
【ワートリ考察】界境防衛機関「ボーダー」の生存戦略〜トリガー開発の歴史〜
木虎「……1つの種が様々な形に進化して 環境を生き残っていくように 成長の方向性を拡散させることが ボーダーの『生存戦略』と いうことですね?ランク戦の『三つ巴』ルールには それを自然に促す目的があると……」
東「そんなところだな」
「ボーダー」。近界民の技術を独自に研究し、こちら側の世界を守るために戦う界境防衛機関である。
マスコミ「ボーダー内部に犠牲者を出したという事実は ボーダーの防衛力に疑問を呈する結果になったと思うんですが そのあたりに関してはどういった認識なのかお聞かせください」
根付「……まず殉職した職員6名のご遺族には謹んでお悔やみを申し上げます 有能な人材であり魅力ある人物でもあった彼らを失ったことは 現在行方不明の32名の訓練生とあわせて非常に大きな損失でありまことに無念に思っています さて「基地内部に犠牲者が出たことを受けて」「ボーダーの防衛力の不足をどう考えているか」という質問ですが 結論から言って 不足であるとはまったく考えていません」
マスコミ「……!?」ざわっ
根付「お手元の資料をもう一度よく見て頂きたい 今回起きた戦闘の規模は 4年半前の第一次近界民侵攻のおよそ8倍です 1200人以上の死者 400人以上の行方不明者を出した あの第一次侵攻の8倍の近界民が攻め込んできたのです かつての8倍以上の敵を相手にして 被害は40分の1 最高の結果ではありませんでしたが 我々のこれまでの備えが結実した 想定以上の大きな成果だと考えています」
そんなボーダーも設立当初の4年前から今の防衛力を誇っていたわけではない。
様々な試行錯誤を繰り返して今日まで生き残ってきたのだ。
では、ボーダーはどのような歴史を辿って「神の国」を退けるまでに至ったのか。その歴史を筆者の独断と偏見で紐解いていこうと思う。
0.本考察記事の前提
まず最初に、筆者が独断と偏見で作成したトリガー開発年表が以下だ。

ここからはこの年表をもとに論を進めていく。適宜表示をするため特に覚える必要はない。
そして、本考察記事は以下4点を前提として進めていく。
0.1.ほとんどすべてのトリガーは現場隊員からの要望に応えて開発したもの
■トリガー・トリオンに関する質問
Q.152 迅さんが発案したスコーピオンの様に、隊員が考えて途中から使われるようになった武器はありますか?
A. ほとんどすべてのトリガーが、現場隊員からの要望に応えてエンジニアが開発したものです。
【前提①】ほとんどすべてのトリガーは現場隊員からの要望に応えて開発したもの
これはエンジニアが自発的にトリガーを開発することはほとんどないということだ。
唐沢「とはいえ 平のエンジニアは実戦経験が乏しい もし開発室でトリオン兵専門のチームを作るとしても 防衛部隊からのフィードバックは必須ですね」
王子「『戦闘シミュに向けてトリオン兵を作れ』っていう指令は ある意味運営側の配慮だとぼくは思う 用途や目的を定めずに何かを作るのは難しいからね」
この理由は、エンジニアが「ゼロから防衛隊員に使われるようなトリガーを開発する困難さ」からくるのではないだろうか。
実戦経験に乏しいエンジニアでは戦闘でどのようなトリガーが欲しいかはわからない。
そういった状況から、本当に必要なトリガーだけを開発するためにこのような運用になっているのだろう。
0.2.新トリガーの製作はA級隊員の特権
■迅さんは「スコーピオン」を作ったとのことですが、隊員がトリガー製作に携わるには何か条件はありますか?
A. 14巻で加古さんがちょろっと言ってますが、A級隊員になると、トリガーの改造をエンジニアに依頼できるようになります。新トリガーの製作はその延長線上にある感じです。
【前提②】新トリガーの製作はA級隊員の特権
つまり、B級隊員には製作できないということだ。少なくとも「A級部隊」という枠組が成立してからB級隊員が新トリガーを製作していることはないだろう。
0.3.トリガーのデザインは誰でもエンジニアに提案することが可能
■トリガー・トリオンに関する質問
Q.147 銃手の銃型トリガーはどれくらい種類がありますか?自分で新しいものを作れますか?
A. 様々な種類があり、常にマイナーチェンジが加えられています。新しいデザインを提案することも可能です。
Q.153 くまの弧月には鍔がありますが、刃以外の部分ならデザインは自由に変えられるんですか?
A. エンジニアに相談すれば、ある程度は自由に変えられます。くまは受け太刀を多く使うため、手を守る目的で鍔が付いています。
Q.195 トリオン体は隊服や髪型を自由に設定できますが、トリガー(武器)の色や装飾を設定することはできるんでしょうか?
A. エンジニアに頼めば設定可能です。黒い弧月とか、かっこよさそうですね。
【前提③】トリガーのデザインは誰でもエンジニアに提案することが可能
ある程度の範囲であればトリガーのデザインは誰でも変更可能だ。おそらく銃のデザインは弾の設定とイコールであるため、射手なら誰でも戦闘中に設定可能なものは銃手でも提案可能ということだろう。
0.4.わからないものはわからない
【前提④】わからないものはわからない
わからないものはわからない。そのため、わからないことには一切言及しない。この記事を読んでも納得のいく結論は得られないかもしれない。
0.5.まとめ
【前提①】ほとんどすべてのトリガーは現場隊員からの要望に応えて開発したもの
【前提②】新トリガーの製作はA級隊員の特権
【前提③】トリガーのデザインは誰でもエンジニアに提案することが可能
【前提④】わからないものはわからない
これらの前提をもとに先の年表を詳細に解説していく。
1.現ボーダーの設立〜三竦みの成立〜
さて、早速ボーダーが設立された当時の環境を考察していく。

1.1.現ボーダー設立時に存在していたトリガー
実際は単純な構造ではないが、「トリオン」というエネルギーの塊をぶつける「弾丸」は最初期から存在していたものとしてイメージしやすいだろう。
後述するが、最初期は「アステロイド」のみが開発されていたと考えている。
謎の一団「こいつらのことは任せてほしい」「我々はこの日のためにずっと備えてきた」
ボーダーの初登場シーンで旧ボーダーが弧月のようなものを使っている。
つまり、弧月は現ボーダー設立時にはすでに開発されている。
この時点で使っているトリガーが「弧月」でなくても、トリガーをブレードにする技術は存在していたということになるため、弧月の開発まで時間はかからないだろう。
クローニン「あれは古いし消費トリオンも大きいから あんまり使ってる隊員いないんだけど……」
エスクードはトリガー自体に旧ボーダーのエンブレムが描かれていること、上記の「古いトリガー」という情報から、現ボーダー設立時以前から開発されていただろう。
嵐山「それに今はシールドの性能が上がってるから 昔よりは攻撃手が近づきやすくなってる」
■トリガー・トリオンに関する質問
Q.155 レイガストの開発時期および開発エピソードを教えてください。
A. 当時トップクラスの弧月使いだった寺島雷蔵(18)が、弾丸トリガーの強化と流行にムカついてエンジニアに転向、対・弾丸トリガー用のブレードとして、シールドとスコーピオンをベースに開発したのがレイガストです。雷蔵はこのとき太りました。
シールドはボーダー設立時期に存在していたかどうかは定かではないが、少なくとも初期に強化前のシールドは存在していたようなので本記事では開発済みとする。
よって、ボーダー設立時に存在していたトリガーは弧月、アステロイド、エスクード、シールドの4つである。トリガーセットが埋まるほどもない数である。
これにプラスで開発されていたとしても旋空くらいだろう(ちなみに、今後専用オプションについては言及しない)。
それでも「防衛」が本分のボーダーでは十分な装備だ。対トリオン兵において必要な火力は揃っている。
1.2.ボーダートリガーの三竦み

ボーダーのトリガーは最初期からブレード、シールド、弾丸の三竦みが中心となっている。
嵐山「エスクードの耐久力はシールドに比べてかなり高いですが 村上隊員の旋空弧月やスラスター斬りなら斬り払うことが可能です」
嵐山「射手・銃手は一人で点を獲る必要はない というか点を獲るのは難しい」
三雲「……!!」
嵐山「なぜかと言うと 射手・銃手用のトリガーは攻撃手用や狙撃手用に比べて威力が低いからだ
〜(中略)〜
それに今はシールドの性能が上がってるから 昔よりは攻撃手が近づきやすくなってる」
小南「まだわかんないわよ 弓場ちゃんは『攻撃手キラー』だから」
武富「『攻撃手キラー』……と言うと?」
王子「そもそも弓場さんの戦法は旋空持ちの攻撃手に有利を取るために諏訪さんのWショットガンを参考にして編み出されたものなんだよね」
小南「弓場ちゃんの拳銃の有効射程はたしか22mちょっと これは攻撃手の『踏み込み旋空弧月』がギリギリ届かない間合いなのよ その間合いを保ってれば 弓場ちゃんは一方的に攻撃手をボコボコにできる」
ブレードはシールドに強く、シールドは弾丸に強く、弾丸はブレードに強い。
この三竦みは本記事の基礎である。ここに違和感を覚える読者はおそらく筆者とは解釈が違うため、今後の内容も一切納得のできないものとなるだろう。
この三竦みがなければ「近接の強さ」や「射撃の強さ」のみだけで勝敗が決まってしまうため、最初期からこの三竦みは存在していたと考えている。
どれか一つでも欠けていれば三竦みにならず、今後の発展はない。
それをこれから説明していく。
2.部隊ランク戦の誕生まで

2.1.二つ目のブレードトリガーの誕生
宇佐美「迅さんが「弧月じゃ太刀川さんには絶対勝ち越せない」って言って技術者と一緒に新しく作ったのが『スコーピオン』なの」
上記エピソードから、スコーピオンは個人ランク戦で鎬を削っていた太刀川に対抗するため、迅とクローニンによって開発されたということがわかる。
攻撃手同士、特に弧月のミラーマッチは、おそらく一撃入ればそのまま勝ち切れる。
迅は回避能力が高いため、太刀川の攻撃を避けることはある程度可能だが、攻撃を当てられなかったのだろう。
そのため、軽くて小回りが利きやすく、振りが圧倒的に速いスコーピオンを開発したのだ。
2.2.弾丸トリガーの強化と流行
◾️トリガー・トリオンに関する質問
Q.156 射手は銃手から派生したんですか?誰によって、どうして射手と言うポジションができたんですか?
A. 順番としては射手が先です。キューブの弾丸を扱うことには向き・不向きがあり、弾丸を誰でも高い精度で使えるようにと銃型トリガーが開発され、銃手へと派生しました。
上記の回答で銃型トリガーはキューブの後発であると判明している。
そして「キューブの弾丸を扱うことには向き・不向きがある」ということに気づけたのは、向いてる人間、向いてない人間がある程度揃ったからだろう。
そのタイミングはおそらく「現ボーダー設立時」か「嵐山・柿崎会見直後」である。
現ボーダー設立時は言わずもがなだろう。なぜ「会見直後」かというと、BBFの入隊グラフが根拠である。
時枝「あの記者会見以降入隊希望者が増えすぎて 今までどおりの4か月ごとの入隊式じゃ捌き切れないから しばらくは毎月新規入隊を受け付けることになったんだ」
入隊グラフを見ると、「3年くらい前」のブロックは他と比べて明らかに密度が高すぎる。
三雲の会見以降入隊希望が増えたのと同様、嵐山と柿崎の会見も直後に入隊希望が増えて違和感はないだろう。
おそらくこのタイミングで銃型のトリガーが誕生し、流行した。
「銃型の誕生は『強化』なのか?」という疑問を持つ読者もいるかもしれないが、筆者は大幅な強化だと考えている。
里見「射手の攻撃って「キューブ出して」「キューブ割って」「狙って」「撃つ」っていうアクションにちょっとずつ時間がかかるけど 銃手は「狙って」「撃つ」だけで訓練するほど攻撃までの動きがすばやくなるから 間合いに入って「よーいドン」なら 弓場さんみたいな近距離銃手に分があると思うんだよね」
上記の通り銃型は「キューブを出す」「キューブを割る」という工程を省略できる。
つまり、攻撃の柔軟さを捨てた代わりに攻撃の発生までが圧倒的に速くなっているのだ。
烏丸「取り扱いがシンプルで 訓練するほど命中精度は上がる さらに銃型トリガーには弾丸の射程を20%ほど延ばす補助機能がある」
それだけでなく、狙いやすさと射程も向上している。攻撃手からするとこれ以上に致命的な強化はないだろう。
攻撃手の間合で2~5mの射程アップは相当な痛手である。加えて、シールド強化のめどもなし。あの男もムカついて当然である。
2.3.新たなエンジニアとレイガストの誕生
■トリガー・トリオンに関する質問
Q.155 レイガストの開発時期および開発エピソードを教えてください。
A. 当時トップクラスの弧月使いだった寺島雷蔵(18)が、弾丸トリガーの強化と流行にムカついてエンジニアに転向、対・弾丸トリガー用のブレードとして、シールドとスコーピオンをベースに開発したのがレイガストです。雷蔵はこのとき太りました。
弾丸トリガーの強化・流行によって当時トップクラスの攻撃手だった寺島はエンジニアに転向してしまった。
そしてレイガストを開発するほど当時のシールドは頼りなかったのだろう。
もし、強化後にレイガストを開発していたとしたらあまりに恨みが強すぎる。ここは断言するが、レイガスト開発時にはまだシールドは強化されていない。
◾️シールド・レイガスト(シールドver)・エスクードはどのような違いがあるんですか?
シールド:変形できる。面積によって耐久度が変わる。離れた場所にも出せる。動かすと耐久力が下がる。
レイガスト:変形できる。面積によって少し耐久度が変わる。手持ちで動かしても耐久度が変わらない。
エスクード:変形できない。動かせない。耐久力が高い。生やす場所(地面・壁など)が必要。
では、シールドはどこが強化されたのだろうか。上記は強化後のシールドとの比較である。
強化前のシールドは、「攻撃手が弾丸トリガーに対して近づきにくい」「レイガストはシールドだけでなくスコーピオンも参考にしている」というヒントがある。
これらのことから、強化前のシールドは「変形機能」がなかったのではないだろうか。
そして、レイガスト同様に面積によって少し耐久度が変わるという特徴を持っていたと推測する。これは、トリオン量によって耐久度が変わらないよう、最低限の耐久値を保証しているのだと筆者は考える。
つまり、強化前シールドの特徴は「変形できない」「離れた場所にも出せる」「動かすと耐久力が下がる」ということだ。エスクードから少しだけ使い勝手が良くなった程度のトリガーだったのではないだろうか。
「変形できない」と考えた理由は、レイガストがスコーピオンのどこを参考にしたのかわからなくなるからだ。
レイガストが持つスコーピオンの要素は「ブレード」と「変形機能」のみである。
参考にしたい要素がブレードだけなら弧月でも良い。あえて開発されたてのスコーピオンを参考にした理由は「変形機能があるから」ではないだろうか。
この性能なら「大きく展開した方が良い」となりそうだが、レイガストをそうしていない以上、大きくすることのデメリットが大きい、もしくは大きくできないのだろう。
2.4.攻撃手の対抗手段
弾丸が強化され、攻撃手は「レイガストを使う」か「トリオンのゴリ押しで正面突破」か「相手の弾を避けながら近づく」か「自分も弾丸を使って万能手になる」という対抗策に絞られた。
このままだと寺島がむかついた銃手/射手環境は変わらない。
その環境を打破するために開発されたトリガーがバッグワームではないだろうか。
正面からの接近が難しいなら、側面からの奇襲で対抗しようとした結果開発されたトリガーなのだ。
この時点でもシールドは強化されていないと筆者は考えているが、その根拠が2点ある。
一つはこの早さで強化ができるならエンジニアに転向までした寺島が短気すぎることだ。
もう一つは当時の攻撃手がシールドよりもバッグワームに信頼を寄せていることだ。
樫尾「空閑くんもバッグワームを使ってきた場合は?」
王子「うーん そうなったら こっちも3人ともバッグワームでオッサムを捜すことになるね 攻撃手のバッグワームは攻撃にも防御にもジャマだから クーガーはたぶん奇襲にしか使わないと思うけど」
樫尾「まあそうですね 念のため」
◾️小南先輩は攻撃手ランク3位とのことですが、個人ランク戦には顔を出しているということですか?またその場合はトリガーは何を使っていますか?
小南は中学時代までは習い事を優先していたので個人ランク戦は行っておらず、中学卒業間近〜高校1年途中までの間だけ参戦してました。
その頃は、迅が黒トリガー使いになって、太刀川が微妙にやる気を失っていた次期で、小南は風間さんらと鎬を削って攻撃手ランク1位に到達。その後、玉狛の独立にともなってランク戦を離れましたが、太刀川と風間さん以外にはまだ個人ポイントを抜かれていないので、現在も攻撃手3位に位置しています。
当時のトリガーは孤月(短め)二刀流でした。
小南「もーあのバカ!最初からバッグワームしとけばよかったのに!」
王子「うーんどうだろうね……」
米屋「バッグワーム使ってると両防御できねーからなー」
古寺「今回みたいに狙撃手が多いと 隠密行動も慎重にならざるを得ませんよね」
この時期は約2年前。小南が個人ランク戦に参戦していた時期である。そして小南は現在ランク戦には参加していない。
現在ランク戦に参加している王子や米屋は「バッグワームを使うデメリット」として「両防御ができないこと」を挙げている。
しかし、小南はそのデメリットを度外視して「バッグワームを使うメリット」を推している。
これは「シールドへの信頼度の違い」が生んだ認識の齟齬ではないだろうか。
小南はシールド強化前に活躍した攻撃手で、当時は相手の攻撃を避けるか側面から奇襲する以外で生きる道はなかった。対して王子や米屋はシールド強化後もランク戦に参加していて、シールドの強さは最大限理解しているだろう。
「相手の攻撃を避ける」以外に選択肢がなかった小南と、それが選択肢の一つでしかない現在の攻撃手では価値観が違う。
つまり、ここで小南が両防御よりもバッグワームでの隠密行動を推す理由は「当時シールドが強化されていなくて、シールドへの信頼がないから」だろう。
2.5.部隊ランク戦の誕生
現ボーダー設立後に開発されたトリガーは今のところスコーピオン、銃型、レイガスト、バッグワームだけである。
ここまで開発の進行がかなり緩やかだが、その理由として考えられる要素が3つある。
②1対1だった場合のデメリットに言及
氷見「戦術やトリガーの進歩が鈍化しそう」
東「木虎の答案の中に「1部隊 対 1部隊の試合形式だと 部隊戦術が万能型に偏って戦術改良の回転が鈍る」って所があったよな?」
一つ目は「当時のランク戦の主流は1対1だから」である。
複数人が関わる部隊ランク戦ですら1対1では上記のようなデメリットが考えられている。そもそも1対1の個人ランク戦ならその傾向はさらに極端になるだろう。
■部隊・ランクに関する質問
Q.237 古株のメンバーの時代は、合同訓練やランク戦もしないまま正隊員やA級になっていたのでしょうか?それとも改めて試験のようなものを受けたのでしょうか?
A. A級部隊という枠組みができたのが、本部基地ができて隊員がある程度増えてからなので、それ以前はA級というランクはありませんでした。総隊員数が3ケタを超えたぐらいからチームランク戦が始まり、当時は昇級試験もあったので、初期のA級隊員は今より面倒だったと思われます。
残りの2つは「人員の不足」と「この時点ではA級という枠組がないこと」である。
この頃はおそらく総隊員数が3ケタに届く程度の数である。正隊員となると20人程度だろう。
防衛に割くリソースが圧倒的に足りない。正隊員でランク戦を積極的にしていたのは、一部の戦闘狂のみだったのではないだろうか。
この時点のトリガーでも普段の防衛に不足を感じる正隊員はいないだろう。
隊員が少ないということはおそらくエンジニアも少ないということだ。
この頃はベイルアウト、ゲート誘導装置、ランク戦の仮想環境などのインフラ整備で限界だろう。
さらに本記事の前提②に「新トリガーの製作はA級隊員の特権」がある。
鬼怒田「特にB級下位には 個人ではまだモールモッドに勝てん隊員が何人もおる 今のままでトリオン兵に頼る戦い方を覚えてしまったら 中位以上との力の差がさらに開くことになるぞ」
そもそもこのようなルールにしている理由は二つ考えられる。
一つ目は依頼の数が膨大になってしまうからである。
二つ目は現状開発済のトリガーを扱いきれていない状態では、既存のトリガーと性能が重複するトリガーを製作する可能性があるからだ。
まずは余計なトリガーを作らないためにも既存のトリガーに慣れる期間があったのだ。
迅はおそらく旧ボーダー時代から弧月を使っていて、なおかつエンジニアとコネがあったからこそ新規トリガーを製作できたのだろう。
だが、寺島がレイガストを開発着手した頃には総隊員数は3ケタを超えていたはずだ。
ここからA級部隊という枠組が誕生し、トリガー開発サイクルは高速化する。そしてボーダーは新しい形へと進化を遂げる。
3.三竦みの崩壊と環境の高速化

ブレード、シールド、弾丸の三竦みはかつてのA級1位部隊を率いた「最初の狙撃手」によって壊される。
狙撃手の誕生である。
参考:【ワートリ考察】なぜ狙撃手は護身用のトリガーを装備しないのか
武富「通常よほどのトリオン差がない限り盾単品で狙撃は防げませんが 狙いを読んで盾を集中すれば防御が可能です!」
強化後のシールドですら防ぎづらい狙撃トリガーが東春秋によって誕生した。これによってランク戦の環境は一変する。
ここからが本番である。
3.1.狙撃トリガーへの対抗

狙撃トリガーの強さは「圧倒的な射程」と「生半可なトリオン量では受けられない火力」である。
木崎「ボーダーの狙撃用トリガーはよくできてる ちゃんと狙えばちゃんと当たる」
もともとが特別なナンバーワン 当真
……
なお、トリガーの射撃に気流は特に関係がない。
さらには技術さえ伴えば外すこともない。現状のトリガーではエスクードが生やせない状況で撃たれると即死である。
そういった状況を打破するために「グラスホッパー」「カメレオン」が開発され、満を持してシールドが強化されたのだと筆者は考えている。
武富「空中機動を可能にするジャンプ台トリガー!」
グラスホッパーはエスクードが生やせない状況、つまり空中で狙撃を避けることができる。
空中で撃たれれば即死の状況を解決するトリガーである。
強化後のシールドでも集中させないと防ぐのは難しい。狙撃は防ぐより避ける方が対処としては最適だろう。
風間「歌川 隠密戦闘を準備しろ」
歌川「……!狙撃手との連携が取りづらくなりますが……」
風間「いいから急げ」
空閑「姿を消すトリガーか……!ボーダーにはおもしろいトリガーがあるなー」
烏丸「「カメレオン」トリオンを消費して風景に溶け込むトリガーだ」
◾️鳩原さんは以前、人を撃って寝込んでしまったそうですが、誰を撃ってしまったのですか?
カメレオンで隠密中の歌川をうっかり撃ちました。
その後は、レーダーにも注意しながら狙撃できるように練習したようです。
カメレオンは姿を消すトリガーだ。つまり、「狙撃手が狙いを定めにくい状況を作るトリガー」である。
狙いを定めにくいということは、弾を撃てないということだ。
加古「珍しいわね東さん 壁抜きなんて当てにくいからあんまり使いたがらないのに」
姿が見えない状況は壁抜きに似ているが、この状況では東ですら「当てにくい」のだ。狙撃手は外して位置バレした時のリスクが段違いのポジション。その状況を任意で作れるカメレオンは十分な狙撃対策となるだろう。
そして、対抗不能のトリガーが誕生したことでついにシールドが強化されることとなる。
変形機能が実装され、面積を小さくすれば防ぐことができる性能となった。
このシールドの強化も後の環境に大きな影響を与えることとなる。
余談①:特殊ポジションの誕生
ボーダー本部所属 A級6位 加古隊
PARAMETER
「狙撃手がいない分、遠距離は不得手な印象。しかし、特殊工作兵・喜多川の存在により、その弱点を補い、A級ランクに君臨している。」
■キャラクターに個人に関する質問
Q.063 冬島さんはオペレーターの真木理佐にスカウトされて現場職になったようですが、当真さんはどんな経緯で入隊したんでしょうか?
A.チームを組むつもりもなく日々だらだらしていたら、当時中学生の真木理佐に「働け」と怒られ、なんだか愉快になってチームを組みました。そのあと、冬島さんが加入。
加古隊の狙撃手対策が特殊工作兵の喜多川であること、当真の次に冬島が冬島隊に加入していることから、特殊工作兵は狙撃手の後に作られたポジションであることが推測できる。
つまり、狙撃トリガーの後にスイッチボックスが開発されたということだ。
スイッチボックスの具体的な性能が不明のため理由はわからないが、狙撃環境に一石を投じるトリガーがスイッチボックスなのだろう。
※バッグワームタグはトリオン消費が少ない代わりに、セットすると他のスロットが使用できなくなる。
特殊工作兵に不要な他スロットを捨てる代わりにバッグワームの消費を抑えるバッグワームタグもこのタイミングで開発されたのだろう。
見える……全てが あまくら
「強化レーダーでバッグワームをちょこちょこ無効化してくる狙撃手の天敵。片桐隊が独立してから加入したので、東さんの風味はほぼ感じられない。オペ志望だったが仲の良い結束の誘いでボーダー初の観測手に。冬島隊への対抗ユニットとして注目を集めている。〜略〜」
さらに、片桐隊の尼倉は片桐隊が東隊から独立後に加入していて、冬島隊の対抗ユニットとして注目を集めている。
つまり、先ほどの流れとあわせて狙撃トリガー→スイッチボックス→強化レーダーということになる。
強化レーダーはスイッチボックスと同様に詳細は不明だが、バッグワーム対策に開発されたトリガーであることが推測できる。
余談②:狙撃トリガーの開発順序
射程距離重視・標準型
イーグレット
射程と弾速の性能が高く、威力もなかなか。バランスがいいのでランク戦ではこのトリガーが一番多く使われている。万能型。
弾速重視・チクチク型
ライトニング
軽くて速射性能もまずまず。弾速が非常に速く目標に命中させやすい。
その分、威力が低く、盾などに防がれやすい。手数で勝負。
威力重視・ドッカン型
一撃の威力を重視した重量級ライフル。対人戦ではオーバーパワー気味なので、主に対トリオン兵用として使われている。
最初に、筆者は狙撃トリガーの開発順序を「イーグレット→アイビス→ライトニング」だと考えている。
順を追って理由を説明していく。
まず、狙撃トリガーはおそらく「遠征先での対人戦闘を想定して開発されたトリガー」である。見つかれば厳しい狙撃手は数でのゴリ押しに弱い(対ガロプラのようにこちらも人数を揃えられていれば別だが)。
1発撃たせて撃たれなかった方が接近をすれば狙撃手は無力だからだ。
そしてその目的を考えると狙撃トリガーで最初に開発されたのは対人での火力も射程も申し分なしなイーグレットだろう。
そして防衛戦で大型トリオン兵の相手に困った時に、アイビスの開発をしたのだ。
その後狙撃手というポジションが普及し、ランク戦では点を取りづらい人向けにライトニングを開発したのではないだろうか。
この3つのトリガーは開発時期にほぼ差はないと考えているが、あえて差をつけるならこの流れが妥当だと筆者は考える。
3.2.シールド強化が環境に与える影響

嵐山「それに今はシールドの性能が上がってるから 昔よりは攻撃手が近づきやすくなってる」
シールドが強化されたことで攻撃手は弾丸トリガーに対して正面から近づけるようになった。
この強化により、銃手/射手は苦境に立たされることになる。
そこで開発されたトリガーが、ハウンド・バイパー・メテオラ等の特殊弾と鉛弾である。なぜこのタイミングで開発されたのかを説明していく。
鉛弾はわかりやすい。シールドが強化されたため、シールドと干渉せず相手に不利益な効果をもたらすトリガーを開発したのだ。
嵐山「射手・銃手は一人で点を獲る必要はない というか点を獲るのは難しい」
弾丸トリガーは今までアステロイドのみだ。並のトリオン量で強化されたシールドに勝つためには「弓場の拳銃のように条件付きでシールドの耐久力を超える威力に設定する」「射手や諏訪隊の散弾銃のように弾を散らす」などがある。
※おそらくだが、合成弾もこの頃出水によって発見されたのではないだろうか。
いずれにせよフルアタックが必要で、難易度がかなり高い。射手・銃手は一人で点を獲るのは難しいのだ。
そこで開発されたトリガーが特殊弾のハウンド・バイパー・メテオラだと筆者は考えている。
三上「隊員の間で「鳥篭」と呼ばれる変化弾の全方位攻撃!来馬隊長防ぎきれず削られていく!」
〜中略〜
三上「しかし今度は鳥篭と見せかけて一点集中の両攻撃!」
少し特殊な例だが、那須はバイパーを使って来馬・別役のシールドを広げたところを一点集中の両攻撃で破っている。
武富「おっと!?帯島隊員全方位射撃で反撃!」
王子「動きが目で追えなくても相打ちを狙える対策だね クーガー側はシールド広げればガードできるけど そこは弧月で割っていくつもりかな?」
帯島はハウンドを使って、空閑のシールドを広げたところを弧月で仕留めようとしている。
香取「爆撃対策でシールド広げてると 外岡と菊地原がぶっ刺してくるわよ」
北添4番隊は北添のメテオラを使って諏訪7番隊のシールドを広げ、狙撃やスコーピオンによる奇襲を通していた。
このように、特殊弾は直接点を獲るというより相手のシールドを広げることに長けている。
シールドを広げれば当然耐久度は下がる。その状態ならアステロイドが機能する。
つまり、シールドが強化された環境でも火力戦を有利に進めるためのトリガーが特殊弾の三種である。
ここまで開発されなかった理由は明白だ。
シールドを強化されるまではアステロイドだけで勝負できるからである。
B級の未熟な隊員ならまだしも、新規トリガーを製作可能なのはA級のみだ。
厳しい基準をクリアした精鋭中の精鋭隊員が、当時トップクラスの弧月使いが引退するほど強いアステロイドに不満を持つはずがない。
4.カメレオン対策の特殊なトリガー

4.1.不人気トリガーが生まれるワケ
三雲「……これはつまり……ワイヤーを使って相手の動きを邪魔するってことなのか?」
木虎「そうよ」
スパイダーはおそらくカメレオン対策だ。相手の行動を制限し、見えなくても対応しやすくする意図だろう。
木虎「見えにくくできるとは言っても よく見れば気付けるレベルだし 当然避けられたり切られたりもするわ 今では余程いい条件が揃わない限り 仕掛けがきれいに決まることはまずないわ だからこの「スパイダー」は「点に直結しにくい」って言われてあんまり人気がないわ」
しかしスパイダーはあまり使われておらず、不人気のトリガーである。では、なぜこのようなトリガーが生まれるのだろうか。
先ほどは言及しなかったが、バッグワームは「ほとんどすべてのトリガーは現場隊員からの要望に応えて開発したもの」という前提を無視して勝手に開発された考察をしている。スパイダーが不人気な理由とバッグワームが勝手に開発された理由はおそらく同じだ。
Q.157 ボーダーのトリガーの名前は誰が考えているのですか?
ボーダーのトリガーは五人のチーフエンジニアが開発の指揮をとっており、それぞれが自分の班が開発したトリガーに名前をつけています。
バッグワームは「蓑虫」・スパイダーは「蜘蛛」で、同じ命名規則のため、同じチーフエンジニアの班から開発されたことが推測できる。
よって、バッグワームが急に開発され、スパイダーが不人気トリガーの理由は「この開発班が自主的にトリガー開発を進めるから」ではないだろうか。
開発狂が一堂に会する班が一つあっても良いだろう。
4.2.隠密対策のスタアメーカー
銃手・射手用オプショントリガー
スタアメーカー
弾丸が命中した場所に目印を付けることができる
対隠密戦闘などで有効
◾️スタアメーカーは普段の防衛任務やランク戦ではどのような使われ方をしていますか?
主にステルス対策です。
一発でも掠ればマーキング可能なので、マークした部位を切り離さない限り、一定時間カメレオンやバッグワームを無効化することができます。
汎用オプションなので両攻撃で使えないのと、大体マーキングより先に敵を倒しちゃうのが難点。
スタアメーカーは極めて限定的な性能をしている。片手でしか使えない、かつハウンドと似たような性能である。
スタアメーカーはおそらくカメレオン対策のため、ハウンドとほぼ同時期に開発されたものだろう。
このトリガーがハウンドと違うところは、弾速を捨てずに隠密対策ができる点と、効果が一定時間続く点である。
5.開発時期不明&試作トリガー

ここまでで開発された時期を導き出せなかったのは専用オプション・玉狛の専用トリガーを除くと「サイレンサー」「テレポーター」「ダミービーコン」「韋駄天」「タイマー」の5つである。
5.1.用途不明なサイレンサー
漆間 【隠密行動】【サイレンサー適正】 バス バスバス
生駒「アカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!」
戦闘シミュのスキル表②(一部)
サイレンサー適性 サイレンサー使用時、射撃トリガーの基礎命中率が増加する
サイレンサーは漆間のユニットが戦闘シミュレーション演習において使用している。
使用しているシーンでは「射撃の音」と「光」は消えているように見える。
そしてスキルの「サイレンサー適性」は「サイレンサー使用時」の基礎命中率が増加するようになっている。
これは、サイレンサーの性能にそもそも「基礎命中率の低下」があるのではないだろうか。
サイレンサーの性能として「基礎命中率の増加」があるなら、スキルにする必要がない。さらにそもそも真っ直ぐ飛ぶトリオン弾に基礎命中率を増加させるトリガーは不要である。
つまり、サイレンサーを射撃に使う場合は「音と光を消す代わりに一定の弾ブレを発生させるトリガー」である。
さらに、攻撃手である常盤隊の常盤も装備している。有効に活用しているのであれば、汎用射撃オプションというわけではないようだ。
しかし、現状「音」が戦闘において有効に働いたシーンが菊地原のサイドエフェクトによるものしかないため、ランク戦をきっかけに開発されたとすると私怨が強すぎる。
ボーダーへの信頼に因るものか多くの住人は 時折届いてくる爆音や閃光に慣れてしまっていた……
そのため、防衛任務をきっかけに開発されたのだと筆者は考えている。
しかし防衛任務がきっかけだと時期を絞り込めない。今回は開発時期不明とする。
5.2.試作トリガー
残りのトリガーはほとんど加古隊が装備しているトリガーである。おそらく加古が開発したトリガーだろう。筆者では加古の発想力には到底敵わない。
試作なので、最近開発されたのだろう。
6.まとめ

ここまでがボーダーの進化の歴史である。基本的に弾丸とブレードは最初期から常に一定以上の強さがある。
間合いに入りさえすれば強いブレードはシールドやオプショントリガーを駆使して弾丸に抵抗する。
ボーダーの多様性は弾丸に立ち向かうことによって生まれているのだ。