筆ペンから書写指導を考える
奈良教育大学附属小学校の件で、筆ペンが取り上げられている。
私の考え方は、以下の通りだ。
筆ペンと一概に言ってはいけないということだ。
筆ペンにもいろいろな種類がある。
プラスティックのペン先を加工した、筆ペン。
フェルトペンのようなペン先の、筆ペン。
ゴムでスポンジのようにしたペン先の、筆ペン。
プラスティックのペン先の、筆ペン。
ナイロンの毛先の、筆ペン。
ナイロンの毛先をテーバー加工した、筆ペン。
ちなみに、下に行くほど筆らしくなる。
どの筆ペンでやっていたのかと思う。
最初の三つでは、筆ペンですらないと私は思う。
しかし、ナイロンの毛先をテーバー加工した筆ペンを使って書かせていたのなら、これは相当分かっている指導者だと思う。あかしやとか、ぺんてる、呉竹には相当いい筆ペンがある。
筆ペンでもこのぐらいは書ける。
情報として伝えられる時、情報は省略されるから仕方がないのだけれども、私の関心は筆ペンがなんなのかである。それによって、このニュースの価値は全く違うなあと思う。
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そもそも、なんで筆ペンなのかという問題も考えてみる必要があるかもしれない。
おそらくだけど、準備と片付けが大変だからという問題だろう。子供達からすると、重たいお習字セットを持ち帰りさせられるという大変さもある。
私は、お習字セットは必要ないと考えている。
私の指導の時は、
1.ジャムなどが入っていた小瓶。
2.小瓶に墨汁を入れて蓋をする。
3.レジ袋などに小瓶を入れて縛って持参。
これだけで、随分と準備と片付けが簡単になって事故も減る。すぐに書き始められて、直ぐにしまえるのだ。
書写は、書かねば上手くならない。いかに、多くの書く時間を確保するかが大事になる。この方法ならかなりできる。私は、50分の授業の時間のうち、40分は書かせていたと思う。
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この瓶に墨汁を入れる方法であれば、筆ペンを使う必要はほとんどない。
では、なんの筆がいいのかということになる。
それこそ5000円、10000円のいい筆もあるが、子供たちに使わせるのであれば、安くていいもがいい。
実は、DAISOの筆でいいものがある。
奈良の春光園が卸している筆である。大筆と小筆がある。それぞれ100円! 2本で100円で売っているのは違う。裏のラベルに奈良の春光園と書かれているものを手にして欲しい。これ、1000円で売ってもおかしくないと思う。
さらに、小筆で言えば、下筆春蚕食叶声(かひつしゅんさんしょくじゅうせい)か双料写巻(そうりょうしゃかん)がお勧めだ。私はこれを教材費で買うことにして、生徒に使わせていた。卒業して20年たった同窓会で、「先生、中学の時に教えてもらった筆の名前を教えてください!」とあの書き味が忘れられずに聞いてきた卒業生がいたぐらいの、書き味である。
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大学の書写の授業では、このようなことを私は教えている。学生たちはびっくりしている。こんなやり方があったのかと。こういうやり方であれば、筆ペンでなくても十分に指導できると思うのだ。
一度お試しいただきたい。
ちなみに、写真は、私がお気に入りのあかしやの太筆。実に書きやすいです。