羽田空港の日航・海保機衝突事故 再発防止策がなんだかなぁと思うのです
今回の事故、詳細は省略しますが、
対策として滑走路占有監視支援機能を常時監視する事となった様です。
滑走路占有監視支援機能とは機体位置確認モニタの事で、滑走路内に2機が同時に存在しそうになった場合に、それをモニター内に色表示で警告するシステムです。
今回の場合、この機能は正常に作動していたとの事。
つまり航空機2機は黄色、滑走路が赤で警告された事になります。
しかし、この装置は補助的に使うものであり、事故当時、管制官は見ていなかったそうです。 だから今後、常時誰かが見るルールにしたのです。
これが悪いとは言いません。でも、これが最適かと言われれば、少し違うのではと思うのです。
監視は勿論交代で行うはずですが、それにしても、常時監視ですからモニタを見ながら他の仕事をするわけにもいきません。 じっーとモニタを観察する仕事が発生するのです。
そんなの現実的と言えるでしょうか。
確かに、万引きや犯罪などを防犯カメラで常時監視する仕事はあるかもしれません。
しかし、これは犯罪を未然防止する為の監視ではなく、発生した事を確認する事が目的なわけです。つまり多くのモニタを目の前にしていても、発生には気づきやすいです。
一方、滑走路の監視モニタは、事故が起きた事を発見するのが目的でなく、事前に発生しそうな事を発見するのが目的です。
この装置はモニタ上で異常を赤や黄色で示してくれるので見つけやすいかもしれませんが、それなら常時モニタを見る必要はなく、音で警報するシステムに改造すればいいだけです。
恐らく、誤検知や何かの理由があって警報を鳴らす事はしないのかもしれません。
だから、人が常時モニタを監視する事にしたと推測できます。
前置きが長くなりましたが、私が言いたい事はここからです。
今回のそもそもの原因は、滑走路に出る手前の信号(ストップバー灯:STBL)が作動していなかった事にあると思います。 故障か点検の為かわかりませんが、兎に角作動していなかったと聞いています(それは管制官も知っていた)。
つまり、フェールセーフが機能しない状態で通常の管制業務をしていたわけです。
フェールセーフが効いてない状態で通常通りの管制をすれば、一つのミスで事故が起きる可能性は高まります。
ですので、それを認識して、STBLが復旧するまでは監視モニタを常時監視すべきだったと思うのです。
新たに改善する内容は、「常時」モニタ監視ではなく、「STBLが作動していない場合はモニタを常時監視」 とすればいいだけです。
別に常時モニタ監視でもよくね? その方が更に安全でしょ?
何でSTBLが作動していない時に限る必要あるの?
と思われるかもしれませんが、理由があります。
余計な事をするとシステムは形骸化するのです。
つまり、必要な時だけ見る様にしないと、漫然と見てしまい見落とします。
必要と思って監視するのと、必要じゃないと思って監視するのとでは、集中力が全然違います。
良かれと思って安全に冗長を持たせるのはいいですが、その冗長が悪さをして安全確認機能の劣化を招く可能性がある事を認識しなければいけません。