私の抱えている病と暗黒の学生時代(中学まで)
私は今でも「学生時代」という言葉を聞くと、気持ちがずんと重くなる。
幼稚園のころを思い返すと、私はクラスメイトの輪に一人だけ入れてもらえず、ずっとひとりで園庭で三輪車を漕いでいた。
小学校に上がっても、女子の輪からはハブられて、ずっと男子と鬼ごっこをしていた。でも、男子の中に一人女子がいるものだから、他の女子からしたら「何だあいつ?」って思われてたみたいで、全員で鬼ごっこをしたときにターゲットにされて、私だけずっと鬼にされたことがあった。
「悔しい…誰にも負けたくない。」
そこから私は、負けないためにはどうすればいいかを考えるようになった。
しかし私には突き抜けた学力もないし、音楽ができるわけでもない。
そんななか負けない自信があったのが「脚力」だった。
小学生ぐらいだと男女の身体能力にさほど差がなかったので、走ったり跳んだりする陸上競技なら男の子にも勝つことができた。
私は中学に上がって、即座に陸上部に入部を決めた。
陸上部の同学年の人のなかでは、一番50mのタイムが速かったので大会の代表選手に選ばれて、短距離種目で県大会の上位まで進むことができた。
そういう風に私が結果を残すのが妬ましいのか、部活の同級生の女子は私の陰口をずっと言っていた。私だけグループに入れないように、私が居づらい環境を作るのに躍起だった。大会のときに一人でごはんをたべてたら先輩に「あっちに混ざらなくていいのか?」と心配されたことがあった。だけど、あそこには私の居場所がないのだ。
クラスでも全く居場所はなく、ひとりでいると「なんで一人でいるの?」とか、目の前で聞こえるように「ガリガリで気持ち悪い〜」って言われたりした。何にも抵抗することもなく、ただこらえて耐えるしかなかった。
私の病気
私は「突発性脊椎側湾症」という症状を今でも抱えている。
側弯症とは脊柱が横(側方)に曲がり、脊柱自体のねじれを伴いながら背骨がCカーブSカーブになる、思春期に発症することが多い原因不明の疾患だ。側弯症が進行すると側弯変形による心理的ストレスの原因や腰痛や背部痛、肺活量の低下などの呼吸機能障害、まれに神経障害を伴うことがある。
統計によると、人口の約2~3%が側弯症を抱えているといわれている。アメリカでは600万~900万人、日本では240万~360万人がこの疾患を抱えているらしい。実は珍しくはない症状だ。
今も完治はしておらず、服の上からは全くわからないが直接見ると身体が少し歪んでいる。
偶然か運命なのか、私が専門にしていた種目100mの男子世界記録保持者ウサイン・ボルトも同じ症状を抱えているのだ。
(参考記事:https://www.huffingtonpost.jp/kuniyasu-fujiwara/usain-st-leo-bolt_b_11657896.html)
症状を抱えているからといって特筆して不便はなく、普通に日常生活は送れるし、むしろ他の人より俊敏に動けている。体力や肺活量は普通の人よりはだいぶ劣るが、基礎体力作りを継続していることで、支障はさほどない。
(完治というものはなく、症状が重症化すると背中を全部切開して金属を入れる大手術を受けなければならない。)
その治療のため、小学校から中学校にかけては、脇下からお尻までコルセットをしていた。
学校の体育の時間以外、夜寝るときとかもずっと付けており、ギシギシに締め付けられてあまり心地は良くなかった。
コルセットは上から服を着ても、背中のあたりが不自然に突起してたり少し違和感がある。
冬は厚着ができるからいいが、夏はTシャツや制服の夏服のうすいYシャツだったため、不自然さが目立つのが嫌だった。
ある日、私をいじってきた男子がふいに背中を叩いた。するとふつうの人間ではありえない硬さの感覚があり「何だこいつ!?気持ち悪!!」と騒ぎ出した。
そこから、私の背中の違和感に目を付けられるようになり、意味もなく背中を叩きにくることもあった。先生に言って怒ってもらったりもしたが、あんまり効果がなかった。
そこで、親と先生と相談して、私の病気のことやコルセットをしていることを、道徳の時間に先生からクラスメイトに話してもらうことになった。
その際、道徳の教科書を使ったのだが、その時に使用されたのは「障害者に優しく」みたいな感じのストーリーだった。
私は障害者としてクラスメイトに紹介され、だから優しくしてあげてね、気遣ってあげてねと先生は紹介したのだ。
クラスに障害者学級の子もいたし、特別偏見があったわけではないが、一緒にされたのは、14歳という年頃の私にとってショックだった。
それから、教師というものを全く信じれなくなった。
クラスでの立場はちょっとだけ楽になった。というか距離を取られるようになったけど、別にそれでもうよかった。
学校でいじめてきたやつ、部活の同級生より、足の速さだけでも勝っている。それだけでも、学校の中でとりあえず生きていけた。
不登校にならなかったのは、偉かったと思うが、ストレスは相当溜まっており、アトピーで身体がボロボロになったりひどい喘息が出たりした。
唯一、私の精神をつないでたのは「負けてたまるか」という気持ち。自分にも周りにも。それだけだった。
とりあえず、そんな中学校までの学生時代。
少しでもあなたの心に響いたら嬉しいです🌼