Apple 信者は Pixel 4 に移行できるのか
※本記事で使用している Pixel 4 は Google 社からご提供いただいています。
先日、Google の最新スマートフォン「Pixel 4」が発売された。
わたしがはじめて買ったスマホは iPhone 3GS で、そこから iPhone ばかりを使い続けてきた。MacBookPro は 3代目、最近は iPad にも手を出してしまった。周辺機器でいえばマウスやキーボード、うどん、アポーペーンも使っているし、もちろん WWDC や新製品発表会もチェックしている。そこそこ敬虔な信者といってもよいだろう。
そんな信者的にも、昨年発売された Pixel 3 は大きな衝撃だった。適当に撮影したごはんが美味しそうに映る、ポートレートモードの精度が高い、暗闇でも明るくはっきり映る。 Pixel 3 のアウトカメラは、当時主流となっていた二眼ではなく一眼しか搭載されていなかったにもかかわらず、驚異的な「映え」だったので、これからのカメラは、ハードウェアの性能ではなくソフトウェアの性能で勝負するような時代になったのだと感じさせられた。そんな Pixel 3 の後継機の Pixel 4 なのだから、期待しないはずがない。
Pixel 3 ← → Pixel 4
Pixel 4 を2週間くらい触ってみて
まず驚いたのは、その操作感だ。Pixel 3 に比べて、最新の Android 10 が搭載されている Pixel 4 の操作感は、かなり iPhone に近づいた。ホーム画面に戻る動作は、iPhone と同様に、下から上に弾くようにスワイプする動作に、アプリを切り替える動作も同様に、下から上にゆっくりスワイプする動作になった。
これはもはや iPhone なのではないか…?
実際、ときどき、どちらを触っているのか分からなくなることがあった。
とはいえ、大きな違いもある。特にホーム画面なんかには思想の違いを感じるし(すべてのアプリをホーム画面に配置する iPhone と、よく使うアプリや機能をホーム画面に配置する Android )、また、Pixel 4 のロック画面にはカメラアイコンがなかったり(電源ボタン2度押しでカメラが起動する)、スクリーンショットの撮影方法が違ったり(電源ボタンを長押しすると出てくる「画面の保存」を選択)戸惑うこともあったが、すぐに慣れた。
個人的に「乗り換えてよかった」と思ったこと
持ち運ぶケーブルがぐっと減った
USB Type-C に統一されたので、持ち歩くケーブルが減った。Type-C は正義。
iPhone X 時代 ← → Pixel 4 時代
余談だが、Anker のこの充電器、Macbook Pro を充電できるのにこの薄さは最高。
Google 系のサービスとの連携が強い
Google Nest Hub(スマートスピーカー)に「OK Google, 携帯を鳴らして」と話しかけて、スマホを鳴らしてもらう機能、Android しか使えないこの機能が、やっと使えるようになった。よく家の中でスマホを見失う私の悩みがこの機能で全部解消された、ありがとう、Google!
あとは、PC では Chrome を愛用していたこともあり、ブラウザ周辺の移行は自動で行われてすごく便利だった。Apple 信者のなかには、仕事ではChrome 使っているとか、Windows 使わなきゃいけないとかいう人もいると思うけれど、 Google のサービスは iOS、Android、MacOS、Windows と複数プラットフォームで展開しているものが多いので、複数プラットフォームをまたぐ場合は、圧倒的に Google 製品の方が使いやすい。特に、Apple の Safari のパスワード保存機能は、Safari を入れられない OS の端末では使えないのですごく不便。
Apple 製品を本当に便利に使うには、PC もスマホもブラウザも全部 Apple 製品使わないといけないんだなあと思わされる。
写真がきれい
iPhone X 時代は、食べ物が美味しく見えるように明るさを調整することが多かったが、それがなくなった。適当に撮った写真もそれなりに美味しそう。Pixel 4 ではどうやら星空が撮れるらしいけど、一度も撮る機会がなくて試せていない。
ポートレートモードもパキッと綺麗で好き。
Google Discover の精度がすごくいい
Google Discover は、普段検索しているワードから興味あるトピックを推定して記事をキュレーションしてくれるサービス。精度が高いので、ピンポイントで興味をそそられる記事が多くていい。
Pixel のホーム画面を横スワイプするとすぐ見れる、アクセシビリティもいい。
Google アシスタント賢い
Pixel 端末の下部をギュッと握ると、Google アシスタントが立ち上がる。Siri はまったく使っていなかったのだが、そのアクセシビリティの良さも相まって、Google アシスタントはかなりの頻度で使うようになった。
「〇〇(アプリ)を開いて」とか「タイマーを5分設定して」といった使い方はもちろんできるし、Google Home に登録している家電の操作もできて、個人的にはとても便利だ。また、別売の Google Pixel Stand を使うと、Qi でワイヤレス充電ができつつ、Pixel 自体が Google のスマートスピーカー的な使い方ができるようになる。
一本化できた感があっていい
わたし自身、iPhone を使っていながらにして Google のサービスをたくさん使っていて、Safari も Chrome も使うとか、写真 も Google フォトも使うとか 、マップ ではなく Google マップを使うとか、カレンダーではなく Google カレンダーを使うとか、かなりゴチャゴチャしていた。Android にしてから Google のアプリケーションに一本化されて、個人的にはシンプルになって良かったと感じている。(そもそも Android ではあまり Apple のサービスリリースされてない。2019年11月時点で Play ストアで確認できたのは、Apple Music、Beats、Move to iOS の3つのみ。)
逆に Apple の提供するアプリケーションをずぶずぶに使っている人は、Android 移行はただの修羅だと思うので、やめたほうがいい。
iPhone の方がよかったなと思ったこと
AirDrop が使えない
写真シェアするとき「AirDrop でいいですか〜」と聞かれる率の高さよ。
iOS しか対応していないアプリがたまにある
最近困ることは減ってきたけど、たまに iOS しか対応していないアプリがある。例えば最近だと、デロンギのアプリが Android に対応してなくてウオオオオ〜ってなった。
スマホケースやカバーガラスの選択肢が圧倒的に少ない
わたし観測史上日本で一番大きい電気屋・アキヨドでも、Pixel 4 関連アイテムはこの取り扱いの少なさなので、基本ネット通販で買お。
対する iPhone はこの豊富さ。
新発売の Apple 製品の話題に乗れない
AirPods Pro が発売されてみんな「もはや耳」とか騒いでいたけど、Android なのでその盛り上がりに便乗できなくて、疎外感があった。わたしも Apple 製品に物申してキャイキャイしたい。
ガジェットファミリーの豊富さ
Apple はハードウェアの会社なので、iPhone だけではなく iPad、Mac、Apple Pencil、AirPods、Apple Watch、Apple TV 等々、豊富なガジェットファミリーを抱える。
昨今、ガジェットの性能を語るとき、単体の性能だけに着目する時代ではなくなった。Apple で言えば、iPhone と Mac 間などの Apple の端末間で、「ユニバーサルクリップボード」と呼ばれるペースト機能の連携をすることができたり、話題の AirPods Pro も、音質の良さはもちろんだが、やはり iPhone とスムーズにペアリングする利便性がその人気の大きな理由だろう。Apple 製品を使えば使うほど Apple 製品を使いたくなり、ユーザーはずぶずぶと Apple 沼にはまっていく。
Google もこうした Apple の動きを視野にいれているのだろう、徐々にガジェットファミリーを揃えてきている。Google Home などのスマートスピーカーやスマートディスプレイシリーズや、Chromecast シリーズ、Google WiFiシリーズなど、どんどん増えてきた。特にこの冬発売の Google 版うどん「Google Pixel Buds」は個人的にとても楽しみだ。
プロダクトの美しさ
個人の好みによるかもしれないが、なにもカバーをしていない状態の iPhone X はガラスボディならではの高級感あるデザインに仕上がっている。Pixel 4 もかわいいデザインなのだが、個人的には iPhone X の美しいデザインの方が好きだ。
OS 乗り換えというハードル
なんやかんやで、OS 乗り換えのハードルは高い。この高いハードルを超えるための一助になるよう、Pixel 4 には付属品として、USB Type-C to Type-Aの変換コネクタがついている。
iPhone からの乗り換えの場合、付属の変換コネクタとライトニングケーブルを使って、Pixel と iPhone を接続し、データの移行を行う。iPhone のデータの暗号化はあらかじめ解除しておく必要があるので、そういった準備は事前に終えておく。だいたい25分程で移行が完了した。
移行できるデータは、アプリ、連絡先、写真と動画、音楽とその他音声、メッセージ、メッセージの添付ファイル、カレンダー。
アプリは、Android でダウンロードできるものはインストールしておいてくれる。わたしの場合、使っていたアプリ 181 個中 85 個がAndroidでも見つかり、自動でインストールしてくれた。
主要なアプリは Android にも対応しているのだろう、いまのところ、特に困ってない。
移行でめんどくさかったこと
LINE の移行
異なる OS 間の LINE 移行では引き継げないデータがある。トーク履歴もそのひとつ。同じ OS 間であれば、トーク履歴のバックアップをとって、新しいスマホにトークを復元させることができるようだが、異なる OS 間ではトークを復元する方法はない。
「あの時なんて言ってたっけ」「あの話してなかったっけ」と過去のトークをよく振り返るわたし的には、けっこうつらい。
PC 版や iPad 版のアプリケーションを昔からインストールしていれば、異なる OS 間でのアカウント移行を行ったあとも、各端末にアプリをインストールした時点からのトーク履歴を、引き続き見ることができる。
しかし、個人的に iPhone X 内のトーク履歴が全部消えてしまうのは忍びなかったので、LINE の iPhone → Pixel 移行は行わず、Pixel では、主に海外利用者を想定した LINE の軽量版「LINE Lite」を インストールして使うことにした。
LINE Lite は正式には日本では使えないので、apk を公開しているサイトから apk をダウンロードしてインストールした。(これはセキュリティ的にとても危ない行為なので、推奨しない。はやく公式で対応してほしい。)
追記: LINE Lite を使ったハックはできなくなりました。(2020.05.04)
LINE の移行に関するわかりやすい記事 ↓
パスワードマネージャーの移行
最近のブラウザは便利で、パスワードの自動生成&自動保存機能がありますね?
あれはめっちゃ便利だが、移行はマジで修羅。iPhone でうっかり Safari 使っちゃってた人たちは手打ちで移行させるしかない、がんばろ。
まとめ
Pixel 4 は Android ユーザーなら確実に乗り換え候補に入る良い端末だし、iPhone ユーザーにとっても iPhone とはまた違う便利さを感じることができる端末だと思う。
わたし自身は、Google 系のサービスをよく使うので、乗り変えたことですこし便利にシンプルになった実感がある。
しかし、OS 間の乗り換えは正直手間だった。各社自社のハードウェア、ソフトウェア、サービス同士の連携が進んでおり、その便利さゆえ、ユーザーはどんどん囲い込まれているんだなあと実感した。これから Apple Card が日本でも始まったら、もう Apple ユーザーは Apple から抜け出せなそうだ……。
そろそろ、Google と Apple どちらの帝国の住人になるのか、我々は心を決めなくてはいけないのかもしれない。