徒歩のススメ

「それやって何の意味があるの？」
「暇なの？」

幾度となく頂いた的確なご指摘。2度と戻ってこない大学2年の夏。せっかくなら思い出に残ることがしたい。そこで思いついたのが「山手線徒歩一周」。ただひたすらに歩くだけ。ともに旅する友達はまさかのドタキャン結局ひとり。上下ジャージにバケットハット、タオルをかぶって傘を差し……。極めつきは蛍光イエローのウェストポーチ。変人極まりないけれど、「東京だから、できたこと」

色々なものを見て、自分の知らない東京をたくさん知った。ゴミだらけの歌舞伎町に、朝日に映える街路樹を満足そうに見上げるおじさん。缶詰専門店に「立小便禁止」の看板。江戸切子も靴磨きも大学キャンパスみたいな小学校も、全てが新鮮だった。「江戸」「東京」「TOKYO」多様な「とうきょう」がそこにはある。

最後はスマホ充電と体力ともに残量20％以下の闘い。ルンルンで歩いていた当初の気力はとうに消え失せ、ただひたすらに「足がもげそう」「早く帰りたい」が脳内92％を占めていた。恵比寿の動く歩道にあれほど感激したこともあるまい。締めは新宿のストリートミュージシャン。望郷の歌に耳を傾けながら電車に揺られ、無事帰宅。

学び：喫茶ルノアールは山手線沿線に飽きるほどある。

日時　2021.8.3
距離　45,982m
時間　13時間41分
歩数　68,631歩