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『神様探し』第1話〜あだ名〜
【あだ名】
本名のほかに、その人の容姿や性質などの特徴からつけた別の名前。ニックネーム。愛称。通称。あだ名の「あだ」は、「他のものである」「異なっている」という意味の形容詞「あだし」の「あだ」で、外から(他人が)付けた別の呼び名とする説が通説となっている。
まぁ僕でいうところ
「エビちゃん」である
蛯名大成
"えびな たいせい"
"たいせい"という名前は好きだが
どうしても"エビ"が強すぎて
生まれてこの方あだ名は
「エビちゃん」である‥
ふと、僕の彼女の
"あだ名"が何か気になった‥
"美香"という名の友達は
今まで何人か知ってるが
あだ名は聞いた事がない‥
それこそ‥
もしかしたら僕と同じく
苗字の方を取られて"菅原"の
「スガちゃん」かなぁと
安易な推理をしながら
今日もスポーツ新聞&"美香さん"を求め
彼女が働くコンビニに来た‥
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130762014/picture_pc_eb28dc5d98248fe24525e4030cbcb4c7.png?width=1200)
僕の彼女"菅原美香さん"は
自他共に認める"UMAJO"
そんな"美香さん"とは
競馬がきっかけで交際する事ができた
"神様"‥本当にありがとう
どこにいるかわからない
"競馬の神様"に感謝しながら
早速彼女のレジへ向かった‥
すると‥
いつもこのコンビニに通ってる刑事さんが
彼女のレジの前にいた
『スガちゃんはいつも
本当可愛いっすよね!』
「それっ!令和じゃ
セクハラの即アウトですからね!
職場の女性にも言わない方がいいですよ!
でも‥いつもありがとうございます‥」
「はいっこれ!」
店内では今日にふさわしい曲が
ちょうどよく流れていた
『コレ!バレンタインチョコっすか!?
よっしゃー!めちゃめちゃ嬉しいっす!』
刑事さんは小さなチロルチョコ1つを
上に掲げて喜んでいた
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130797773/picture_pc_96eea648ceb11a04f5b8b350624f656f.png?width=1200)
『もしかして‥』
「もちろん!
ヒモにすら入らない無印チョコです!」
今まで味わった事はないが
おそらく‥これが嫉妬という
感情なのだろうか‥
入り口の赤いヒヤシンスが
僕の心の様に激しく緩ていた‥
『ところで‥そろそろ下の名前
教えてくれないかなぁ?』
「私のですか?‥
"あきら"でぇーす!」
彼女の競馬ネタ返しは完璧だったが
競馬を知らない
刑事さんはわかっていなかった
「はいっ!ありがとうございましたー!
またのお越しをお待ちしてまーす!」
彼女に軽くあしらわれた
刑事さんをよけて
僕はいつも通り息を大きく吸い込み
持っていた
新聞を下に構えた
阿吽の呼吸で彼女は持参のストップウォッチ
を胸ポッケからだして準備に入った
そして僕は勢いよく
新聞を開きながら
『みかっ!‥
‥‥‥‥
‥さん‥』
「はい!3.3秒!
最長記録です!」
「比較的よくできました!
いつかミカって呼んでください!」
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130753913/picture_pc_3f847081b4a8455bfc52d6ee1f973079.png?width=1200)
二人だけにはわかる
魔法のコトバ‥
「ハイっ!コレっ!」
彼女はカバンからやや大きめの
箱を取り出して「開けてみて」といい
僕にその箱をくれた
中を開けるとそこには
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130798471/picture_pc_fa35c0577913adf7107d7c010af650d6.png?width=1200)
競走馬の形をしたチョコレートが
入っていた‥
『もしかしてコレ‥』
「もちろんっ!
単勝1.0倍"大本命チョコ"っ!
菊花賞のディープインパクト
並みに本命です♪」
それを見ていた刑事さんが
『えっ?スガちゃんもしかして‥
彼氏いたのかよー!
こんな可愛い彼女‥ずっちーなー!!』
刑事さんは残念そうに
店から出て行った‥
再び互いの
目と目が合い
苦笑い‥
幸せすぎる沈黙を味わっていると
横から突然
『ダンディーお疲れー!』
隣りを見ると金髪で
どこまでが目かわかない
アイメイクギャルがいた
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130755853/picture_pc_a5f45c56374b77b029844405b6002145.png?width=1200)
「ちょっと!ジュンコ!
ここでその呼び方やめてよ」
『あれっ!もしかして‥この前
言ってた"馬券告白"してきた彼ピ!?』
美香さんは少し
恥ずかしそうに頷いた‥
『えっ!神木隆之介似の
チョーイケメンじゃん!好感度高ぇ
ダンディーやるじゃん!』
「ここではその呼び方やめてって
いつも言ってるよねジュンコ!」
『だからダンディーもその呼び方
やめろっつーの!"コ"をつけるな!
昭和感ハンパねぇから!』
美香さんとは180°真逆な人だった
唖然とする僕に美香さんが
「この子は小学校から同級生のジュンコ!」
『だからジュンコじゃなくてジュンな!
ジュンでーす!よろしくでーす!』
「初めまして蛯名大成と言います。」
『エビちゃん!?ウケる!めちゃ馬ネーム!
てか本当に"ダンディー"が彼女で大丈夫!?
半年前に連れてった合コンなんて
ダンディー競馬好きすぎて自己紹介で
"理想のタイプは福永祐一さん"
"すきなYouTuberはニートボクロチキンです"
って言ってドン引きの爆笑されてんだから!』
「だからもう本当やめてって!」
『ていうか早く今週のフェブの予想教えてよ!
ダンディーこの前の有馬の
"ドウデュ"も当てたし!
ダンディーの予想ガチやべぇから!』
僕の苦笑いは続いた
美香さんのフェブラリーステークスの
予想も気になったが
それより気になる事を聞いてみたい
「あの"ダンディー"ってなんですか?」
『えっ!ダンディー?あー
ダンディーは美香の"あだ名"で小学校の‥』
「ジュンコもうほんとやめてっ!」
焦る美香さんのリアクションで
さらに気になった
「わかったから!フェブラリーSはまだ出走馬が確定してないくて"サンライズフレイム"か"ペリエール"が出てきたら面白そうだったけど今回は出れなそう。今のメンバーだったらペースは比較的流れそうだから"レッドルゼル"と"タガノビューティ"あたりに展開は向くと思う!穴では"スピーディーキック"!でも東京1600ダートだから大事なのは枠順と天候!当日雨降って重馬場になったら"ガイアフォース"も十分ありえる!どう?これでいい?」
『ダンディー先生サンキュ❤︎
この予想当たったらダンディーの
誕プレ買うからねー!』
投げキッスをしながら
嵐の如くギャルは去っていった
"ダンディー"とは
一体なんなのか‥
そして‥そういえば
まだ知らなかった‥
美香さんの誕生日‥
僕は彼女の事を‥
まだ‥
"1ハロン"もわかっていない‥