【ネタバレあり】PICK☆3感想

※舞台『PICK☆3』とドラマ『リズスタ -Top of Artists!-』のネタバレを含みます。※

『PICK☆3』、良かったですね~。TLを見ていると、ランペ3人の演技の上手さに注目している人、笑えた~!とコメディ要素に満足している人、もちろん推しの小学生姿を見られて喜んでいる人もいて、見た人が様々な楽しみ方をできる良い舞台だったな~と思っています。
私はあんまり期待しないで行ったのですが、見終わったらボロボロ号泣していました。笑
そして衝動的に翌日のチケットを購入していました。笑

4人のコミカルな演技に、気づけば夢中で観劇していたのですが、中盤のタクセンのセリフを聞いた途端、「あぁ、この舞台は今の私にとって必要な物語だった」「そして、以前の私にとっても、きっと必要だった」と涙が止まらなくなりました。

人は自由に夢を見る
夢がある限り希望を持ち続けることができる
希望は遠くに光る星に似ている
その光がある限り人は歩き続けることができる
その光がふと消えてしまったとき
人はひとり 暗闇の中 立ちすくんでしまう
一歩踏み出せばまた
光は見えるかもしれないのに

うろ覚えですが。汗
私も人生が上手くいかなくて、「光がふと消えてしまったとき」があったのですが、そのとき出会ったのがランペでした。「暗闇の中で立ちすくんで」いたとき(週末うつみたいな感じでした)、ランペのコンテンツを楽しんだり、ライブに行ったりして「なんとか生き延びて」いるうちに、いつしか寛解していました(時間が解決・環境が変わってくれた感じです)。そしてまた光を見つけることができたので、タクセンの台詞が当時の自分に重なってじ~んと来ました。今辛いと思っている人にも、この舞台が、この台詞が届いたらいいなと思います。もちろん、過去の辛かった私にも。もう少しだけ生き延びたら、また光が見えてくるかもしれないよ、と(深刻な場合は行政や医療に頼るべきではありますが)。そして、生き延びるための支えが、光の一つが、ランペを含む「エンターテインメント」なのかなぁと思いました。君のray of light…!

そして終盤のタクセンの台詞にも泣かされました。

夢っていうのは変わってもいいし
持ち続けてもいいし
忘れちゃってもいいんだ
大切なのは生きてるってことなんだ
だから今日まで生き延びたお前らはめちゃくちゃ偉い!
宝物っていうのは、必要なときに見つかるものなんだ
どんなときも、ね

これもうろ覚えなんですが……。
私はこの台詞がLDH界隈(と言っていいのか分かりませんが。脚本は外部の方なので。でも一応、HIROさんの資本下で上演された舞台、という認識でいいんですかね?)からお出しされたことに対して、天地がひっくり返るような衝撃を受けたんです。というのも、LDHって「夢に向かってがむしゃらに頑張ること」を過剰に礼賛する風潮があるなと感じていて(貶しているわけではないです、自分にとってはそう感じるというだけで)、その部分はちょっと合わないなと感じていました。
まぁ、TAKAHIROさんや登坂さん、今市さんのように、いわゆる「シンデレラボーイ」になれることを夢見て、ライブに何度も足を運んでもらって、EXPGに通ってもらうのがLDHのビジネスモデルだと思うので、仕方ないといえば仕方ないのですが……。
LDHの思想がかなり透けて見えるドラマ『リズスタ』では、メジャーデビューが決定した5人に対して、星神リュウジから「アーティストになるという夢は叶ったな。今度は自分だけの夢を見つけろ」と指示されるんです。その結果、翔太と蓮はモデルに、凛音とひなたはダンス講師に取り組んでいきます。普通に考えたらいい展開なんですけど(笑)、私は「ダンスがめちゃくちゃ上手いんだから、もうそれだけでいいじゃん!プラスアルファを求めないでよ!」と、勝手に辛くなってしまったんです。
現実を見ていれば、このダンス&ボーカルグループ戦国時代に、ダンスが上手いだけでは生き残っていくのは難しい、というのは分かります。ランペを見ていても思います。加えて、パフォーマーは踊り続けられる限界があるわけで、ダンス以外でも金銭が発生するような技術を獲得していかないといけない。だからこそ今回、ランペの3人がこうして舞台に挑戦しているわけでもあるんですが。
一方で、そんな現実的なこと、現実世界で十分だよ~(泣)。という気持ちもあるんです。私たち(という表現が正しいのか分かりませんが、大多数の、という意味で)一般消費者も、「夢」を強要されることって多いと思うんですよ。教育現場にしろ、求職の場面にしろ、職場にしろ。「将来の夢」「この職場で成し遂げたいこと」「3年後のキャリアプラン」「で、お前はどうしたいの?」
そういう場面で、私たちは、一応の世間体を取り繕いながら「ケーキ屋さん」「御社の商品を世の中に届けることで人々を笑顔にしたいです」「部下を取りまとめる経験を積んで管理職になりたいです」などと答えるわけですが、人によっては、それってしんどくないですか?誰もがタマちゃんのように業界に革新を起こしたいわけじゃないし、ポーと同じ立場だったとして「まぁ地元でチヤホヤされてればそれでいいかな」と思うかもしれない。アッチョのように、とりあえず一歩部屋の外に出てみて、なんだか分からないけど20社受けてみる。それでもいいじゃないですか。「夢とか目標とか無いし……。ただ、生活していくための給料が貰えればそれでいいです」という温度感の若手社員、多いですよ。それでも、前述の通り取り繕って生きているのが「普通の人」であって、それが大人になった若林なんだろうな、と思いました。そして、そんな「普通であること」を「それって実は難しいことなのかも」と零すアッチョに、夢を忘れちゃったとしても「生きのびて偉い」と断言するタクセンに、私は救われました。

「夢」の素晴らしさって、おそらく、「それがあることで生き生きと日々を過ごしていける」ことなんだろうな、とタクセンの言葉から思いました。逆を言えば、今日を楽しく生きる、明日の楽しみな予定を心待ちにして生きる、それができているなら、必ずしも「夢(世間体を満たしうる、立派なもの)」じゃなくてもいいんじゃないかと。3か月後のライブが楽しみだから、今日バイトを頑張ろう、ライブに向けて体力をつけよう、ライブついでに会場周辺の観光計画を立てよう。そういう、「生きる楽しみ」のひとつが「夢」であって、だから、「変わっても」「持ち続けても」「忘れちゃっても」、「生きていれば」いいのかな、と受け取りました。

「ひとつであって」と書いたのは、星空のシーンで「俺たち、こんなにたくさんの光(星?)に囲まれてたんだ」という台詞があったからです。物語の結末として、タマちゃん、ポーは当初の夢に向かって再び歩き始めるわけですが(アッチョは…どうなんだろう?)、それもまた一つの光(星)であって、光(星)はたくさん夜空に輝いているんですよね。光は、一流企業で活躍することかもしれないし、自分が心から届けたいと思う歌をレーベルから出すことかもしれないし、自分にだけ価値が分かる「宝物」かもしれないし、小学生時代のキラキラした思い出かもしれないし、胸に残るような先生の言葉かもしれないし、3か月後のライブかもしれない。大事なのは、生きてるってことですからね。

……と勝手に受け取りました!
制作側の意図とは違うかもしれないけど!笑

脚本の川尻さん、本当に素敵な物語・台詞の数々をありがとうございました……。そしてダイノジ大地さん、上記のセリフの優しい語り口調が大好きです。(もちろんコメディシーンも熱演でした!笑)ランペのお三方も、楽しませていただいてありがとうございました~~。


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