動画ディレクターって、ぶっちゃけ何してるの?仕事内容は?
こんにちは!BtoB向け動画ディレクターのいけだです。
動画ディレクター歴12年生になりました。転職2回を経て、現在は動画制作のベンチャー企業で、説明・集客用アニメーション動画のディレクターをやっています。
今回は
と疑問をお持ちの方に向けて、お手紙のような気持ちで記事を書きました。
実はディレクターという仕事は、同じクリエイティブ業界でも「何をしてるのかイマイチよく分からない謎の人」扱いされることが多いんですよね。
私自身、過去に勤めていた会社で、クリエイター出身の上司から
「で、毎日何してるの?」「意味あるの?」「給料泥棒じゃない?」
と言われ続けてました。(辛かった)
同じ動画制作でも、ディレクターはクリエイターのように「●●作りました!」というような成果物がありません。だから仕事内容をイメージしにくいんですよね、きっと。分かります。
ということで、私の動画ディレクターの仕事についてご紹介させていただきます。
動画ディレクターってなにする人?
動画ディレクターとは、すなわち動画をディレクションするのが仕事です。
英語でディレクションとは、「方角・方向・指示・指揮・命令」といった意味。ビジネスでは「指示や指揮・進行管理」という意味合いで使われます。つまり「動画制作の指示・指揮・進行管理をする人」と考えてください。
ただ、一言でディレクターといっても仕事内容は携わる動画の種類や会社によって様々です。
・テレビ局の番組ディレクター
・YouTubeのチャンネルディレクター
・制作プロダクションのディレクター
・企画・制作会社のディレクター
・ミュージックビデオのディレクター
・アニメーションのディレクター
などなど。
プロダクションによってはディレクターがプロデューサーや営業と兼任することもあるし、広告運用もやってる会社ならマーケティングフォローまで担当することもあるし、YouTube動画ディレクターには撮影編集もやっちゃう人がけっこういるし、ディレクターの仕事範囲は組織や会社、案件によっても様々です。
ただ1つ、どんなディレクターにも共通しているミッションがあります。
それは「企画~納品まで、全工程で責任もって動画と向き合う」ということです。
1つの動画が出来上がるまでの間に、実に多くの制作ステップを踏むことになります。全工程にきちんと向き合い、調整するのがディレクターの役割です。それゆえ、仕事内容は本当に多岐にわたるのです。
動画ができるまでの工程
ディレクターは動画ができるまでの全工程に携わる、というお話をしました。では動画制作を受注してから納品までにはどんな工程があるのか、ざっくりご説明します。
これらの工程すべてを、クライアントや関係者とコミュニケーション取りながら進行管理・予算管理していきます。1つの動画が出来上がるまでに、だいたい1~2カ月程度が多いでしょうか。中には2週間という超短納期案件や、はたまた1年というロングプロジェクトとなった案件もあります。
いかがでしょう。「詳しくはよく分からないけど、なんだか色々やってるなぁ」というのは感じていただけますか?
この「なんだか色々やってるなぁ」ともやっとした感じが、ディレクターは謎多き仕事だと言われる所以ではないかと私は考えてます。
しかしこの工程の中には、並々ならぬ努力と良い動画に仕上げたいという責任感(プレッシャーとも言う)が、ぎゅぎゅっと詰まっているのです。
動画ディレクターの「企画」とは?
ディレクターの仕事が広範囲に及ぶということは理解いただけたかと思います。
ということは、「動画ディレクター=動画制作の全責任者」ともいえるわけです。ディレクターがテキトーなことやってると、動画制作自体が赤字化、納期間に合わない、大炎上。ヘタこけば案件失注、最悪の場合は損害賠償の発生なんてこともありえます。
そんな最悪な事態を避けるためにも、めっちゃくちゃ大事な工程があります。
それは制作に入る前の「企画」。
システム開発やWEB制作では「要件定義」と呼んでいる工程に近いと思います。ディレクターと呼ばれる人達が一番苦労する工程ではないでしょうか。
企画段階は、動画完成まで絶対にブレない土台を、最初からきっちり固めておく工程です。
そう、実際に動画を制作する前から戦いは始まっているのです。
たとえば1つの商品のプロモーション動画を作るケースなら…
(ここから長いです)
まずはクライアントからのヒアリングで、動画の使用目的や使う場所や予算などを聞きだします。後述しますが、このヒアリングがめちゃくちゃ大事です。
その後、商品に関する膨大な資料や営業ツールなどを読み込んで理解の深掘り→課題と目的を明確化、同業他社の調査などのリサーチを重ね、必要な情報を集めます。
情報が揃ったら、動画の方向性や演出案を考えて書き起こし、企画書に落とし込んでプレゼン。(サラっと書いてますが、案件によってはこの企画書作成にめちゃくちゃ時間と労力を費やします。3日間考えこんで熱出たことも)
恐ろしいことに、ここまでやっても受注が決まってない・契約に至ってないこともままあります。コンペなら負けたら利益ゼロです。(白目)
企画書が通り、無事に受注が確定したら、ここでやっと台本の作成に入ります。
え、まだ書くの?長いよ。
多くの制作会社ではディレクターが台本を書きます。ナレーションやセリフと演出を同時並行で考えていくんですね。
しかし、シナリオライターさんなど、シナリオを書く専門の人と協力しながら作ることもあります。この場合、ストーリーや構成はライターさん、演出の部分はディレクターが考える、といった共同作業で進めていきます。
台本が一発でOKになることはほぼないので、何度かクライアントとキャッチボールして、台本の校了を目指します。
さて、ここまできて台本が校了したら!!ようやく、クリエイターさんが編集する「制作」が見えていきます。
長かった!短くまとめたつもりなのに長かった!読んでくださってありがとう!
とにかくこの企画段階をしっかりやっておかないと、制作に入った後で大炎上案件となってしまうこと必須です。
ディレクターの使命は、炎上案件にさせないこと
さて、さっきから「炎上案件」という単語がしきりに出ていますが…炎上案件とはどういった案件か、イメージできますか?
簡単にいうと次のようなものです。
編集後の無限修正ループ
制作に含まれていない作業が突然追加
唐突な値下げ交渉
突如言い渡される納期短縮
納品手前で「思ってたのと違う」「よくわかんないけどなんか違う」というちゃぶ台返し
「言った」「言わない」論争
などなど…うう、思い出しただけで胃が痛い。いろいろあった。
こういった炎上を防ぐために、企画の段階でしっかり土台を固めておく必要があるのですが、特に大事なのが一番最初のヒアリング。次の4つは必ず深掘りして聞き出します。
ヒアリング時点で、クライアントの要望をどれだけ引き出し、はっきり具現化できるかがとても大事になってくるのです。
よって、ディレクターにとって一番必要な能力は「コミュニケーション力」だと私は考えてます。ざっくりしてますが、クライアントの話を「聞く力」と、聞いた上で本当に望んでいるものを「引き出す力」とでも言いましょうか…。
ものっすごい有能な営業さんと仕事するとめっちゃくちゃ助かるのは、企画の最初の段階である程度クライアントの要望が具現化できてるからなんですよ。
ここをないがしろにすると、一緒に動画制作をしてくれるクリエイターさんを苦しめることになってしまいます。仕事を持ってきてくれた営業さんの期待にも応えられなくなってしまう。
クリエイターさんが安心して、自身のクリエイティブを発揮できるようにすること。いろんな案件を経験してきましたが、良いコンテンツを生み出すには結局これが一番近道だなと今では思います。そして納品まで安定して進行できるよう、目を光らせておくこと。それがディレクターの使命だと考えてます。(少なくとも私は、ですが!)
まとめ
めっちゃくちゃ長くなってしまいましたが、読んでくださってありがとうございます!
動画ディレクターの仕事をまとめると、こんな感じです。
いろいろ書きましたが、ディレクターの仕事が大好きで、気づけば10年以上やってきました。案件が変わるたび、携わる人も作るものも変わるので、日々勉強させてもらってます。
良いものを作ってくださるクリエイターさんにも、仕事を取ってきてくださる営業さんにも、いつも感謝しています!
そして、もしこれからクリエイティブ業界を目指す人がいれば、ディレクターという仕事にもちょっとだけ興味を持っていただけたら、すごく嬉しく思います。
Twitterもはじめましたので、ぜひ遊びにきてください。
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