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バンドをやりたくて上京。そして性懲りも無く今も続けてる。1990年代〜編⑩(アルバイトあれこれ。カルト系?和菓子工場に潜入!?)

悪徳不動産会社でのチラシ配りのバイトを辞め、再び食べ物関連の仕事を探していたところ、家から自転車で行ける距離の和菓子工場でアルバイトを募集していたのを目にし「手に職+バンド活動」という最初に目指していた形に戻ろうと早速応募してみた。

勤務先の工場は某有名高級スーパーの敷地内にあった。

無事面接にも受かり勤務日初日に出勤すると、、。

「えっ!?」

朝礼でなにやら従業員の皆さんがお経のようなものを唱えているではないか!?

嗚呼、、また変なところに来てしまった、、。

バイト初日から猛烈に不安になってきた。

すぐにでもおさらばしたくなったけどまた新しく仕事を探すほどお金の余裕もない。

「うーん、、これもオモシロ体験のうちかなー?」と無理矢理思うことにして潜入取材気分でとりあえずしばらく働いてみることにした。

話してみると工場のみなさんも別に普通の人達でいわゆる宗教臭さは全くないのだけれど。

それならばこちらもあまり警戒せずに割り切って普通に接しようとしたのだが、、、

従業員の中の一人のパートのおばちゃんは俺が何を話しかけても一切無視している。

「なんだかなぁ〜」という気持ちにもなったがこちらもヤングパンクスだった為「ハッ、くそババアがよぉ」くらいに思ってあまり気にしないことにしていた。

和菓子を作る仕事自体は面白いと思えたのでそんな状況にも関わらず毎日真面目に働いていた。

どら焼きの中に手作業で餡を詰める。

最初のうちは何度も計り直しながら詰めていたのが慣れてくると一発で規定の重さに餡を詰められるようになる。

羊羹に衣をつけて鉄板で焼いて「きんつば」を作る。

最初は一度に二、三個しか焼けなかったが、慣れてくると十個くらいいけるようになる。

そうこうしているうちにある日、俺を無視しつづけていたおばちゃんが話しかけてきた。

よくよく聞いてみるとその人は「俺のことをカルト教団の信者だと思っていた」らしく、むしろこちらの方が過剰に警戒されていたようだった。

その会社は社長が仏教の一宗派の熱心な信者かなにかで、社員の人達は朝からお経を唱えることを半ば強要されており、そういう社風のせいか「たまに変な人が応募してくるのよ〜」とのことだった。

当時の俺は「坊主頭にメガネ」という見た目だったのもあって余計にそう思われてしまったのかもしれない。

だけど今までも何度か「カルトの信者っぽい」と言われたことはあった。

親からも「おまえはそういうのに入りそうだから気をつけなさい」と諭されたり。

前に働いていた居酒屋でも元ヤンの同僚A君に「なんか池ピー(当時のあだ名)ってさー、オ○ムにいそうだよね〜」とか言われたり、、。

相変わらず朝礼ではお経が聞こえるので、なんとも言えない気持ちは続いていたが、最初に比べたら職場にもずいぶんと打ち解けてはいた。

同時期に採用された同い年くらいの青年もバンドをやっているとのこと。

その青年は名前が某有名俳優に似ていたという理由だけで「キムタク」と呼ばれていた。

キムタクとは音楽の趣味も合わなかった。そして彼は途中からばっくれて来なくなったので特に交流も無し。

毎日餡を仕込んでいるベテランの職人のAさんは見た目は普通のおじさんだったけど「俺、Led Zeppelinの来日公演観に行ったんだよ」と話していたこともあった。

もう一人の職人のYさんは「今の奥さんは俺が○○○から助け出してやったんだ」みたいなことを話していて、一見のんきな赤ら顔の裏にハードな過去を持っていそうだった。

それにしても社員に朝礼で読経を強要する会社というのはなんなのか?

そこはいわゆる新興宗教の資金源になっていたり、宗教が母体になっているというわけではなく「社長が熱心な仏教徒」「社長が変わってるから社員の人も仕方なくそれに付き合っている」という感じだったけれど、その信仰先がまともかどうかはともかく「自身の信仰を他人に強要する」というのはどうなのか?

そういうのを「カルト」って言うんじゃないのか?

この話は今から25年位前の出来事だがあそこは未だに社員に読経させたりしているのだろうか?

俺にも「社員にならないか?」という話もあったけど、あの独特のノリに付き合わされるかと思うとそうする気にはなれなかった。

※この時期の写真が無いので今回は微妙なイラストでお茶を濁させてもらいます。




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