※本考察記事は一部ワールドトリガーの単行本27巻以降のネタバレが含まれております。
狙撃手は「寄られたら弱い」という大きな弱点を抱えている。しかし、多くの狙撃手はその弱点を補おうとはせず、狙撃トリガーのみで戦闘している。
なぜここまでわかりやすい弱点を残しているのだろうか。ブレードや銃手トリガーである程度応戦できるようにした方が良いのではないか。
一度はそう考えたことがないだろうか。実際そのような意見はよく見かける印象がある。
先に筆者の結論から述べておく。狙撃手が護身用のトリガーを装備しない理由は「弱点を補って余りあるほど狙撃トリガーが強いから」である。
そう考えた経緯をここから説明していく。
1.トリガーの戦闘における「射程」の絶対的強さ
まず狙撃トリガーの強みから考える。
狙撃トリガーの特徴は「射程が長いこと」である。このシンプルな特徴で他を圧倒する性能を誇っている。
なぜなら、トリガーによる攻撃では、有効射程より遠い場所にいる相手には攻撃が届かないからだ。「当てにくい」や「威力が減衰する」などではなく、絶対に届かないのだ。
つまり、「射程が長い」とは「相手の攻撃範囲外から一方的に攻撃できる」ということである。狙撃トリガーがいかに強いかはこれだけ理解できるだろう。
だが、狙撃トリガーがどれだけ強くても弱点を補わない理由にはならない。なぜほとんどの狙撃手は弱点を補おうとしないのか、次章で考察する。
2.なぜ全ボーダー隊員は完璧万能手を目指さないのか
狙撃手が弱点を補わない理由を突き詰めていくと「なぜ全ボーダー隊員は完璧万能手を目指さないのか」ということになる。
しかし現状で完璧万能手を目指しているのは𝓣𝓮𝓽𝓼𝓾𝓳𝓲 𝓐𝓻𝓪𝓯𝓾𝓷𝓮ただ一人である。
前章で述べた通り、トリガーの戦闘において「射程」は絶対的な強さを持つ。
射程が長い側の狙撃手は寄られたら弱いのに対して、射程が短い側の攻撃手や銃手は寄らなければ弱いのだ。
狙撃手への疑問と同じように、攻撃手はなぜ射程の長いトリガーを装備しないのか、万能手はなぜ狙撃トリガーを装備しないのかという疑問が浮かばないだろうか。
つまり、「なぜ全ボーダー隊員は完璧万能手を目指さないのか」ということになり、突き詰めていくとキリがない。
完全無欠のノーマルトリガーは存在しない。限られたリソースの中で何を選び、何を捨てるかなのだ。全てを得るには完璧万能手になる他ない。
それでも可能性があるなら弱点を補いたいという人はいるだろう。ここの理由についても詳細に説明している描写が27巻以降で登場したため、最後にその描写を紹介して本考察記事は終了する。
3.なぜ狙撃手は護身用トリガーを装備しないのか
狙撃手はかつてのA級1位部隊隊長・東春秋によって作られたポジションである。
そしてA級は「リスクを度外視した動き」をする。
つまり、「寄られたら弱い」という「リスク」は度外視し、「射程を活かして一方的な攻撃を仕掛けられる」という強みを押し付けるポジションが「狙撃手」なのだ。
この選択ができるのも、狙撃トリガーに「射程の押し付け」という「しっかり火力が出る攻撃パターン」があるからだ。
そして遠征先での戦闘は「相手の情報が少ない状態」で始まる。その状態から「様子見を省略して主導権を握る」ことができるのが狙撃トリガーだ。
つまり、ボーダー究極の初見殺しが「狙撃トリガー」である。
おそらく遠征を経験した・もしくは遠征に行く前の東が遠征先での戦闘を想定し、相手との様子見ターンを省略して一方的に勝つことができるポジションを作ったのだ。
その経緯を考えれば狙撃手が護身用トリガーを装備しない理由がわかるだろう。
弱点を補って余りあるほど狙撃トリガーが強く、その強みを活かすことがボーダーの生存戦略だからだ。
【参考】
グラスホッパーを装備している人が隠岐だけの理由も考察しています。