
認知症の母と沖縄移住 04 入居審査
うちなーないふを見ていたら、運良く新着物件が飛び込んできて、どうにかこうにか、5月に移住するための物件を確保できました。
電話での申し込みが終わったところで、次なる関門が待っていました。
家主さんによる入居審査です。
会社員時代は、単なる通過儀礼、着々と過ぎゆく手続の一つとして、気にもかけていませんでした。しかし、Fire(FINANCAIL INDEPENDANCE, RETIRE EARLY 経済的自立を勝ち取って、早期退職)生活に入った今となっては、定期収入は激減しているので、審査に通るかどうかは心許ない限りです。
会社を辞める数か月前に、都内の下町の同じマンションで、7階から5階に移り住み、家賃を節約したことがありました。この時は会社の信用もあって、というか、会社の信用だけで、あっさりと審査に通りました。
今回は、威を借りたり、信用にぶら下がったりできる会社の後ろ盾がありません。組織に属さず、安定した収入が証明できない状態で、家が借りられるのか。
考えれば考えるほど、不安が募ってきます。
ここは、不動産屋さんを味方につけるしかありません。Fire族であること、沖縄に骨を埋めるつもりで移住しようとしていること、こちらの事情を正直に打ち明けました。金融機関の残高証明を発行してもらい、預金残高によって支払い能力を証明したい。何とか残高証明だけで、勘弁して貰えるように、大家さんによろしく伝えてもらえませんかと。
大丈夫だと思います。
不動産屋さんは、明るい声で承諾してくれました。
沖縄移住ブームに乗って、これまでにも本州の定年退職者が、次々と沖縄に移り住んできました。過去にも同じようなケースがあったと見えて、思っていたよりもあっさりと話が通りました。
さて、次に問題になるのは、残高証明の額です。いくら分を証明したら、大家さんに安心して契約してもらえるのでしょうか。
不動産屋さんに相談してみると、過去には、28万円で審査を通った例があるとか。
28万円……。それでは、4か月分にもなりません。
取り敢えずは、10本分の残高証明書を作っておこう。そう思い、郵便局に行きました。窓口で520円の手数料と引き換えにその場で、残高証明を発行してもらいました。
10本の残高証明一つでは心許ない。そう思って、都市銀行の窓口にも足を運びました。ところが、銀行では郵送で申請して、発行に1週間もかかると言うではないですか。さすがはメガバンク、仕事がこれでもかというくらい官僚的です。
官僚機構だった郵便局が即日発行で、民間のメガバンクが郵送で、発行に1週間というのは、興味深い逆転現象です。
取得できたのは、10本の残高証明が1枚だけで、銀行の残高証明を用意するには時間がかかりそうです。
不動産屋さんに相談すると、残高証明でなくても、預金通帳のコピーでもいいですよとの寛大な返事。
えっ、いいんですか。そんなもので。
通帳のコピーだと、数か月前の記帳で10本だと印字されていても、その後、ごっそり全額引き下ろされている可能性もあるのでは。
そんな言葉が喉元まで込み上げてきましたが、やぶヘブになりそうなので、ぐっと飲み込みました。
お言葉に甘えて、郵便局は、10本分の残高証明、都市銀行は、10本分の残高の記載のある通帳のコピーをそれぞれPDF化して、メールに添付送信して審査に臨みました。
その結果は……無事通過。
保証人すら付けずに契約を結ぶことができました。
沖縄の不動産は、保証人不要の物件が圧倒的に多く、そういう物件では、保証人の代わりに信用保証会社に契約時に2、3万円の保証料を払って担保としています。
条件次第では、保証人をつけることもあります。うちなーないふの物件情報には、そんな但し書きが付いていたので、安定収入のないFire族は、例外的に保証人を求められるのではないかと戦々恐々としていました。
私は一人っ子、母は認知症で、保証人をお願いするとすれば、義弟しかいません。それではあまりにも申し訳なく、義弟に不安を与えてしまうのではと案じていたのです。
まさか、保証人なしで契約にこぎつけることができるなんて。これで、認知症の母と一緒に沖縄に移住するという計画に向けて大きく前進することができました。
不動産物件審査の教訓
1、FIRE族に朗報! 定期収入がなくても、預金残高を証明することができれば、保証人なしで物件を借りることができる
2、残高を証明するには、残高証明でなく、通帳のコピーでも認められる(場合がある)
3、証明するのは、資産の全額でなくていい。10本の残高を二つ用意できれば十分。不動産屋さんの話では10本の口座を一つ証明するだけでも、借りられそうな感触を得た。最初に10本分の口座を一つ証明し、相手から要求があれば、二つ目、三つ目と証明していくといい。