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他人の土地なのに…

こんにちは。hidekiです。


少し前から法律の勉強をしています。


民法の『時効』を学んでいる中、小学校の頃の友人の話を思い出したので、書いてみたいと思います。


民事の時効には取得するほうと、消滅するほうと2種類ありますが、取得するほう『取得時効』の話です。


友人のオカンの話

さて。どんな話しかと言うと、小学校6年の時だったか、友人が「ウチのオカン、自宅の前の山の斜面で(勝手に)野菜を育てていて、誰の山(土地)かわからないけど、ずっとここで野菜を育てていたら、自分の畑になるって言ってるんだ」みたいなことを話していたんですね。


その時、『え、それって・・・悪い奴っちゃなー!』と、思った覚えがあります。


小学校でも『時効』という言葉だけは何となく聞いた事があったけど、もちろん法律的にどうかということも何もわかっていなくて、たぶんその時は、

『悪いことをした後、長い時間が経ったら許してもらえること』

みたいなイメージで理解をしていたように思う。


多分、刑事モノのドラマなどの影響で、民事ではなく刑事の時効のイメージがあったんでしょう。


今回、ちゃんと法律の勉強をしてみて、


(本当は大学でも学んだはずだけど・・・汗)


ああ、時効って本当はそういうことなのね、と納得しました。


民法162条 

時効(取得時効)の要件としては、こんな感じです。

①他人のものを占有する
②平穏かつ公然に占有する
③所有の意思を持って占有する
④占有開始時、占有者が善意無過失の場合は10年、悪意有過失の場合20年の占有を継続する
※善意(他人の所有地であることを知らない)
※無過失(知らないことについて過失がない)

⑤援用の手続きが必要(145条)
 ※援用とは、時効によって得る利益を「享受します」と相手に伝えること

民法162条、145条より

友人のオカンの場合

さて。この要件に小学校時代の友人の母の場合を当てはめると、少なくとも①から④までは当てはまっています。


他人の所有地と分かっていながら、その土地でトラブルもなく公然に野菜を育てていて、もう余裕で20年以上経ってますからね・・・


ただ、最後の⑤の要件は、どうしたのか知りませんが…


所有権者に、『この土地、私が頂きます』って言うの、ちょっと勇気いりますものね(笑)


とにかく、これらの要件を全て満たすと、その効果として時効が認められるのです。



やっぱり時効って凄いな

そもそも『時効』とは、長期間続いた事実状態を法的に保護して、法律関係の安定をはかる、といった趣旨の制度です。


また、権利の上に眠るものは保護に値しない、つまり放ったらかしにしておいた、土地の所有者にも問題があるという趣旨もあるようです。


まあ確かにそれはそうなのですが、善悪だけで考えると何となくすっきりしない部分もありますよね。


そして、しかもこの『時効取得』の凄いところは、『原始取得』なんですよね。


『原始取得』を僕流に一言で言うと、綺麗で完全な取得!!


(人のモノ取ったクセに、綺麗はないだろ、と突っ込まれそうですが・・・汗)


どういうことかと言うと、以前の持ち主の下、制約があったり(担保など)そういった昔のことは一切関係なくなり、新しく真っさらな権利が新たに誕生する、ということなのです。


まあでも実際、時効まで、元の所有権者が不法占有の状態を放っておくというのは、何かしらの事情があると考えた方が自然なので、実際は、そんなに単純にいかないことの方が多いとは思いますが…



果たして、あの友達のオカンは野菜を育てていた畑を『時効による原始取得』したのでしょうか?


少し気になるので、また実家に帰省したときに確かめてみようかな。


ということで、以上、今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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