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【公認会計士試験】短答式試験 管理会計論 本番で失敗しない、焦らない勉強方法
はじめに
管理会計論は、私の座右の銘である「無理をしない」が活きる科目でした。
以下の方針が有効でした。
戦略的に予め高得点を狙わないこと、
焦らず時間を使って確かめ算をすること
出来たと思った問題ももう一度見直して読んでみること
私は科目別に特徴を分析し、現実的な得点計画を立てて、普段の勉強方法を決めていきました。
実際には勉強しながら色々と試行錯誤もしたのですが、最終的にこのようにしたという整理したものを記します。
私は全ての科目に共通して「思い出してみる」という行為を勉強法として頻繁に使っています。
これは『使える脳の鍛え方』ピーター・ブラウン著という本を参考にして取り入れたものです。
時間の作り方、使い方は全科目に共通するので改めてまとめて書こうと思います。
短答式 管理会計論の特徴
試験時間が圧倒的に足りない。
「足切り」(1科目でも40点未満だと、他の科目の得点に関係なく不合格)も起こりうる。
理論問題と計算問題に大別され、理論問題は、計算とは独立している(論文式試験は前提となる計算問題ができないと回答できない理論問題がある。)
理論問題は、過去問の焼き直しやその少し応用が多く出ているように見える。
試験時間、問題数、配点
試験時間は60分
理論問題40点 8問(全問5点)
計算問題60点 8問(8点×4問、7点×4問)
得点計画
全科目の平均で70%の得点が取れればよい試験。「足切り」にさえならなければ少し出来の悪い科目があってもよい。
企業法と監査論は高得点を狙えそうなので、管理会計論は50〜55点程度取れればいい(私は財務会計論が免除)。
足切りを防ぐのが最優先。
より確実な得点が見込める理論問題で稼ぐ。1問ミスに抑えて35点は取る。
計算問題は全問は解かない。3問解き、3問全て正解し、21点は取る。
以上から合計56点の計画。
時間配分とその考え方
相対的に短時間で答えを出せる理論問題から解く。
ケアレスミス防止のため、理論問題を一度解き終えた後に見直しをする。
理論問題に25〜27分使う。これは他の人より長い。(多くのは人は理論問題は20分で終える。)それくらい慎重に点を積み重ねる。
正解出来たはずの問題を落とすのが1番痛い。だから、焦らず確かめる。計算問題の解くべき3〜4問を選ぶ確実な方法はないが、後述するアプローチでなんとかその場で選ぶ。
計算問題は1問10分使っても良い。必ず検算をする。3問解く。合計28〜30分。
3問終わっていなくても残り数分で必ず計算ストップし、解かなかった問題にマークする。
周りの人々より解く問題数は少ない。
しかし、急いで解いて不正解となることが、1番時間効率が悪い。
だから焦らず確実に3問を仕留めにいく。
解くべき計算問題の選び方
本番のプレッシャーの中で、短時間で解ける問題、比較的易しい問題を選ぶのは、ほぼ不可能。
以下の一般的な傾向を頼りに事前に方針を決めるしかない。
配点が7点の問題の方が解きやすいことが多い。
概して、原価計算分野よりも、管理会計分野の方が実質的に計算ステップが少なくミスしにくい。
管理会計の財務分析は比較的短時間で解けることが多い。
原価計算の中では標準原価計算が相対的に解きやすい。ほぼ毎回出題される可能性が高いので、対策が無駄にならない。
部門別配賦は時間がかかることが多い。
総合原価計算は計算条件を細かく変えられるのでパターンが多く、ケアレスミスしやすい。
※私の場合は、
①まず財務分析が出ていたら解き、
②次に条件が多くても単純に足し引き程度であることが多い短期利益計画か投資回収、
③そのあとに原価計算分野も1つは易しめの問題があるはずなので、標準原価計算の問題を見る
と予め方針を決めていました。
本番での得点
自己採点で69点。
(理論問題は満点の40点、計算は7点×3問 8点×1問で29点)
理論問題対策の勉強法
問題集とテキストの往復
勉強スタートの約15年前に日商簿記1級を取得(とおるテキストという本で独学)していて、企業の経理部在籍経験もあり、基礎的な考え方や計算の基礎はわかっていた。
テキストは、ヤフオクでLecの公認会計士試験 上級講座短答テキスト①②を購入。薄いが過不足なかった。
Lecのwebサイトで紙の本のLecの一問一答問題集を購入。(Amazonなどだと電子版しか買えないようです)
資格試験予備校の授業、答練と模試は、時間がなく受けていない。
この問題集は独自作問ではなく、過去問を中心に分野別に編纂されているもので、かつ正誤の根拠や参照規定が明記されているので選んだ。
理論問題は選択肢の正誤を判定する形式。「誤り」の選択肢の作られ方を把握すれば、記憶すべき箇所がわかり、勉強に強弱がつけられる。
問題集とテキストは試験までに何度も繰り返すが、1周目は、問われるポイントを問題集とテキストの双方にメモやマークをしていく作業も兼ねている。1週目は時間もかかるしけっこう面倒くさい。
1週目のやり方。①問題集の問題と解説を読む。②テキストの対応箇所に「どういう問われ方」をしたのかをメモする。③テキストを読んだ結果、必要があれば問題集の解説を補強する。テキストの参照ページを書くこともある(メモの様子は少し下の写真を参照)。
2週目はテキストから入り、その後に問題を解く。読んでいるだけだと受身になり飽きる。それはあまり意味がない。なので章毎にテキストから問題に移る。
2週目は全体像、全体の流れ、各規定の意義や、どうしてこういう管理をするのかを、問われ方を意識しながら押さえる。この時点でも新たな発見があり追加のメモをテキストや問題集に書き加えていく。
3週目以降は問題を解く。全然正解できなくてよい。とにかく思い出そうとするのが大事。その後、解説とテキストを読む。そうすると記憶が強化される。何度か繰り返す。
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「絞り込みノート」
次の作業は少し効率は悪いが私はすごく意味があった作業。記憶の定着率も上がるし、直前に自分に合った勉強が効率的に出来る。
本番2ヶ月くらい前に仕事が休みの日などを使い、ルーズリーフに試験範囲全ての自分がよく間違えた箇所と、重要事項を列挙して書き出す。
2日間くらいで一気に全範囲やる。全体のボリュームやどこにどういう事項があるのかという位置付け、科目全部の流れなどの把握が大事なため。
テキストの章分けに従う。
大きな字で箇条書き中心。テキストと問題集を見ながら抜き書きする。試験前日と当日はこれだけを思い出しながら読むことになる。そのつもりで書き出す項目を選んでいく。
自分が読めれば汚い字でよい。
あとは問題集もやりつつ、この自作ノートを思い出しながら読む。
通勤電車やスキマ時間は、ノートの内容を思い出すという勉強を繰り返しやる。
※本当は「絞り込みノート」の写真を載せたかったのですが、海外駐在で引越す時に捨ててしまったようです。
とにかく自分が読めればいいという、汚い字の走り書きでした。
試験当日、周りの受験生の方々はたくさんのテキストや問題集を持参して直前に読んでいました。
しかし、私はバインダーに挟んだ30枚くらいのルーズリーフのみを試験会場に持っていき、「理論満点に必要な情報はこれだけ」と信じて思い出しながら確認していました。
計算問題対策の勉強法
繰り返しだが、勉強スタートの約15年前に日商簿記1級を取得(とおるテキストという本で独学)していて、
企業の経理部在籍経験もあり、基礎的な考え方や計算の基礎はわかっていた。CPA学院のコンプリートトレーニング(以下、コントレ)を同校のWebサイトから購入
計算方法を忘れているものが多かったので、調べるためにネットスクールのとおるテキスト簿記1級を購入。
資格者試験予備校の授業、答練、模試は時間がないため受けなかった。
コントレの問題を読んだら、すぐに回答を見る。書かれている手順通りに計算してみる。どうしてこの計算をしているのか理解するように解説をよく読む。
計算過程を一般化して記憶しやすいように解説にメモやマークをする(何を出しているのかを書いたり、流れがわかるように番号を振るなど。)
何も見ずにに問題を解いてみる。正しい計算プロセスを意識する。できないので、また解説を読む。
平日はプロセスを再現できるか、電車やスキマ時間で思い出す。
休日に机で、電卓を使って問題を解く。
正直、毎日実際に計算をしている受験生には、この方法では及ばないかもしれません。計算は慣れの要素が大きいからです。しかし、しっかり基本問題は取れますし、はっきり言ってそれで充分だと思います。実務で役立つ本質的な力はつきます。
管理会計は、時間が足りず、「足切り」になる危険もあります。
計算問題は沢山勉強しても、本番では現実的にたった3〜4問しか解くことができません。このような科目は、特性を踏まえた戦略的アプローチが必要です。
ポイントは、欲張らない、高得点を狙わないことだと思います。
私の採ったアプローチが皆さまの参考になれば幸いです。