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代償
変遷については最初の記事でお伝えしている通り。
だが、どうもニコンS3の事ばかり書いた気がする。
それもそのはず。ニコンS3が今のお気に入りとなっているからだ。
このカメラを気に入っている点はズバリ、その「特異性」。
内爪?外爪?フォーカスギア?レンズ装着時の「ビョーン」という、なんとも言えない音?そもそもレンズのロックはボタンとかじゃなく、板バネみたいなものなのか、という疑問?
どれもなんかこう、いちいち色々とくすぐってくれる。
ご存知ない方もいらっしゃるだろう。ここでひとつ、紹介させてほしい。(いやたまらなく気に入っているから語らせてくださいお願いします)
機械式のカメラで写真を撮る際の所作のひとつ、「ピント合わせ」。
このカメラでは、レンズのピントリングなんてものは使わない。ピントを合わせるために、レンズそのものが回って動く。
どうやって動くのか。
ニコンのレンジファインダーは、「コンタックス式」と言われるタイプであり、シャッターボタン側のボディ正面にギアが頭を出している。それを回すとレンズマウントそのものが連動して回転し、レンズごと前後に動かす事でピントを調整する。
使ってみると案外、細かい操作は右手に完全に集中、「左手は添えるだけ」状態となり撮影時の安定感が得られる。
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![](https://assets.st-note.com/img/1720792977198-01dnZMZtwm.jpg?width=1200)
ボディ側のギアを回してフォーカスを当てる。指でギアを回し、中の歯車を伝ってレンズそのものを回転させるが、決して軽い動作とは言えない。
とっさに焦点を合わせたい時には、割とせかせかと人差し指を動かす。皮がめくれそうになる。結構痛い。
左手でレンズそのものを動かせばいいじゃないか。そんな意見もあるだろう。正直、そんな事言われなくても、自分でもそう思う。
だが、こんな操作方法ができるカメラは限られる。もはや珍しい操作方法なんだから、むしろその操作をしたいのだ。いや、させてほしい。
これはもう「したい事」に対する「代償」で、このカメラを使う事で人差し指の皮が削れようが構わない。
欲しいものを手に入れるには、それなりの代償を払わねばならない。無償で得られるものなどあるものか。
このカメラを使いたい、その楽しみのために、自らの指を削らせていただいているのだ。
軽い狂気である。
やっぱりヒリヒリするからたまには中指も捧げよう。