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緑紫ルフィで学ぶ デッキ構築の教科書
2月のワンピースカードは大「緑紫ルフィ」時代。
2月9日に実施された「チャンピオンシップ2024 日本一決定戦」では、19/63人が使用。頂上レベルの公式大会の参加者が約3人に1人は緑紫ルフィを選んだという事実。「名実ともにTier 1リーダー」が証明されたといえます。
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これだけ話題のリーダー、自分でも使ってみたいところですが…問題があります。『6ルフィ高すぎて、いまさら緑紫ルフィ組めないよ』問題です。
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でもこの6ルフィ、発売から5日ほどは1600~2000円程度でシングル購入できました。それがいまや4000円。それほどに「緑紫ルフィ」は後から急激に評価が広まったリーダーです。
…ちょっと悔しくありませんか?
強い人たちはこのリーダーのポテンシャルに早期に気付き、大会で結果を残し、デッキも安く組めています。後追いで慌てて組む頃には、デッキは高く、周囲は緑紫ルフィの対策を始めており、先駆者ほどはノビノビと勝てない。
『自分でデッキを組めれば、同じように気付けたかもしれないのに…』
そう思った人にこそ読んで欲しいです。覚えましょう、デッキ構築。
冷静に考えて、リーダー効果で特徴《麦わらの一味》に縛っているから、このリーダーは詰めやすかったはず。しかも、今の一般的なリストを見るに、同弾の収録カードがそのままデッキの主軸です。多少デッキ構築に心得があれば、たどり着けないわけがなかった。
今回はこの「緑紫ルフィ」を具体例として、「ワンピースカード全般のデッキ構築論」をお伝えします。
デッキ構築は以下の3つのステップを抑えるだけで、飛躍的に精度が上がりますし、組むこと自体が楽しくなります。
STEP1:リーダーを”しっかりと”分析
STEP2:まずは”素直に”組む
STEP3:”調整で”自分らしさを出す
この3つを”この順番を守って”行うことが大切です。早速、順に解説していきます。
自己紹介
現役プレイヤーです。「カードゲーム地力のちょい底上げ」をコンセプトに「一過性の“情報”だけではなく、長く使えて応用が利く”理論”を伝えること」を大事にしています。
「ワンピカードの教科書」は累計ビュー5万超え、累計スキ1200超えと非常に好評で、私の記事の方向性やクオリティの基準にもなっている代表作です。
他の過去noteも以下にまとめているので、よければ読んでみてくください!
STEP1:リーダーを”しっかりと”分析
いきなりですが、重要なことをお伝えします。
『デッキを組むときに、自分で考えるな』
これを肝に銘じてほしいです。これが最速でデッキ構築の初心者を脱するコツ。
『え、自分でデッキを組めるようになりたいのに、自分で考えるなとは…?』と思うかもしれませんが、聞いてください。
デッキ構築に慣れていない人ほど陥りやすいのが、いきなり自分で考えたり、オリジナリティを出そうとすることです。
『緑紫ルフィのデッキを組むぞ!』と思い立って『緑と紫の特徴《麦わらの一味》か…なら紫のカードでドンを加速して、9コスト《モンキー・D・ルフィ》や《ロロノア・ゾロ》を使うか!』みたいに勝手に自分で戦いかたを想像していませんか?
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ダメとは言いません。それも楽しみ方の一つです。ただデッキ構築の手順としては迷走ルートまっしぐら。納得の形になるまで何倍も時間がかかります。
デッキ構築はセンスでやるものではありません。リーダーカードを「分析」することで自然とあるべき形が見えてくるものです。
それを踏まえて「緑紫ルフィ」というリーダーをしっかり分析しましょう。リーダーカードだけでも、見るべきポイントはいくつもあります。
リーダー効果
特徴
ライフ
パワー
色
これらすべてを分析していきます。
■リーダー効果
リーダー効果を咀嚼し「本質的に何が起きるのか」を紐解きましょう。
・自分の場のキャラが特徴《麦わらの一味》を持つキャラのみの場合
⇒『《麦わらの一味》でデッキをつくろう』という開発からのメッセージです。カードプールが膨大になっている今、この縛りはかえってありがたい。最初から選択肢が絞れます。
・ドン-2してレストのドン2枚をアクティブにする
⇒言い換えれば次ターン分のドンの前借りです。次ターンのドンが伸びない代わりに、今2ドン多く使えます。瞬間的には相手リーダーより多くのドンを使用でき、中盤から出力に差をつけることができます。
・リーダーのパワーがターンを跨いで6000になる
⇒リーダーのパワーが上がるのは攻防一体の効果です。攻める時には相手にカウンターを1000多く要求し、守るときには余分に1ドンの付与を要求する。往復でパワー2000以上の価値があります。当然、ゲーム中に複数回使用した方がこの恩恵は大きくなります。
これだけでも、ドンの前借りタイミングが少し見えてきます。あまり早期にリーダー効果を使いドンが伸びなくなると、ゲーム全体の使用ドンは損します。一方で、リーダー6000のターンは多いほうが良く、ゲーム中に複数回リーダー効果を使用するほうが得。
落としどころを考えると、6ドン~8ドンあたりでリーダー効果を使い始めたほうが強味を活かせそう。『…ということは、緑紫ルフィは大型キャラを目指すリーダーではないのかも?』が見えてきます。
同じ緑紫のリーダーもライバルです。安定してドンを加速し大型キャラを目指すなら《リム》、緑紫のカードプールを自由に活かすなら《ドンキホーテ・ドフラミンゴ》がいます。
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リーダー効果の分析だけでも、このくらいアタリが付けられます。私が「”しっかりと”分析」と強調したのは、このレベルまで掘り下げてほしいからです。
しっかりと分析すれば「緑紫ルフィ独自の強み」が輪郭を帯びてきます。後で他の要素と総合的に判断するので、ドンドン行きましょう。
■特徴
「特徴《麦わらの一味》」を指定した、緑紫のカードを把握しましょう。
公式サイトの「カード検索」を活用し
自分のリーダーが特徴《麦わらの一味》
を検索ワードにするとすぐに見つかります。
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キャラの《麦わらの一味》指定なら他にもありますが、「リーダーが麦わらの一味」指定のカードは限られていることがわかります。
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「リーダー指定」のカードはその制約を免罪符に、同コスト帯のカードより一段強い性能になっています。一旦は全採用を検討していいでしょう。
この中で、特にカードパワーが高いのは《ゴムゴムの巨人》《ゴーイング・メリー号》。こういった縛り付きのパワーカードは、入れるだけでそのリーダーを使う強みになり、必然性も高めます。
なお、リーダーの名前を指定した「完全リーダー指定」はさらに強力な効果を持ちます。
自分のリーダーが「
で検索すると全ての完全リーダー指定カードが確認できます。リーダー《モンキー・D・ルフィ》には現状ありませんが、他のリーダーでデッキを組むときに向けて、把握しておきましょう。
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■ライフ
ライフは4、混色リーダーの標準値。可もなく不可もなし。
■パワー
パワーは5000、リーダーの標準値。リーダー効果でゲーム中盤以降は6000になるので、実際はもっと硬い。
■色
見ての通り「緑」と「紫」。『緑と紫のカードが使えるのか…』ではなく。もう少し踏み込んで意識すべきは「ワンピースカードにおいて緑/紫という色は、どういう個性を持っているか?」です。時に例外はありますが、ワンピースカードは色の領域がしっかり分かれています。
▽緑の主な個性
キャラやドンのレスト、次のアクティブ禁止、レストのキャラ限定のKO
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▽紫の主な個性
ドンの加速、ドンを瞬間的な爆発力に変換、多彩な効果を持つが器用貧乏(効果範囲が控えめor他色以上の効果には相応のドンが必要)
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加えて、色ごとの主要な大型キャラも把握しておきましょう。
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色の個性と主要な大型キャラを把握することで「緑紫混色リーダーの強みとは?」に具体性を持てるようになります。構築時の思考整理や、新たな採用カードを閃く誘因になるため、一度は通りたいプロセスです。
■総合分析
おおよそ分析が出揃いました。後はそれぞれの要素が重なる範囲を探し、「緑紫ルフィ」ならではの形を固めていきます。
・緑&紫:どちらも直接的なKOが不得手
・リーダー効果:ドン-2で2ドンアクティブ
・麦わら専用カード:《ゴーイング・メリー号》
⇒相手キャラに干渉するより自分から盤面をつくる色の組み合わせ。リーダー効果を活かして中盤にキャラ展開し、アタック主体で戦うリーダーか…?メリー号のコスト増加で除去耐性が高いのも、中盤の盤面形成に噛み合っている。
・ライフ4
・麦わら専用カード:《ゴムゴムの巨人》
・リーダー効果:パワーが6000になる
⇒相手キャラに付き合わず殴り合いに持ち込んでも、自分のリーダーを守り切る能力が高そう。
・緑:レスト効果が得意
⇒ブロッカーの貫通能力が高い。攻めをそのまま押し通すプランが可能かも…?
・大型:特徴《麦わらの一味》限定
・リーダー効果:ドン-2で2ドンアクティブ
⇒リーダー効果の縛りから、採用圏内は7ルフィ、7ルフィ太郎、9ゾロ、9ルフィあたり。一方でリーダー効果の使用タイミングから、相性はあまりよくない。重くても7コストが限界か…?
総合的にみて「中盤にピークをつくり、展開したキャラでそのままリーダーをガンガン攻める、攻撃的なデッキ」が向いてそう。
ここまで見えれば、デッキ構築は半分終わったようなもの。
具体的な採用カードを決める、次のステップに進みましょう。
「STEP1:リーダーを”しっかりと”分析」まとめ
・リーダー効果、特徴、ライフ、パワー、同色の競合と比較して「独自の強み」を把握しよう
・色ごとの個性と主要な大型キャラから「色の強味」を把握しよう
・「独自の強み」と「色の強み」が重なる範囲に、そのリーダーならではの形がある
STEP2:まずは”素直に”組む
『デッキを組むときに、自分で考えるな』継続中。オリジナリティを出したい気持ちはまだ我慢して、まずは”素直に”組んでほしいです。
素直に組むのは本当に簡単で、3工程で終わります。
①同じ弾のカードから主要パーツを採用
↓
②過去弾から①と相性が良い強いカードを採用
↓
③2000カウンターを12枚入れる
たったこれだけです。
①同じ弾のカードから主要パーツを採用
ワンピースカードはカード収録が非常に良心的。基本的にそのリーダーが使うべきカードの多くは同じ弾にあります。
「緑紫ルフィ」というリーダーの性質を知った後に、同弾のカードリストを見てください。
《モンキー・D・ルフィ》《サンジ&プリン》《ロロノア・ゾロ》《ナミ》《フランキー》《ニコ・ロビン》《ゴーイング・メリー号》…etc
全部、用意されています。開発を信用して、素直にぶち込めば28枚の土台が出来上がり。
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②過去弾から①と相性が良い強いカードを採用
①のひな型から「このデッキの主力は《サンジ&プリン》と《モンキー・D・ルフィ》で、それらを《ゴーイング・メリー号》のコストアップで除去から守り、サーチする《ナミ》で安定感を上げる」というゲーム進行が見えてきます。
次に過去弾《麦わらの一味》の強いカードを確認してみましょう。
後攻の4ドンターンに出せる《ゾロ十郎》という最適なカードがあり、ナミだけでは心もとないサーチも《海は海賊が相手だ!!!》で補助。また「■特徴」の項目でも触れたリーダー指定の強力カード《ゴムゴムの巨人》は素直に採用しましょう。
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これで合計40枚が埋まりました。
③2000カウンターを12枚入れる
経験則も含みますが、ワンピースカードの丁度良い2000カウンターは12枚です。後で、デッキの特性にあわせて8~16枚の範囲で調整はするのですが、まずは素直に12枚から始めましょう。
早速《麦わらの一味》の優秀な2000カウンターを確認。
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この中だと、アタッカー&ブロッカーにもなる6コスト《サンジ》と、リーサルで大活躍する《ウソ八》は即採用。
残り4枚は、6ルフィ不在時にリーサルに絡む《フラの介》や、4コストキャラ不在時の事故軽減のFILM《サンジ》あたりが使いやすそう。
2000カウンターを12枚採用すれば2枚オーバーの52枚デッキになりました。
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ここから2枚削るだけで結構「デッキ」っぽくないですか?これならできそうですよね?
結果論ですが、この52枚は現環境の主流構築にかなり近づいています。
このようにリーダーを分析して素直に組むだけで、デッキのひな型は誰にでも生み出せます。
ここから10枚前後を詰めるところが、デッキ構築の本番です。デッキ構築と聞くと「50枚自分で組むもの」と思われがちですが、実際に自分で考え、悩み、調整を繰り返す枚数はそう多くありません。
「STEP2:まずは”素直に”組む」まとめ
・①主要パーツはリーダーと同じ弾のカードから採用する
・②その後で、過去弾から相性が良い強いカードを採用
・③2000カウンターは12枚入れる
・上記①②③の順番を守る
STEP3:”調整で”自分らしさを出す
お待たせいたしました。ここかようやく、オリジナリティを出せます。
私はこれまで『デッキを組むときに、自分で考えるな』と繰り返してきましたが、続きがあります。それは…
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