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本の街神保町、緑に囲まれたクラシカルホテルで新しいホテルステイのすすめ


2020年1月、東京五輪に向け都内ホテルでは平年にはない雰囲気が漂っていた。
もちろんホテル業界だけでなく、日本国民、世界中の人々から日本が、東京が注目されているのをまるで自分ゴトのように感じドキドキしていた。
まさにメモリアルイヤー!

その頃からコロナ、というなんだか異世界の生物みたいなワードが聞こえ始めた。
中国方面からの予約がキャンセルされ始めてらしいよ〜なんてのんびりみていた。


2月、結婚式を挙げ新婚旅行で沖縄県へ。
滞在中も増えてきたコロナニュース。
楽しい旅行から帰ってきたら海外ゲストのキャンセル対応に追われ始めた。


気づいたら、春。
春には収まると信じていたけど、だらだらと続く。ついに私の勤務先も休業が決まった。


あれ、今頃五輪フィーバーだったよね、と思う間もなくさっと過ぎようとしている夏をどうにか彩りたくて、感染状況が収まってきた8月下旬、都内のこじんまりしたホテルでステイケーションとやらをしてみようと夫を誘った。

というより、結婚記念日が8月なのでホテルマンの血が騒ぎ、お祝いとサプライズしなければ!とヤキモキしていた。

いざ、予約をすると真っ白だった未来が急に色づいたように感じ、わあああ、久しぶりの高揚感!
ホテルって行くまでが一番楽しい。。私だけ?

当日、汗を流し坂を上り、緑だー、と癒される正統派ホテルのきりっとしつつもやわらかなおもてなしに心ほぐれる。

お部屋は、うん、コンパクトだけど長い間丁寧に大切に扱われてきたとわかる調度品たち。
夕食までのんびり部屋で過ごしたり、本の街散策。

夕食はホテル内のレストランで。
客室数の割にレストラン5店にバーにロビーラウンジ。東京には一歩外に出ればなんだってあるけど、ホテル内で大満足できる。私にとっては新しい滞在の仕方。

夕食を終え、お部屋に戻る。
お部屋からは月がちょうど見れる位置にあり、何度も外へ目をやる。今夜はゆっくり眠れそうだ。。

ホテルステイで一番楽しみなのが朝食!
すっきり目覚めるけど微睡んだ気分のなか、カラフルで艶やか、温かな湯気がのぼる朝食を見るとお腹に隙間ができる。


朝日が入る広々空間できびきび動くスタッフを見ながらの朝食が非日常で好き。

なのだけど、今回はお部屋での提供。
少し残念、と思っていたけど、いざずらっと並べられた朝食を見るとなんだか日常のなかの非日常感が溢れて楽しい。

ひたすらのんびりして、チェックアウト。
最後にまた結婚記念日おめでとうございますの一言。
誰かに言ってもらえるっていい。
この特別な日は自分だけのものじゃないって改めて思わせてくれる。


この日から数ヶ月、状況はよくならない。

けど、見えない敵と戦っている日々はみんなの記憶に残る年になり、見えないどこかと誰かの事をたくさん考えた1年だった。

ふと、窓を開けてみる。ちょうどマンションの隙間からまんまるな月が見え、この日のホテルステイの事を思い出した。


月は明るくて、しっかり私たちを照らす。
早めに灯りを消して、夫と月を眺める。

見えないどこかと、誰かの特別な日を思って。

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