分ちょっとがっかりする。
みんなで見るのは楽しい
一方で、それがもし事前収録だったとしても、例えばみんなでテレビを見て盛り上がるように、「みんなで見る」体験には面白さはある。ゲームも対戦ゲームは人間対人間だから永遠に面白いし、体験も人間と一緒に見れたらコンテンツに「みんなで盛り上がれる」フックがあれば一人で見たらあまり面白くないコンテンツでも面白い時もある。
ライブではないテレビ番組だって、みんなで見てたら楽しいし。別にライブじゃなくても楽しいはず。
なんだけど、なんかそうでもない気がするのだよね。
また見るかというと微妙
難しいところは置いといて、結局、また来年もこれを見たいかっていうとうーんそうでもないなと思う。
また、こういうスタイルのオンラインフェスがどんどん出てきたとして、それにいくつも参加したいかというと、それもそうでもないような。
こういうのは「最も早くやった人」は利益をまず得るのはもちろんあって、今回のイベントは商業的にも、オンライン故に世界中から視聴者を集めることができて成功だった模様。
とはいえそれを参考に同じような企画がニョキニョキ出てきたとして、最初はまだしばらくは「本来そのコンテンツにめっちゃ興味ある人」以外も参加してくれるだろうけど、そこはだんだん減ってきて「本来そのコンテンツにめっちゃ興味ある人」だけが残り、そしてそれは「フェスに来てた人」よりも少なくなると思っている。
つまりこのスタイルはフォーマットとして行くにはちょっとまだ早計なのかなと。
ご飯食べたい
僕は人混みはあんまり好きじゃないのだけどお祭りの屋台とかで食べるそんなに美味しくもないけどちょっと高いゴハンをみんなんで食べるのも好きだし、あんまり行かないけどフェスとかでもフードが好きで。
ゴハン要素が欲しいのかもしれない!違うかもしれない。
でもそれってまさに、メインコンテンツだけじゃない全体の雰囲気含めての体験なんだよね、ということかなと。
友人グループとのみコミュニュケーションできる機能
全体のタイムラインとしてチャットできる機能以外に、特定のグループとだけチャットできる機能があって。これは「友人と盛り上がる」というところを想定した、一歩進んだ良い機能だと思った。まあ一人で見てたから僕は使ってないけど。
「友人とだけチャット」機能は、別にインクルードされてなくても別ツール使ったらできるわけだけど、インクルードされてるのもいいのかもな。
もう一歩進めると、音声や映像でつなぎながら見れる、という機能をインクルードする感じかな。正統進化だと。
SNS=自分なりの楽しみ方の発見と発信
あとは体験として非常に画一的だなとも。普段のクラブイベントとかフェスとかだと、良し悪しは別としてまあSNSに何かしらアップする人は多い。当然、似たような動画がいっぱい上がることもあるが、それでも、それぞれの視点で切り取られるそのイベントに面白さがある。食べ物をアップする人もいれば、飲み物をアップする人もいれば、セルフィーもあるし、ライブを撮る人もいれば、ポエムをアップする人もいるだろう。それぞれの楽しみ方を発見しているということだ。
だけど今のスタイルだと、そもそもキャプ禁止だったからSNSにもアップできなかったけど、できたとしてもそこまで多様性がないよね。
多様な体験がSNSにアップされるようにするには、という切り口の設計もいいかも。
まとめ
まとめると
配信映像内とのインタラクティブ性のない配信だと事前収録の動画を流していても体験としては変わりがない。
変わりがないはずなのに気持ち的には違いがあるのは何故だろうか、またはその感覚は時代や世代によって変わるのだろうか?
みんなや友人と一緒に盛り上がる体験は楽しい、事前収録のテレビを友達と一緒に見てたら楽しいのと同様だと思うとリアルタイムライブじゃないと楽しくないかというとそんなことはないはず。
「一緒に見る」ファクターと「ライブ」ファクターは相互に良い影響は与えつつ全然別のファクター。同時体験性重要。
とはいえまたこのフェス見るかっていうともう見ないと思うし、やっぱり「チャット + ノーインタラクティブの動画」というスタイルにはそのうち飽きそう。
「その動画自体が一人で見ててもコンテンツとして非常に面白い」か「友人と複数人で見たときにツッコミというか盛り上がりポイントがあって面白い」か、というところがあれば、「チャット + ノーインタラクティブの動画」スタイルでもいいかも。
とは言っても3Dのアバターになってワールドをウロウロできたらそれでベストとということでもないように思うし、別の方向性も探したい。
対SNSという観点でももっとやれる切り口はありそう。
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Photo by Mike Palmowski on Unsplash
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