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ブルシットジョブを読んで思うこと

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論
デヴィッド・グレーバー(著)

クソどうでもいい仕事が増えている!という面白そうな本で、かなり厚めの本で難しそうだったのですが、「ほぼ日」で解説されていたので、理解できるだろうと思って購入してみました。レジに持っていった時に初めて本の金額を知り、レジまで持っていってしまった手前、引き返すことができず、そのまま新品を購入しました。4000円します。

本の表紙

本の内容

ブルシット・ジョブが意外と広がっている、なぜそんな状況にあるのか、どういう未来があり得るのか、といった内容が書かれています。
「ブルシット・ジョブの最終的な実用的な定義」
ブルシット・ジョブとは、非雇用者本人でさえ、その存在を正当化し難いほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形骸である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕和なければならないように感じている。
きつい、汚い、危険、帰れない、給料が低い、というKづくしの業務はシット・ジョブであり、ブルシット・ジョブとは別物です。

筆者の言葉から

私たちは仕事を基盤とした文明を作り上げてきた。その仕事を勤勉にこなしていない人を見ると悪人とみなし、そうして自分自身の隷属化を黙認している。大半の時間を完全に無意味で反生産的ですらある活動に従事しているという自覚と、この同じ罠にはまっていない人間も世の中に存在するという事態への、嫌悪と反感と疑念が、私たちの社会をまとめげる接着剤となった。これは悲惨な状態である。願わくば終わらせたい。本書の主要な論点は、本当に自由な社会とは実際にどのようなものなのかの思考や議論に、手をつけ始めることにある。ほとんどの人がその存在に気付きさえしなかった問題についての本である。私は、本書が私たちの文明の心臓部を射抜く矢となることをねがっている。

読んでみてのまとめスケッチ

スーツ仕事からサーフィン

そこから考えること

自分が働かなくても、働いた時と変わらず動く組織となることが、個人として生産性を上げる最終地点かなと思ってます。そうすると(そう考えなくても)ブルシット・ジョブなんてしてる場合ではないし、無くすべきだと思います。

ブルシット・ジョブを無くしたいと思う人は多くても、それ自体が増えてしまっているのは、そもそも気づいていない人がいるということと、経済ではなく道徳と政治から無くならない状況にある、ということが原因だと読んでみてわかりました。社会を維持するため、経済を回すために仕事が存在し、仕事を動かすための歯車として人がいる。その活動を続けるためには、人が歯車として回らないといけない。何の意味もない歯車だとしても、そこで人が回るために仕事を作っていき、大きくなって増え続けていく。そんなイメージを抱きました。本書でも「大きすぎてつぶせない」といった例が説明として使われています。

業務のすべてがブルシット・ジョブである仕事を本書ではメインで取り扱っていますが、ある仕事の一部分がブルシット・ジョブでありえるとも書かれています。
私がやっていた仕事でも、品質管理のために規格化された品質書類とその説明書類、競争入札のために取れなくても作る資料、デジタル化にともなるシステム管理や入力などの運用手間、技術や取り組みを推進するための補助金を入手するための資料作成、などが思いつきました。どれも社会にとっていいことをしようとしているのに、人の手間が増えていてブルシット・ジョブと判断される実例ではないかと感じます。

ブルシット・ジョブを無くす(良い社会にする)障害として、労働それ自体に価値を与えすぎていること、価値を与えられないものに価値を与える(数値化できないものに数値を与える)こと、経済的ではなく道徳的・政治的な理由から市場が動いていること、を知っておくことが重要だと思います。その上でどういう社会・会社が望まれるものかを考えることが必要だと思います。
 最初に、自分がいなくても仕事が回ることが生産性を上げる最終地点と書きましたが、自分がいなくても仕事が回るときは、自分の仕事のブルシット・ジョブ率が高い可能性もあり、そもそも自分がいらなかったとなる可能性もあり得ると気付きました。ストライキしてみたけど何も起こらず会社が動いていたりすることもあるそうです…
 本の最後に、労働と生活を切り離すことが必要ということで、ベーシックインカムの活動が紹介されています。「ほぼ日」の解説にもベーシックインカムのことが書かれていました。(スケッチの右のサーフォンは「ほぼ日」でベーシックインカムの本の表紙として紹介されたものを真似しています。)

自分の仕事をメインに考えてしまったので、今回の文章になりましたが、「労働価値観」「ケア」「価値と諸価値」などについて、実例も含めてまとめられているので、読んで考えることが多い本だと思います。
 隙間時間で「代償的消費主義」で過ごし、「生活(a life)」という贅沢を持ち合わせていない、そんな問題提起もあり少しビクッとなりました。家族でいる時間をもっと贅沢に持つようにします。


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