エルセとさめのぽき LAST ONE-MAN LIVE -SONG OF THE HOROSCOPE- の感想文
タイトル通り、エルぽきラストワンマンの感想文です。
楽曲
会場名と同じ「SUPERNOVA」、曲中にクラップがある「声の海」、シングアロングできる「星詠みの唄」など、現地ならではの会場と一体感のある曲もありつつ、「deep in」や「ブルーアワー」などしっとりとした雰囲気の曲もあって楽しい。
新曲の「orbital」は、ゆったりとした伴奏の中で力強く響くエルセさんの歌声が印象的でした。
生バンド
全部良かったのですが、「まぼろし」が終わった直後にドラマーさんの掛け声とともに連続で「SUPERNOVA」が始まるところが特に生バンドならではさを感じました。
舞台照明
開演時「True Ending」のインストが流れる中バンドメンバーとエルセさんが入場する場面の逆光のライティング、そこから「波打ち際」のピアノが入るとスクリーン内の複数のスポットライトがスッとエルセさんに向く演出。また、「deep in」の海の中にいるかのような暗さと水中に届く日差しのようなレーザー、「.NEWWORLD」サビの激しいライティングなど、照明演出にすごく拘っている印象を受けました。
特にレーザーは本当に頭上を駆け抜けるので、現地で体験するとすごくキレイです。
エルセとさめのぽき → Lir.E
事前に周知されていた通り、「エルセとさめのぽき」の物語は一区切りつき、Lir.Eとしての姿もお目見えした。トレードマークの一つだった長いおさげ髪がなくなって短めのヘアスタイルになり、衣装もドレスのような装いで少し大人っぽくなった。
今回のライブでは、「エルセとさめのぽき」のメインストーリーのつづきと、Lir.Eとは何かというのがテーマでした。そのため、歌だけでなく、物語が進行するVTRのパートも織り交ぜられているのが通常のライブと異なっています。しかも、序盤に2曲披露した後、次の曲に入るかと思いきやスタッフとのやりとりが始まり、実は時間軸が本番の数日前であることが明かされ、そのまま物語へと進んでいくという、視聴者を騙すような演出が入ります。
また物語の中では、腕だけですが、もう一人の人間のエルセさんが実写で登場します。実写映像や冒頭の騙すような演出など、視聴者を現実に引き戻すような演出と、会場と一体となるような没入感のあるライブが混在しているのが印象的でした。
特に実写パートは、ある意味「中の人」を想起させる内容となっており、ある種のタブーに踏み込んでいるように感じました。しかし、当然の事実ではありますし建前上言及されることはありませんが、中の人は現実に存在しますし、それを運営・サポートするスタッフもあってVTuberは成り立っていることが「公式」からある意味示唆されたのは、これもまたVTuberならではだなと思いました。
エルぽき
エルぽきは今年で活動6周年ということなので、活動歴は長い方に該当すると思いますが、その間に大きな変化が何度もあったように思います。かつての幼さのある姿から今の頭身の姿に変わったときもそうですが、特に今回の新体制は大きな変化だったと思います。
変化はともすれば不評を買うことも想定されますが、エルぽきは常に自発的に大きな変化を伴いながら先へ先へと進んでいくのが、見ていて飽きないところだと思いました。
おわりに
VTuberはVirtual YouTuberの略ですが、ほぼ必ずTwitterアカウントがあり、また視聴者とある程度コミュニケーションをとる場合がほとんどだと思います。小説・マンガ・アニメなど、フィクションのキャラクターを表現する媒体は昔から存在しますが、基本的には作品の時間軸の中にだけ存在するものであり、現実の時間とリンクすることはありません。また、双方向でやりとりすることはできません。
しかしVTuberは、その活動形態の性質上、フィクションのキャラクターのようでありながら現実の時間軸の中で行動しています。実時間を共有することによる強い体験の共感性は、VTuberが獲得した大きなアドバンテージだと思っています。同時に、時間や環境、展開をコントロールする脚本家は現実には存在しないため、情勢の変化や現実の諸問題に翻弄されるようにもなったと思います。
つまり活動を続けていくだけでも様々な苦労があると思われますが、それにくわえて常に先へと進んでいこうとしているのは凄いなという小並感な感想でした。
Lir.Eの今後も楽しみです。