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からむしを績むを読んで思うこと

からむしを績む
渡し舟

績む(うむ)と読みます。糸を作る工程のことだそうです。からむし、苧麻(ちょま)、青麻(あおそ)ともいう植物から糸を作り、布を織ることが続けられていると知り、読んでみることにしました。「績む」は最初は読めなかったのですが、「うむ」入力してそのままiPadで変換できたので、私が知らないだけで一般的な言葉なのかもしれません。

綺麗な装丁です。

どんな本か

昭和村のからむしを績む営みとその繋がりが紹介されている本です。最初に鞍田さんの説明があり、田村さんの写真があり、渡り舟の渡辺さんと舟木さんの体験が書かれています。鞍田さんがその物語を、田村さんがその景色を、渡辺さんと舟木さんがその営みを、繋げています。本の作りも構成もすごく丁寧に考えられている本です。いつもはこれでもかというほど貼る付箋が貼れない本でした。

鞍田さんが繋げたいこと

何よりも大事にしようと話したのは、「気配」だった。人と自然があいまって、この村にただよう空気、ここに流れる時間そのものであって、昭和村のおばあさんたちが手がける布には、そうしたものがつまっているから。おばあさんの藍染のその布は、失くなることのない幸福にちがいないことであって、そのことが一人でも多くの人と分かちあえたらうれしい。

渡し舟の2人が繋げたいこと

からむしはどこか秘められた力があって、それは心の支えになってくれる存在として「お守り」のようにあり続けてきたからだろう。「布に触れてほしい」ということが見えてきた。暮らしの中で、大切な場所、大切な時間を共にできるものとして「本」にたどり着いた。その秘められた力を少しでも宿すことができているなら、この本はもっと多くの人々へも生きるヒントを与えてくれることでしょう。功績や名誉を得るためでなく、誰かが誰かのために、人と人が繋いできた全て、そしてこれからへ。

読んでのまとめスケッチ

回り、繰り返されていく様を想って、描きました。

読んでみて繋がったこと

表紙を開けた先に本があり、背表紙がない側を背にして読むようになっています。製作に2年間かかったということでした。内容は言うまでもなくも良いのですが、今回はその特殊な本の作りもあって、本自体やその構成・写真に目がいきました。

重ねてあり、背表紙がない、独特な仕様になってます。

写真が綺麗なのですが、ただ一般的な綺麗さではなくて、自然がそのままもつその美しさ、そのありのままさが表現されていました。私が撮ると自分なりの綺麗に見える角度や加工でフィルターをかけてしまい、昭和村にあるものをそのまま表現することはできないと思います。過度に美しくせず、装飾せず、そこにあるものをそこにあるまま写す。写真とは元々そういうものだったなと思い出させてくれます。

写真を撮られた田村さんも長い間昭和村で過ごされて写真を撮っていたということでした。長く住んでいたら撮れるものではなく、慣れすぎてしまえば、当たり前になってしまい、気づかないその美しさをその美しさのまま加工せずに見せることはできないと思います。変わるけど変わらないこと、根幹が繋がっていて、それをつなげてきた人たち一人一人を丁寧にみてきたから撮れる写真じゃないかと思います。

本に実際にからむしが使われている特装版もありますが、私が買ったは普及版です。昭和村で造られた布を触ることができなかったのが残念ですが、その営みの一部に触れることができてよかったと思います。読むだけではわからないこと、実際に距離としても遠いことなどありますが、それでも僅かに感じれることがあり、一般的な本より文章は少ないですが、本を読みながら思う風景や、想像する時の緩やかな流れの膨大さを感じさせてくれる本でした。

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