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マーチフォーライフTOKYO2020へのメッセージ

リガヤ・アコスタ博士

Human Life International アジア・オセアニア地区担当ディレクター

2020年7月23日

みなさん、こんにちは!
ヒューマン・ライフ・インターナショナル(Human Life International)より心からのご挨拶を申し上げます。HLIは、いのちの文化と愛の文明を築くというミッションをもった世界最大の使徒的なプロライフ団体です。

このマーチフォーライフTOKYO2020を含め、3年連続で日本のマーチに参加できたことは私にとって大きな喜びです。いのちのためのこの大いなるキャンペーンにご協力できることを、日本のマーチの献身的な創設者であり主催者である池田さんに感謝申し上げます。今年のマーチは特別です。なぜならこれが、いのちを守り、いのちを優先する私たちの一致した決意を世界に示すものだからです。世界の動きを止めてしまったCOVID-19でさえ、私たちの行く手を阻むことはできません。

人間のいのちは神聖であり、個々の人間の尊厳は社会の道徳観の礎です。社会を発展に向かわせるあらゆる努力は、人には誰しも、受精の瞬間から自然の死に至るまで、尊重されるべき固有の尊厳が備わっているという信念から流れ出るものでなければなりません。この尊厳は、一人一人の彼/彼女が、神のかたどりであり似姿として創造されていることに根ざしています。そして人間の不死である霊魂は神の目的にかなうものとしてつくられています。このように、経済、政治、社会、環境、そして霊的な次元における一人一人の発展と幸福に関わるあらゆる社会的活動の中心には、つねに、この人格のある人間が位置しなければなりません。世界人権宣言はこの事実をよく認識しており、その前文において次のように述べています。「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である」

池田さんがTOKYO 2020 LIFE APPEALの中でうまく表現してくれましたが、 今年の「ヴァーチャル・マーチ」の焦点は非常に重要な訴えです。すなわち、SDGsと呼ばれる国連の持続可能な開発目標に18番目のゴールを加え、産まれる前のいのちを、17それぞれのゴールに並べてみようとすることです。このアピールが浮かび上がらせるのは、国連の中で暗躍するリベラルな勢力の強硬な姿勢です。堕胎や産まれる前のいのちの殺戮を「人権」であり「女性の選択の自由」であると叫ぶ彼らは、それをSDGsの中に「性と生殖に関する健康と権利」といった用語をもちいて巧みに紛れ込ませたのです。堕胎の権利の拡張を求める者たちにとって、個人の意のままに堕胎ができることは「性と生殖に関する自由と真の平等」のために必要なのです。しかし、絶対的な自由はありませんし、責任をともなわない権利もありません。

アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)は国連事務総長に宛てて文書を書き送りました。その中で「いのちを救うための行為にのみ力が注がれるべきであって、あろうことか『性と生殖に関する健康サービス』を食糧不足、不可欠の医療、栄養失調、避難所、衛生管理などと同レベルの『必要不可欠なサービス』と位置づけ、堕胎へのアクセスを促す機会としてコロナ危機を利用するべきではない」と主張しています。また「もっとも醜悪なことは」として、「国連がグローバル・ヒューマニタリアン・レスポンスにおいて、堕胎を促す薬品の配布と堕胎の提供、さらには途上国への堕胎の普及が声高に呼びかけていることだ」と述べています。

まことに私たちは、「生きる権利」が神から人類に授けられた不可侵の権利であるという事実にしっかりと根ざしていなければなりません。どうして堕胎が必要不可欠なものでありえるでしょうか?どうして無垢の人間のいのちを殺す行為が人権となりえるでしょうか? 神ご自身から私たちに与えられた第六の戒めは、極めて明快です。「汝殺すなかれ」

聖マザー・テレサは言いました。「殺戮、殺人、戦争、憎しみ、そんなことを耳にしても驚くに値しません。もし母親が自分の子どもを殺すことができるなら、私たちは互いに殺し合う以外にないでしょう」 

まったく途方も無いことですが、今日この世界においては、木を切り倒したり犬を傷つけたりすれば刑務所行きとなるのに、お腹の中にいる赤ちゃんを合法的に殺すことができるのです!

SDGsの中でもとりわけ注意しなければならないのがゴール16です。そこには「 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」とあり、ターゲット16の1では「あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる」とあり、ターゲット16の2では「子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する」とあります。

兄弟姉妹のみなさん、堕胎はもっとも過酷な暴力です。身勝手に無垢な子どもを拷問にかけ、子どもの体は彼/彼女の母の胎の中でバラバラに引き裂かれるのです。池田さんが言うように、もし国連が本気で「誰一人取り残さない」と言うのなら、胎内の子どもたちは保護されなければならず、残忍な切断は避けられなければなりません。そうではなく、産まれる前のいのちは大切にされ守られなければなりません。そして危機にある女性たちには、母と子その両方のいのちが安全でいられるように、どんなことがあっても助けの手が差し延べられなければなりません。神は堕胎された子どもたちにも素晴らしい賜物を授けられていたのです。しかし、彼らは「選択」によって生きることが許されませんでした。生きていれば、良い時も悪い時もともに旅をしてくれる家族だったかもしれません。船乗り、ビジネスマン、専門家、あるいは司祭や修道士になっていたかもしれません。世界中多くの国々を巡ってきましたが、仕組まれた堕胎への罠に陥ることがなかった偉大な親たちの話にたくさん出会ってきました。自分たちがいのちを救った子どもたちが大きな喜びをもたらし、今では仕事でも成功し家族を助けてくれているという話を。もちろん、親たちは子どもを養育するために多大な犠牲を払ったでしょう。しかし「苦しみ無くして成果無し」ということわざのとおり、何か蒔けるものがあれば、それは後から収穫するものに変わるのです。

その一方で、女性たち、そして男性たちの後悔の叫びや涙をたくさん見てきました。彼らは不幸にも自分の子どもを生かすという決断ができなかったのです。彼らは一人静かに苦しみます。堕胎後症候群はきわめて現実のものであり、多くの科学的な研究によってそれがあることが証明されています。

私が、産まれる前のいのちを優先し、そのいのちを守る活動にこれほど多くの時間を割いていることを多くの人たちが不思議に思うようです。科学によって完璧に明らかにされているとおり、それがどれほど小さくても、それがどういう名で(受精卵、廃盤胞、胎芽、あるいは胎児)で呼ばれようとも、胎内の子どもは生きた人間なのです!これはたんに宗教の問題ではなく、科学の事実です!それはたんなる血液でもなければ細胞の塊でもなければ、ひとまとまりの組織でもないのです。それは生きた人間の発展の最初の段階にあるものであり、あとはただ、あなたや私のような美しい人間に成長するまでの時間を必要とするだけなのです。それではなぜ、私たちプロライフはこんなちっぽけな者のことに関わっているのでしょうか? なぜならこの子たちが、おぞましい堕胎がおこなわれる間も助けを求める声を発することも苦しいと訴えることもできず、自分自身を守る手だてを何も持たず、ただ誰にも聞こえない沈黙の叫びをあげることしかできない、人間という種の中でもっとも弱くもっとも無防備な存在であるがゆえに、私たちの声を必要としているからです。この子たちは、あなたや私と同じように、ある目的をもって神がお造りになった小さな人間なのです。

池田さんはまた、マーガレット・サンガーが来日していたことに触れられていました。多くの人たち、とりわけ人口調整や堕胎のビジネスに関わる人たちがマーガレット・サンガーを偶像化しますが、そうすることで世界最大の堕胎団体である国際家族計画協会(International Planned Parenthood)の創設者であるこの女性が、劣った人種と貧乏な人たちは「人間の雑草であり文明に対する脅威」であるから息の根を止めなければならないと信じていた驚くべき人種差別主義と優生思想の持ち主であったという事実を都合よく隠蔽するのです。サンガーは、彼女自身の言葉で「黒人絶滅計画」に乗り出しますが、それは彼女によれば「3、4人の有色人種の聖職者を、お好みで社会福祉の保障もつけて、やりがいのある仕事として」雇い入れることでしたが、それは「黒人へのもっとも有効な教育上のアプローチは宗教に訴えること」であると考えたからです。明らかに、そこには彼女の真の邪悪な目的が隠されていました。サンガーは黒人や有色人種を「劣生の恐怖」とみなしていました。 彼女が書き残した文献は私的な書簡まで今では公開されていますから、それらを読めば、いかにサンガーが強制断種、自由恋愛、産児制限、そして堕胎を強力に押し進めていたかがわかるでしょう。彼女と彼女が設立した団体には、無数の個人と家族を破壊した、いわゆる「性の革命」を引き起こした責任があるのです。家族計画協会(Planned Parenthood)の従業員自身によって書かれた手紙が最近公開されましたが、その設立者のあるがままの姿が告発されています。

兄弟姉妹のみなさん、すべての人間が神のかたどりであり似姿として造られたように、神はすべての人間を、肌の色に関係なく、平等に造られました。ひとつの性が、ひとつの人種が、他よりも上位であるとか優れているということはありません。産まれている産まれていないに関わらず、すべての人間のいのちが問題なのです。

きょうここで、私たちは池田さんと素晴らしい日本の人々とともに、国連に対して訴えます。胎内で始まり死んで墓に葬られるまでの人のいのちを保護し守るというゴールに向かって、とりわけ産まれる前のいのちを保護し守るというゴールに向かって、すなわち堕胎をやめさせるというゴールに向かって、真摯に歩むように国連に訴えます。 

いのちの文化と愛の文明をともに築いていきましょう。「いのち」を愛し、敬い、守り、そしてそれに仕えるよう全身全霊を傾けましょう。

最後に、旧約聖書「申命記30章19節」からの次の引用をもって結びのことばとしたいと思います。

わたしは、生と死、祝福と呪いをあなたの前に置く。
あなたは命を選び、あなたもあなたの子孫も命を得るように。

GOD BLESS us all!

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