青春の味、バナナ・オレ
「バナナ・オレ、あらへん…」
「あんな、おれ実家帰ったら、いつも飲みたくなるもんがあるねん。わかる?わかるよな?そう、紅茶。おれ実家で飲む紅茶がめっちゃ好きで。なんでか知らんねんけど、ついつい淹れてまうねんな。」
「っていうのも、たぶん、昔から飲んでたからやと思うねん。なんか、うちのおかんって小洒落てて、「紅茶が好きなのよぉ〜」とか言うんさ。んで、その影響もあって、小学校低学年からずっと朝食のおともは紅茶。ティーパックで出すやつな。」
「お砂糖は一個やねん。ミルクはいれへん。んでおもしろいもんで、高校時代は陸上しててんけど、部活ってしんどいやん?めっちゃ走るわけやし、昼間は学校で勉強もしてるわけやし。そういうのを経てたころって、お砂糖は三個やってん、激甘党やろ?いまはな。3個も入れたらよー飲めへん(笑)」
「味覚って変わるんやなぁって。でももしかしたら、学生時代よりも疲れてへんのかもしれへんなぁ。あの頃が1番ハードワークやったんちゃう?
みんなもそうじゃない?「よくやれたなぁ、あの頃…」って。」
「ほんで。まあおれ帰ってきたねん、実家に。近所に自動販売機があんねん、実家には。そこにな、売ってるねん、バナナ・オレ。いつもお腹痛くなるねん、飲んだら。でも飲みたくなるねん、バナナ・オレ。思い出深いわけでもないんやけど、なんかあったわけでもないんやけど、なんなら紅茶のほうがあの頃感あるし、思い出といえばそっちやねんけど、飲みたくなるねんなぁ、バナナ・オレ。」
「売り切れやったわ」