元警察官の私がカナダでスピード違反で捕まった話

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２０２４年７月某日である。

あれはすこぶる晴れた日で、暑くて、コーラをドリンクホルダーに入れ
洒落た洋楽を聞きながらドライブするには最高の日だった。

カナダBC州ペンティクトンからバンクーバーまでの車で約５時間半の旅にはもう慣れていて、
場所はあの有名なロッキーという映画のロケ地にもなったホープという街を抜けたところだった。

流していた音楽まで覚えている。
映画『トップガン』の冒頭で流れる”Danger Zone"（デンジャーゾーン）。

そしてそこがまさに警察が隠れる”Danger Zone"だったとはその時思いもしなかったのである。

時速なんて見ていなかった。
青い空の下、カナダの美しい自然の景色を横目に
何度か繰り返すゆるやかなカーブを抜けたあと真っすぐの直線に入った。

気持ちよく走っていると、周りの車も私についてきた。

それはまるで映画トップガン、
戦闘機の編隊飛行のように私と私の周りの車は
一定の距離を保って走っていた。

一番先頭は私だった。

事態は突然だった。
直線の道、少しだけ坂を上り、下りに入った。

その瞬間、それはすぐに目にはいった。
それは私の１００メートルほど前にいた。

赤灯を光らせだしたパトカー
この美しく、穏やかな空気感を一気に緊張状態にするサイレン音

出していた速度も速度だったので
すぐにパトカーの横を通りすぎてしまった。

終わったとおもった。
夏。今月は遊ぶ予定もたくさんあって「違反金いくらだ？」と考えていたら
警察官の静止の声も聞こえなかった。

そのまま２キロくらいはパトカーから逃げ続ける形で走り、
その間わたしはひたすら違反金と点数を考えていた。

やっと止まった。
すぐさま警察官が凄い形相でパトカーから出てくる

「なぜ止まらなかった？」、警察官は聞く

「気づきませんでした・・・」と苦しい言い訳をした。

その間に一緒に編隊飛行ならぬ編隊運転を楽しんだ
私の仲間、いや私の周りの車は
さっさと先にいってしまった。

高校在学中に自動車の免許を取り、もう１０年は無事故無違反だった。
そして警察官のとき、私は何枚交通違反切符を他人に切っただろうか。

昔は「安全運転でお願いします」とたくさん伝えてきた私が
いまは警察官にスピード違反で捕まって怒られている。

「免許書だして」、すぐに出した。
「そこで待ってて」、分かりました。待ってます。

車の中で待ってる間、最悪なことに道が混んできた。
私が停車していたせいかもしれない。

時速１０キロでノロノロと走る車が私の様子を横目で見る。
「うわ、アイツ捕まってる」と哀れな顔をされる。

オーバーキルだ。やりすぎだ。

私だってこんなつもりじゃなかったもん。
やりたくてやったわけじゃないもん。

なぜ今道が混むんだ。
なんでこんな想いをするんだ。

するとムクムクと怒りがこみあげてきた。
適した日本語がある。それは”逆ギレ”である。

警察官が帰ってきた。
「あんなにスピード出したらダメだろう！」
その言葉対してついに私は言いたくなった。

「なんでや！！！
他の人も出してたやん！！！！！
なんで私だけ捕まらなあかんのや！！！！！！」

もう再三、再三警察官のときにきいた
”スピード違反者逆ギレセリフ”、ダントツの第一位を誇るあのセリフを

喉元まで出かかってｸﾞｯとこらえ、歯を食いしばって
「すいませんでした」と言いました。（偉スギ）

警察官もヤレヤレといった表情で違反切符をピッと見せてくれた。

でかい。これはもはや切符と呼べるものではない。
書類じゃん。しっかりＡ４じゃん。と思っていると
警察官、

「これ払ってね。早く支払うと２５＄オフになるから」

スピード違反の罰金に早割り制度だと、、、？
その優しさに憎しみさえ感じ、余計に腹が立ちました。


警察官は最後にひとこと、

「気を付けてね、ドライブセーフ！」

と言い残し、あっさりその場を離れ、パトカーに乗り込み、
すごい勢いで次の違反者を捕まえにいきましたーーーー。

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その後これをツイッターでシェアしたところ、たいそう盛り上がって

「ざまぁ！！！」

とか

「あなたに恨みはないけど、（今まで僕も再三警察に捕まったから）
なんかスッキリした」

とかそんなリプライをもらいました。ぴえん。

違反金はすぐに払い、なんだかんだ早割り２５＄オフの恩恵もちゃんと受けました。（ありがとう。腹立つとか言ってごめん。）

スピード違反をした私が一番悪いのは知っています。

しかし過去たくさんの人に交通違反切符をきってきた女が

いま時を超え、国を超え、
これが因果応報かと。（ちがう）

みんな、くれぐれも安全運転で。
今日も元気に、いってらっしゃい。