日本じゃないからこそ得られる面白さ
普段読んでるマンガの時代や舞台の設定、気にされてますか?
個人的にはあんまり気にしてませんが、それは気にならないという方が正しい気がします。
ファンタジーは西洋が多いですが、歴史もの、SFなども、まあ肌感覚でなんとなく理解できてる感じです。
しかしこれが現代劇で、なおかつ海外が舞台になると一気に「よう分からん」が増えてきます。そこで、引っ張り続けてくれるかどうかがその作品のパワーなんじゃないかと思うのです。
という訳でご紹介するのがこちら
『上海ルーザー』(著:叶輝(かのう あきら)、出版社KADOKAWA、ISBN9784047378018)
何となくではありますが、マフィアってヤバイじゃないですか。それがもうダイレクトに描写されています。主人公・ルイが行った「お節介」が上海マフィアの逆鱗に触れ、家も家族も恋人も傷つけられてしまう。
正直、ここまでやるのか…と思うほど徹底的にやることに恐ろしさを感じます。血も涙もない、というのが比喩になりません。でも、ルイはあくまで復讐を決めます。そして、あるシェアハウスでの出会いも彼の意気込みに拍車をかけるのです。
復讐譚って、結構暗いテイストで読んでいてもツラかったりするんです。絵柄が暗かったり、善キャラ→悪キャラになったり、目的のためなら手段を選ばなかったり。でも、叶先生の絵柄は結構モノクロでも白多め、キャラクターもすっきりしているので読んでいて暗い気持ちになりません。なにより、主人公であるルイが前向きに復讐を行う(変な感じですが)ことが作品全体の雰囲気を爽やかにしています。
そういった意味で、彼が今後同じルーザーたちとどうやって上海黒社会に立ち向かっていくのか。そして、ルイと幼馴染だった黒社会の一員であるズハオとの関係がどうなっていくのか。
2巻以降も楽しみにしたいと思います。