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《番外編》小型ニ輪AT免許取得への道

やっと本日、無事に卒検に合格することができました!

実は、小型ニ輪AT免許を取得しようと決心して、先月から教習所に通学しておりました。
忘れないうちに、免許取得までの道のりを、書き記しておこうと思います。

なぜ今、バイク免許?


私は、普通自動車は30年以上、運転歴があります。原付バイクも、40年近く乗っています。「どうして今になって、小型バイクの免許を取ろうと思ったんですか?」と何人かの方に聞かれました。

学生の頃から原付に乗っていて、もう少し大きなバイクに乗れるようになりたいなと思ったことはこれまで何度かありました。しかし、もともと身長が低い上に運動神経には自信がないので、憧れはあったものの、実際に免許を取りに行く決心までには至りませんでした。

母親になり、子育てが始まると、バイクよりも自動車の運転が上手になることの方が優先事項だったので、もともと免許があっても運転が不得意だった私は、とにかく自動車の運転を練習しました。バイクの免許の事は何度か頭をよぎりつつ、結局これまで、とってこずにきました。

しかし、60代になって、もう一度バイク免許のことを、よくよく考え、ある尊敬する先輩に相談したところ、「もし、取りたいんだったら、“1日でも若いほうがいい”ですよ。」というリアルなアドバイスをいただき、いよいよ心を決めました。そして、仕事に差し支えることだけは絶対に無いように、地元の門真自動車教習所に通うことにいたしました。

楽しいバイク教習


教習所に通うのは、実に30年以上ぶりのこと。周りの教習生の皆さんは、ほとんど若い人ばかり、そして指導教官の先生方も、ほとんどが自分より若い方ばかり。最初はなんとなく、お互いにちょっと気を使いつつ、スタートしましたが、いざ教習プログラムが始まれば、先生方は、さすが、教え方がとても上手で懇切丁寧に説明してくださり、楽しくバイクを乗りまわす(コース内です)ことができました。

自分の普段の原付バイクの運転が、いかに自分本位であったかということにも改めて気づかされ、より安全な運転を心掛けようと思いました。これこそが教習を受けることの最大の収穫であると思います。

実車は楽しく乗れたのですが、シュミレーターには苦戦しました。モニター画面をじっと見ながら、バイク型の機械で運転操作をするのですが、数分で車酔いのような状態になってしまいました。若い人はテレビゲームである程度慣れているそうなのですが…何とか、ギリギリ、クリアいたしました。

一本橋沼

原付バイクの運転には慣れているので、一回り大きいとはいえ、小型ATバイク(スクーター)運転は、難しくありませんでした。クランクもS字カーブも、指定速度(30Km/hを出す)も、急制動(30Km/hでパイロンの間から入り、急ブレーキをかける)も、できました。

しかし、ただひとつ、難関が。

直線狭路台、通称「一本橋」。

これができない。
30cm幅で、長さ15m、高さは5cm。
これの上を、走って渡る、目標タイム5秒以上。これができません。

まず、うまく乗れないし、乗ってもすぐに落ちてしまう。真っ直ぐに安定して進むことができない。初めて一本橋の練習をした日は、多分20回ぐらい練習させてもらって、乗れたのは2回。成功率1割。それもまぐれ当たりという感じで、要するに、全くできませんでした。

やばい。。

“ 1日でも若い方がいい”のお言葉の意味を、理解した、一本橋沼。

家に帰ってから、YouTubeやブログなど、一本橋の渡り方を解説してくださっている投稿や動画を検索し、読み漁り、視聴しました。

渡り方のコツは、検索すればなんとなくわかるのですが、わかることと、実際に自分ができるかどうかはまた別。イメージトレーニングをしつつ、とにかく教習の中で、何度も何度も練習をするしかありません。一本橋以外のメニューは、何とか、こなせているので、教官の先生方は、とにかく一本橋を渡らせてあげようと、それぞれ持っておられる知見やコツを伝授してくださり、それはそれは熱心に指導してくださいました。

先生方の、丁寧な、渾身のご指導のおかげで、成功率はだんだん上がってきました。しかし、成功してもまだ、まぐれ当たりのような感覚のままで、自分ができる、という確信を持つことができませんでした。

卒検の日。コースも各ポイントも、練習通りクリアしましたが、最後の一本橋で落ちました。

落ちると、一時限補習を受けてから、再卒検です。補習では、一本橋の猛特訓。頭で学んだことを自分の身体に落とし込み、体得していくまで練習の繰り返し。
ようやく、ちょっと身体がわかってきて、成功率もかなり良くなり、次はいけるかな、という感覚。

そして翌日、2回目の卒検。
最後の一本橋で不合格。

今回は惜しかった! 前輪までは確かに渡りきったのですが、後輪がカタンと落ちてしまいました。この日、私が学んだことは、勝負は最後の最後まで諦めてはいけない、ということ。
よくスポーツの試合では、ラスト5秒と言われますが、一本橋は渡るのが5秒なので、ラスト0.1秒というところでしょうか。最終最後まで気を抜いてはいけません。

そして、2度目の補習。またまた、一本橋猛特訓、その2。ここまで来ると、最初の頃は、一本橋が夢に出てくるんちゃうやろかと、いわば懸念材料でしたが、逆に。

ここまで来ると。

一本橋を極めてやろう、という気持ちになってきました。一本橋を極めて特技とし、市民の方から一本橋についてご相談があった時は、しっかりとご説明ができるように身に付けようではないか、そのような感覚に方向が変わりました。そして、先生からの新たなご助言も全て吸収するつもりで実践しつつ、執念を持って一本橋ノックに挑んでいきました。
この日の補習では、成功率は9割5分位になりました。

この2回目の補習が昨日のことで、本日無事に、3度目で卒検に合格することができました。
池田はるこ流《一本橋のコツ》をここにまとめて記します。(小型二輪AT車用です)

一本橋のコツ

肩の力を抜く。
右手を握る位置は、指1本開ける。ちょっと斜めに。ブレーキかけれる位置からまわす。(奥からギュインとまわさない。)
右手で一定のエンジンをふかす。最後まで、気を抜かないこと。渡りきるまでアクセル戻さない。
乗ったら左手ブレーキで引き摺りながら進むイメージ。左手で速度調節。 ゆっくりになりすぎない。速くてもいいから最後まで気を抜かない。
橋に乗ったら、膝をきゅっと締める。頭を動かさない。
視線が最も大事。橋の終わりぐらいからその奥、ゴールの方を見る。真っ直ぐ、そこへ向かって進むイメージで。すぐ前の足元に視線を向けたら必ず落っこちる。

バイク教習で得たこと


卒検に合格すれば、あっけないもので、これまで頭にかかっていた一本橋靄が、一瞬にして晴れ渡り、何をあんなに苦労していたんだろうと不思議な気分です。この合格に至るまで、教習所の先生方はもちろんのこと、私がバイクの免許のことで相談したすべての方々が、とても心配して、親身になって、アドバイスをくださいました。皆さん、それぞれ、ご自身の経験から得たコツを教えてくださり、不合格のたびに励ましてくださり、不器用な私が、卒検をクリアするまで、温かい眼差しで見守ってくださいました。

もしも私が一本橋を難なくクリアしていたら、これらの会話は生まれなかった、そう思えば、一本橋のおかげで、周りの人々のご親切、優しさに改めて感謝する機会をいただき、次は自分が、周りの人々のお役に立てるように、何においてもさらに頑張ろう、と思う気持ちを強くいたしました。

また、理論の重要性と、実践の難しさも再認識しました。一本橋を渡るには、重心を低くして、重心がブレないようにする、この2つのことが重要だと理論的には考えられます。重心を低くするのは、頭を少しだけ下げる、重心がぶれないようにするためには膝をくっつけて、足は踏ん張る、この姿勢の取り方で、かなり成功率は上がったので理論はやはり重要。しかし、人間、理論の通りに実践するということが、残念ながらすぐにはできない。そこでは年齢の壁もあり、個人差もあることでしょう。何事においても実践できるまで、内容によりますが、時間の幅を持たせて考えることが必要ですね。

そして、最後にもう一つ。リスキリングについてです。リスキリングとは、企業のDX戦略において、新たに必要となる業務•職種に順応できるように、従業員がスキルや知識を再習得すること。今回の私のケースは、DXのリスキリングではないのですが、しかし、ある程度以上の年齢で新しい免許を取得する困難さを、実際に経験したわけです。すなわち、教習の日程が限られる(仕事に差し支え無いようにするため)、学習してもすぐ忘れてしまうので、何度も復習が必要、モニター画面を凝視し続けることは身体がついていけない、身体能力に関することは、身に付くまで練習を重ねなければならず、時間がかかる。
つまり、何が言いたいかというと、「リスキリング」とわずかカタカナ6文字で表される、社会人の学び直しは、言うは易し行うは難しということです。思ったよりもハードルが高いということを認識したうえで、リスキリングについての支援の制度設計は、柔軟に行なってほしいものと思います。

今回のバイク免許チャレンジについては以上です。お世話になった、教習所の先生方、事務所の方々には、感謝しかありません。
ありがとうございました。

さて私の次なるチャレンジ、実はもう決めています。無事にクリアして記録できるよう、努力を積み重ねてまいります。


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