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いい言葉をたくさん、体に入れておく

いい言葉に出会うと書き写したくなる。そうやって中学生の時からずっとノートに書き写してきた。好きな歌の歌詞を書き、ギターコードを書き歌っていた。その時は、単に好きでやっていただけのこと。母親には

「修、そんなことやって何の意味があるのかねえ」

と言われた。私は別に何かのためにやっていたわけではない。歌が好きだから。また、文字を書き写すのが楽しいからということ以外に理由は見つからなかった。

いい言葉を書き写し体に貯めていくとそれがいつの間には発酵を始め、自分の言葉となっていく。自分が心からそう思うという言葉が生まれてくるようになる。いい言葉は、思考を促し、行動を促す。最強のプレゼンテーションだ。ただし、時間がかかる。

入っていないものは、出てこない。当たり前のことだ。いい言葉をたくさん、体に入れておく。だから、中学校の教師をしている時は、授業の最初に黒板に「今日の詩短歌俳句、名言」としていい言葉を書いて「アンソロジーノート」というノートに書き写させていた。3年間担当すると200作品ぐらい書き写させていたことになる。そして、それを年間5作品程度は暗記させていた。

私は40年もこんなことをしている。体は勝手にそのいい言葉を発酵させてくれて、自分の人生を豊かにしてくれることがこの頃とても実感できる。中学生だった彼ら彼女らも今頃、発酵に気がついてくれているんじゃないかなあと思う。

「母さん、実はね、これにはね」

と今なら効果を説明できると思うが、ま、それよりも

「単にいい言葉を書き写したいんだよ」

というのが本音かな。

今朝も書き写す。

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池田修
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