残りの30点に挑戦するのが人生の醍醐味
受験に際して、多くの指導者が生徒たちに伝えるのは、満点を目指すのではなく、合格点を取ることの重要性です。つまり、合格最低点をわずかに超えることができれば、それで十分という考え方です。この指導法の背後には、限られた時間の中で最大限の効率を求めるという現実的な戦略があります。試験では、できる問題とできない問題を瞬時に見分け、得点を稼げる問題に集中することが奨励されます。例えば、70点が合格点であれば、残りの30点は意識的に捨てるのです。
しかし、このようなアプローチは、教育の本質や人生の深い醍醐味を見落としているかもしれません。実際、人生で直面する課題や挑戦は、試験のように明確な答えが用意されているわけではありません。人生の多くの偉業や成就は、多くの人が解決できなかった問題、つまり先の例で言うところの「捨てるべき」30点の範囲に存在します。ここにこそ、真の創造性やイノベーションが生まれる機会があるのです。すでに多くの人が解答を見つけてしまった問題を解くことも重要ですが、それだけでは新しい価値を生み出すことは難しいでしょう。
実際、多くの成功した人物たちは、他者が避けたり、見過ごしたりした問題に取り組むことで大きな成果を上げています。彼らは、困難や未解決の問題に挑戦することで、自らの能力を最大限に発揮し、社会に貢献する道を見つけ出しました。これは、人生において真の満足感や充実感を得るためには、自らの快適ゾーンを超え、未知の領域に踏み出す勇気が必要であることを示しています。
さらに、この「30点」に挑戦する過程では、仲間との協力が不可欠です。個人の努力も重要ですが、チームでの協働によって、より大きな問題に対処し、より創造的な解決策を見出すことができます。共に学び、共に成長することで、人間関係も深まり、人生の豊かさが増すのです。
入試での合格は、人生の一つの節目に過ぎません。真に重要なのは、その先にある無数の挑戦と、それらを乗り越える過程で得られる経験と成長です。早くからこの事実に気づき、自らの可能性を追求することが、人生をより豊かで意味のあるものにする鍵です。入試の勉強法を超え、自己の限界に挑み、未踏の領域に踏み出す勇気を持つこと。それが、人生の真の醍醐味を味わうための秘訣なのです。