埼玉ポーズで挨拶する箱
noteの皆さんって温かいですね。
備忘録と予防線を張って、反応が貰えなくても「ま、まあ?自分のために書いてるだけだし?」と自分を慰めようと思っていたのですが、はじめましての投稿に沢山反応を貰えて小躍りしてます。
通知が来るたびに「私の投稿、また見つかっちゃったのか〜。参ったな〜。有名になったらどうしよう〜」と思ってます。きっと杞憂。
さて、せっかくなので直近にあった愉快な話を一つ。
私が推してる10人組ボーイズグループがいるのですが、先日彼らのライブに行きました。
私のオタ活スタイルは、興味があるものだけ参加する、というもの。時間がなければ生配信は追わないし、推しのためにSNSアプリを入れることもしない。収入源に乏しいので、ライブや遠征もほとんど行きません。
そんななか、会場へのアクセスもよく、チケット代も痛くないという好条件のライブに参加することにしました。
金と時間のことしか考えていなかったので、好きなメンバーの誕生日公演であることも知らず。好きな人の誕生日って覚えてるものですか?私は日吉若(テニプリ)の誕生日しか知りません。12月5日。
と、もう一つ。言っておかなければならないことが。
私って、そんな熱狂的なオタクじゃないんです。オタクはおろかファンとすら名乗ってはいけないと思います。本当に本当に、娯楽として彼らの曲を聴いているだけなので、メンバーの関係値とかこの前のインスタライブの内容とか、何にも知らないです。
加えて、私は推しと言う存在は手が届かないものだと思っています。雲の上の存在。殿上人。
だからお目見えするのも、私にとっちゃ禁忌を犯すようなもんです。握手とかサインを求めるだなんて以ての外。
そんな私に危機が訪れます。
お見送り会。
お見送り会です。なんだって?
ライブ後に私たち(ファン)を見送ってくれるんですって。なんだって?
ファンなんて見送らなくていいから、さっさと楽屋に戻って休んでくれ!!いらんことすな!!!
という叫びは届くはずもなく。きっとお見送りされることを望むファンの方が多いんだろうなと、私は現地でのオタ活向いてないなと、そう思いました。
まあいざとなったら、お見送り会の前に帰ろう、と心を決めてペンラを握りしめました。
ライブ中のことは特に書くことはありません。ないんかい。
トークも歌唱もダンスも素晴らしく。歌の上手下手が分からない私にとって、誰かの前で歌ってること自体すげーです。すげかった。
口から音源という表現(褒め言葉)で形容するのが相応しいほどでした。だから、「わざわざライブに来なくったって、家で大音量で曲流してペンラ振ればよくね?」と身も蓋も無いことをぼんやり考えました。彼らに触れることがなれけば、ライブ会場で彼らの映像を観ているだけという可能性も捨てきれないので。会場に相応しくない人間が紛れ込んでいたようです。ごめんなさい。
明記しておきたいのが、誕生日公演の主役(私の推しメンバー)です。彼は埼玉出身。私も埼玉出身です。そんなバースデーボーイにソロ曲の時間が設けられていたんですね。
以下ソロ曲ターン
彼「皆にお願いしたいことがあります!親指と人差し指をくっつけて丸を作って!もう片方の手でも作って!それを胸の前で交差して〜」
言う通りにする従順なオタクたち
彼「サビが来たらそのポーズで、その場で小さくジャンプしてください!」
混乱しているのに返事は立派なオタクたち
ははあ、分かりましたよ。あの曲をやろうって言うんでしょ。私だって埼玉愛なら負けません。
そう。はなわさんの「埼玉県のうた」です。
彼がスタンドマイクに声を乗せます。
ああ、好きな人が埼玉を歌ってる。
そんな埼玉に生まれて良かった。
私も埼玉大好き……!
彼『さらに郷土愛もない』
開始早々コケるかと思いました。はなわさん、私、あります!郷土愛、あります!
ずっと笑いながら聞いていました。この曲の楽しみが分かるの、埼玉県民の特権です。ちなみに私は、埼玉は千葉には勝てないと思う。
ライブ終了間際にメンバーがケーキを持ってきて、みんなでハッピーバースデーの歌を歌いました。平和な空間。幸せ空間。
アンコールにも応えてくれて、私の喉も枯れてきて、はあ満足。帰ろ。
怖いことを言います。私、まだ本題を書いていないんです。もうすぐ1700字なのに。
お察しの通り、帰れませんでした。
オールスタンディングだったんです。しかもキャパギリギリにオタクが詰め込まれていたもんで身動きも取れず。四方を人に囲まれ、これが四面楚歌……!?!?!?
だんだんと泣きたくなってきました。夢は夢のままで終わらせたかったのに。お見送りされたくない人間に人権はありません。
降りた幕が再び上がって、ステージの上に置かれた机の向こうでメンバー達が笑ってる。オタクたちは叫んでる。断末魔かと思いました。ある意味、断末魔だと思います。
順番にオタクがステージへ上がっていき、手をふりふりしながら降りて退場。直帰ルートはありません。たくさんの人間が踏みしめた場所が、道となるのです。自然界と同じです。
何人かのオタクに先を譲りながら、なんとか粘りました。しかし、時は来た。
ステージへの階段を駆け登る時が来ました。私がアイドルなら、きっと高揚感に満ち溢れていたでしょう。しかし私には緊張感と嫌だな〜って気持ちしかありません。
テーブルの幅分、ディスタンスが取られていたのが救いでした。感染対策の名残でしょうか。ハイタッチが許されていないのも救いでした。私の定義では、触れられないものは存在していません。僅かな可能性に、私は彼らの映像を間近で見ているのかもしれないというのがありました。
先述した通り、彼らは10人。
一番先頭の彼と目が合います。精巧な顔だなあと思いました。そして案外、目が合うだけというのは、博物館で展示物を見るような感覚です。
「ありがとうございました〜」
愛想の良い笑顔で目を合わせてくれる彼ら。
「はあ、どうも」
眼球だけを動かしながら、ジロジロと顔を舐め回す女。
彼らに恐怖を与えていませんように。
そして10人目、例のバースデーボーイがいました。
同じ出身地と言うことで勝手に親近感を抱いてる私は、おもむろに、埼玉ポーズをしました。
なんで?
やったら返してくれるかなって。殿上人に対して、烏滸がましいことをしました。こんなときに、もったいない精神が出てしまい。
彼は、埼玉ポーズをしてくれました。
多分、やってくれたと思います。記憶が明瞭じゃありません。
歩みを止めることは許されないので「オメデトッ」とだけ言って逃げました。
その声が届いたのか、彼が言葉を返してくれたのかは知りません。ただ、後ろの人が彼に「ハッピーバースデー」と祝福を投げる声だけが耳に残っています。
ステージから降りる階段前ではたと気付き、埼玉ポーズを解きました。混乱した頭のまま、駅までの道を急ぎます。
夏の夜風に包まれて、表舞台に立つ人は大変だなと考えました。私たちに向けられた笑顔は本物なのか。裏の涙や苦悩を知らず、のこのこと会場に現れてはせっかくのファンサービス企画にイチャモンを付ける私には、到底知り得ません。
ただ、彼らには美味しいものを食べて、これからも素敵な曲を歌ってほしいと思います。
綺麗に終われば良いものを、気付きがあったので記しておきます。
お見送りの記憶を辿ったとき、なんと、一番最初の彼と最後のバースデーボーイしか覚えていませんでした。真ん中の8人は、目が合ったような気がするけれど、どんな順番で並んでいたか覚えていません。薄っすら残っている記憶は、宣材写真で見た彼らの顔のような気もします。
これこそ、初頭効果と親近効果です!
(わ~い!心理学部生ぽいこと言えた〜〜)
初頭効果と親近効果
これは、始めもしくは最後の情報が、全体の印象に強い影響を与えるとか言うやつです。
こんなことを言っちゃったので、ボーイズグループの名前を出そうか悩みますが、せっかくなので紹介します。この記事はあくまで私個人の意見なので、彼らに「お見送りするな」とかトンチキなクレームは送らないでください。
彼らは、UNiFY。
バースデーボーイは石橋弘毅くんです。
私が紹介するまでもありませんが、新たに彼らを応援してくれる人が増えたのなら、嬉しい限りです。