わざわざ悩むための命題①命の重さとやむにやまれない事情による選択
日頃とりとめもなく考えて答えが出なかったことをまとめて問いとして置いておきます。自身の思考の整理とこれを読む方の思考への刺激になればなと思います。
命題1
経済的に安定している20代後半の夫婦が、ある日犬を飼うことにしました。夫が働き、妻は専業主婦。
犬を飼った2年後に子供が産まれました。犬と子供は幼い時から仲良く、すくすくと育ちました。
しかし、子供が小学校に上がる頃、難病にかかり高額な医療費がかかりました。夫は働き続けながら妻と共に子供のケアをしていましたが1年ほど経過し、心身共に疲弊しきっていました。
その頃には元気だった犬も老犬となり、老犬のケアも必要になりました。認知症で夜になると吠える、徘徊する状態でした。
夫婦は経済的にも精神的にも犬を飼うことはむずかしいと思いました。決断を下さなければいけないと思い考えた選択肢は次のことでした。
1里親に出す(老犬はもらい手がつきにくい、探す労力はかなりのもの)
2保健所に連れていく(殺処分)
3現状維持(老犬が力尽きるまで最低限の世話をする)
4 それ以外の選択肢(読者の方が思いつくこと)
どの選択肢が家族にとってよい決断になるでしょうか。
命題2
命題1の中で仮に老犬を手放すとして、夫婦の判断は動物愛護の精神に反するか否か。と、その理由。
命題3
動物愛護団体の会員として、いかなる場合にも、犬も家族だから最後まで世話をするべきという立場にあるとして命題1の夫婦を説得するのにどんな理由が思いつきますか。
命題4
犬は動物であるから、人間とは異なる扱いをするという立場にあるとして、命題1の夫婦を安心させる言葉にはどんな言葉がありますか。
解説
この問題には犬と人間の命の重さをどう扱うかという視点があります。
また、本人が予期していなかった事情によりやむを得ない選択を迫られる状況設定です。
上記の設問では、夫婦は経済的には余裕があり無計画に犬を飼った訳では無いのですが、犬へのお金の問題と、ケアの問題がおこっています。つまり、ペットシッターを雇うお金もなく、ケアには時間と精神力が必要な中で、子供は難病。
犬を優先すると自分たちが危険なことになりかねない。しかし子供を切り捨てることは考えられない。となると、犬に焦点が向かうという設問です。
なかなかいじわるですが、実際にこういったことはあります。
"予期していなかった"の程度の問題(犬がこんなに手がかかるとは思わなかった,手術代が高額になるとは思わなかったetc)は単に知識不足では一括りにできない問題です。
また命の優先順位を突きつける命題でもあります。設問では夫婦は自分たちが倒れたら子供の生存に影響が出ると考えています。そのため犬をどうするかという話になりますが、
命題5として
働き手である夫が疲労で病気になった
となったら妻目線では特に優先順位をより悩む必要があります。
このようにしてひとつの事象に複合的な要素が重なっておこり、選択に迫られるケースがあります。それは現実にあります。
私が思うことは、単に世の中の言説をみただけでは安易に人を責めることはできないと言うことです。人が発した140文字には含まれていない要素があります。反射的に反応するのではなく、背景、人となりをよくみて自分はどう思うのかを抱けたらいいと思います。
人の考え方に絶対はないからこそ、肯定意見、否定意見を理解することが大事だと思います。
その上で違うならちがう、分かり合えるなら分かり合えばいいと思うのです。
参考までに
斑鳩入鹿