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嘘じゃないのに 嘘と感じてしまうカラクリ

なんでわざわざ嘘をつくんだろうと、不思議でたまらなかった。
求人広告には「軽作業」と書いてあるが、行ってみたら酷い重労働であった。
別の所ではアットホームな職場と書いてあるのに、冷たかった。

学生時代のバイトで遭遇した求人広告の嘘が、不可解で仕方がなかった。
嘘をついた所で、行けばバレるのに。 別に重労働とかドライな職場ですと正直に書けと言いたいのではなく、何も書かなくていいでしょと言いたいのです。 わざわざ逆の事を書くってなんなんだという事です。

それが月日を経て、なんとなくこういう事なのかと思ったのでした。
ものには前提というものがあって、それとセットで正確な意味をなすのです。 
その前提も一緒に書かれていればいいけど、普通はそんな事はしないので、私のようにそのまんまを信じる人は嘘をつかれたと感じてしまうのです。

どう言うことか説明します。
まず、アルバイトの軽作業の方ですが、工場の中にはもっと重労働があり、全体の中でいえば軽作業なのだろうと考えました。
アットホームの方は、会社の和の中に上手く入れれば、アットホームと感じれるのでしょう。アットホームと疎外感は紙一重です。

つまり、何事にも判断基準があって、何に対してそうであるのか、それを認識する事が重要なのです

更にもう一つ事例を書きます。
食器用洗剤は、油汚れがよく落ちるというCMが多い。
それを思い出し、油で汚れた手を食器用洗剤で洗ったがいまいちよく落ちない。 普通の固形石鹸を使ってみたら、見事に短時間で落ちた。
食器用洗剤は、油汚れが得意ではなかったのか? 

恐らくそのカラクリはこうでしょう。
食器用洗剤は、その役割上、食器に洗剤が残ってしまっても、有害性がない物が求められる。或いは、洗い残しがないよう素早く洗剤が流される性質が求められる。それを満たそうとすると油汚れに強い洗剤はできない。
つまり本来、食器用洗剤は油汚れに弱い、という事だ。

油汚れに弱い食器用洗剤にありながら、当社製品は油汚れに強いのです。
と言う事なのでしょう。 洗剤全体を比較対象に考えて、油汚れに強いのだと言っているのではなく、比較対象は飽くまで食器用洗剤なのです。

眠くならない風邪薬も同じでしょう。前提を知らなければ眠気覚ましの効能もあると勘違いします。風邪をひいた受験生にぴったり、なんて思ってる人もいるかもしれません。

あらゆる事は自分の基準で勝手に相対判断しているのです。 だから、その基準が相手と一致していなかった場合、嘘をつかれたと感じるのです。

なんでそんな嘘つくの? と思った時、相手が何を基準に言っているのかを確認する事で、その疑問が解ける場合がありますよ。

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