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僕の「特急列車」 #ありがとう北陸本線

幼い頃に見ていた電車のビデオ、
その一コマに北陸特急の走行シーンがあった。

クリーム色に赤い帯を巻いた特急列車が猛スピードでこちらへ駆けてくる。
高らかな車輪の音と共に、目の前を過ぎ行き、トンネルへ入ってゆく。

その生き生きとした列車たちは、特急のない地域で育った僕にとって、ビデオで見た北陸特急こそ「特急列車」のイメージそのものとなっていた。

時が過ぎ大学生になった僕は、京都に住むことになった。

人の溢れる京都駅0番乗り場

その喧騒に北陸特急が滑り込む。
ホーンを鳴らし、12両編成を従えて。

車両は変わってしまったものの、その威風堂々とした姿は幼い頃のイメージそのままの「特急列車」だった。

京都を出ると何本かのトンネルを抜け、やがて車窓右手に琵琶湖が広がる。

列車は比良の山肌に車輪の音をこだまさせながら湖畔を行く。

流れてゆく車窓と列車の音で、スピードに乗っていることを知る。

湖北の山々を抜け、坂を下ると、若狭湾に面した敦賀がみえてくる。列車は北陸トンネルで木の芽峠を抜ける。いよいよ北陸地方も本番である。

福井、芦原温泉、加賀温泉、小松、金沢…

曇り空の平野を真っ直ぐに駆けてゆく北陸特急たち。
峠道を軽快に抜けてゆく特急列車。

あの「特急列車」を見られなくなる日が来るなんて…
厳密に言えば、北陸特急が完全に消滅するわけではない。ただ、大阪と北陸地方の要都市を結ぶものではなくなる。もう、あの威風堂々とした出立ちを拝むのは難しいだろう。

でも、大丈夫。僕には「特急列車」を写した記録があり、北陸特急での旅行を楽しんだ記憶がしっかりと残っている。


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