お金に関する苦い経験

ゆとりのある生活をするために、重要な局面で大事な判断をしましたが、その殆どが失敗の連続でした。

よかれと思った判断がことごとく間違っていたということです。

ただ、幸いなことに、業界最大手の会社に勤務していたことで、最悪の事態は何とか回避し、今に至っています。

まだまだ、苦しい状況ではありますが、自戒の意味も込めて開示したいと思います。

結婚して子供も生まれ、地方勤務から東京勤務となり、仕事にも張り合いが出てきて順調な日々でした。バブルの絶頂でもあり、持株が暴騰しました。妻は、こんなに高くなったのなら、売却して現金にしてはどうかと言いました。子供の学費に充てられるどころか、マンション一部屋買えるくらいの金額になりそうでした。まだまだ、上昇すると考えた私は、妻の進言も聞かず持ちち続けていました。ところが、それをピークに、株価は下降段階に入りました。これが、最初の大きな判断ミスでした。それでも、ここからしばらくは、いつ売却してもそこそこの金額は手にすることができる状況でした。

東京勤務が長くなりそうな状況下で、子供が小学校に入学する少し前に、家を購入することになりました。勿論一括現金で購入するほどの資金はなく、住宅金融公庫、財形、会社の融資を受けて購入したのですが、頭金として一定額を用意しなければならず、ここでも、持株を売却するという選択肢があったのですが、まだ、値上がりする期待があると考え、持株担保融資を選択しました。当時は、金利が高い時代です。先の融資に加え持株担保融資の金利は合わせると半端なものではありません。一方、担保とした持株は、その後もあや戻しはあるものの下がる一方で、担保を追加しなくてはならない状況にもなりました。これが、二つ目の判断ミスでした。

それでも、最も融資額の多い社内融資は、利息がボーナス払いであったこと、返済額は、残金を退職金で返済できる前提で自由に選べたことから、借入当初は、少額の返済としたため、月々の返済額は許容範囲であり、あまり気にも留めていませんでした。途中から思い直し、返済額を増額して可能な限り臨時返済もしましたが、退職時点で想定外の残高があり、そのために、退職後の企業年金額を大きく食ってしまうことになりました。これが三つ目の失敗でした。

さらに追い打ちをかける結果になったことがあります。家の購入とほぼ同時期に、会社の先輩にアパート経営を勧められました。月々の給与明細をみる度に、何でこんなに税金を払わなくてはならないのかと思っていたこともあり、節税効果に後押しされアパート経営を始めたのです。これも、当初は良かったのですが、税制改正(改悪)で、土地の購入代金は控除の対象とならなくなり、大きな見込み違いとなりました。このアパート経営が、四つ目の失敗でした。

更に、このアパート経営の契約内容に、5年以内であれば、当初購入代金と同額で買い取ってもらええるという条件がありました。当時は、特に都内のマンション等は、買えば上がるという状況で、同額買い取りは当たり前の条件だったのです。しかし、一方で、高金利の時代でもあり、金利負担が半端ではありませんでした。そんなとき、不動産業者から、金利を下げることを条件に買い取り権利を放棄する交渉がありました。その時点で既にかなり金利を支払っていたこともあり、金利が下がると月々の返済額が減ることに釣られその条件を飲んでしまいました。これが、五つ目の失敗でした。結局、控除税額は、年々少なくなり、アパートの価値はどんどん下がって、手もつけられない状況になったのです。

毎年多額の手出しを余儀なくされ、もう耐えきれず手放そうにも買い手が見つからないのです。いつしか不動産業者も担当者が代わりましたが、その担当者が親身になって買い手を探してくれ、2年くらい経ってようやく買い手が見つかったのです。それも、当初覚悟していたより好条件で、アパート購入の残債を賄うことが出来たのは幸いでした。それでも、20年以上、返済を続けてきており、それに要した金額は、半端ではありませんでした。

それでも、このアパート関連の負担がなくなったことは、金銭的にも精神的にも大変大きく、それ以後の生活を何とか立て直すことができました。

良かれと思ってした判断がことごとく間違ってしまい、精神的にも大変苦しい状況ではありましたが、妻や子供たちには殆ど気付かれることなく何とか最悪の事態を免れたのは、しっかりした会社に勤めることができたおかげと感謝しています。就職するときのこの判断だけは、正しかったと胸を張っていえます。ただし、株価は未だに低迷したままです。社員の皆さん頑張ってください。

また、これらの失敗を一つでも減らすことが出来ていれば、妻や子供たちにももっといい生活をさせてあげることができたのかも知れませんが、皆、現状に大きな不満はないようなのが、せめてもの救いです。

自業自得ではありますが、随分苦い経験をしてきています。今となっては、大抵のことなら包み込むことができるのではと感じています。また、今は、地域の活動にも携わっていますが、自分の利益にならないことにも時間と労力惜しまず取り組むことができています。聞き役にしかなれないかも知れませんが、お役にたてればと思います。



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