見出し画像

1年かけて毎月300人が8000時間ボイスチャットで遊ぶゲームコミュニティをdiscordでつくってみたので、盛り上げながら維持管理するためのコツをまとめた。

誰向けの記事か?

discordを利用して100人以上が活発にゲームを遊ぶ場所をつくりたい人向け

コツまとめ

  1. 対象者を絞るとき、他の募集との違いを出す

  2. ひとつのdiscordサーバで活発に遊べる人数は40人前後まで。それ以上ならサーバを分割する

  3. 問題がおきたときに「ルールを追加」で解決しない

  4. 人間関係の揉めごとが起きるので、噂話だけは禁止する、DMも推奨しない。

  5. 管理人は仲良く遊ぶことをあきらめる

  6. 運営方針に納得していない人もサーバで遊び続けることを知っておく

  7. 引き抜きや特定の人達だけで個別のdiscordサーバをつくって遊ぶことを歓迎し、囲いこまない

  8. 参加者にほとんどのdiscord権限を解放する

  9. 管理方針に一貫性を求めない、一貫性を求める人に対して説明しすぎない

  10. 大会運営をやりすぎない

  11. 退会処理を行う理由を理解する

  12. 「やったほうがいいこと」はたくさんあるが、やることのデメリットを理解してない意見も多いことをふまえる

  13. 参加者からの意見を聞く機会をつくる

どんなゲームコミュニティか?

41歳前後がスプラトゥーン3を遊ぶサークル「イカ41」(リンク先は入会案内ページ)

特徴1:参加者を41歳前後に絞っている

特徴2:複数のdiscordサーバを利用して、用途別に必要なサーバだけ利用できる

サーモンラン専用、真夜中に遊ぶ、通話なし、初心者だけ、など。

イカ41を学校に見立てている図

特徴3:discord未経験、ボイチャで遊んだことない人も参加しやすい


コツを書く前に「ある程度うまくいってるように見える」という話を書く。

うまくいっているように見える情報1:参加者数や活動量の推移(定量)

・discordのstat.botを利用して毎週定点観測している

過去半年の活動人数、ボイスチャット、テキストチャット数推移

・discordに所属している人数ではなく、1ヶ月に活動した人数が300人
・スプラ3の勢いは落ちているが、41歳前後の300名が7000時間前後遊んでる

直近の満足度アンケート 100名前後の回答結果

・他人に勧めたい場所=満足している場所、と考えている

うまくいっているように見える情報2:参加者アンケートコメント(定性)

・入会を検討している人への参加者からのメッセージを紹介する。好意的なアンケート結果のみとりあげている。問題点は後ほど書く。

・チームへの参加もディスコードもボイスチャットも、どれも初めてでした。どれもハードル高いですよね!でも誰かと一緒に遊んでみたいと思い、勇気を出して飛び込んでみました。最初はボイスチャットしながらのプレイが無理過ぎてずっと無言でしたが、チームのみなさんが温かく見守って下さり、その後もみなさん変わらずに優しいままなので、とても居心地が良いです。

・Twitterで知り合った人と何度か遊んだことはあったのですが年齢差とかウデマエ差で嫌な気持ちになった事があったので、イカ40のチームを見つけた時も人数も多いし、腕前も高くない私が入っていいのかな…と。怖くてどうしようか。と数ヶ月実は悩んでました。でもここのみなさまは優しく、ボイチャでもキツイ言葉を使う人とは今の所当たったことも無くほんとにいい人達ばかりでもっと早く入っていたら良かったなー!!!と心から思うので自信をもってオススメしたいチームです。

・discord初心者には事前アンケートがあり最初に参加するイベントを企画してくれます。一度入れたらハードルは一気に下がりますよ〜私はスプラ1からやってますが、3でようやくチームに入れましたw

・入会して間もないですが、運営やシステムがしっかりしていて、入会している方達も常識的な人が多いように感じます。運営がしっかりしすぎてて、逆に運営側が運営辛くてチーム自体を止めます!みたいな感じにならないかと心配です。1歩踏み出してチームに参加できれば、あとはサポートもしっかりしてますし、困れば相談にものってくれますので安心してゲームも楽しめる環境と思います。

・初めてのことはとても怖いし迷いますよね。チームに加入するというのも、初めての方は何度も「どうしよう…ここ入りたいけど…でも合わなかったら気まずい…どうしよう…でも入ってみたい…」がループしているのではないかなと思います。実際わたしがそうでした。何週間も悩んで、一歩踏み出した自分を今は褒めてあげたいです。笑イカ40じゃなければすぐに退会していたかもと思えるくらい、とても雰囲気の良いチームだと思います。

・チーム参加はおろか、オンラインで誰かと繋がってプレイをすること自体にずっと抵抗があり、スプラ3を始めるまではSwitchのフレンドはリア友1人だけでした。でも、勇気を出してイカ40に参加してから、「誰かとするスプラはこんなにも楽しいのか」と驚きました。初めてイカ40で遊んだ日、一緒にプレイした方がフレンド申請をしてくださって、それがすごく嬉しかったのを覚えています。

入会案内ページにもっと大量のコメントがある

このコミュニティを立ち上げて管理している人の情報

・2022/9段階では、discordをつかったことがなく、ボイスチャットでのゲーム経験もほぼない
・スプラ2を一人で遊んでいたが、3で同じことをやっても仕方がないので、ボイスチャットで遊んでみようと考えた
・同世代の集まりがみつからなかったので、自分でやってみることにした

--- ✂---ここから「盛り上げながら維持管理していく方法---✂---

コツ1:対象者を絞るとき、他の募集との違いを出す

・すべての基本はこれ
・40歳前後でスプラ3で遊びたい人が集まる場所が他になかった
スプラ3のサークル募集サイト「イカナカマ」を見てもらうと分かるが、ほとんどの募集は「自分が集めたい人」で対象者を絞っている。他の募集も似たテーマで募集していると、新規集客が難しくなる。
・スプラ3のサークルをつくりたい場合は、上の「イカナカマ」で他の募集を見ることができるので、「違い」を作りやすい

コツ2:ひとつのdiscordサーバで活発に遊べる人数は40人前後まで。それ以上ならサーバを分割する

・参加人数が増えてきたときの問題点は、ご新規の人が遊びにくくなること
・ひとつのサーバの参加者数を増やすと、活動人数に限界がくる

・よって、ひとつのdiscordサーバに100人前後が所属し、40人前後が活発に遊ぶようになったら、サーバを分割していった

具体的な例を書く。

最初に作成したサーバが70人を超えるまで1ヶ月

・2022/9/18に募集を開始し、1ヶ月程度で70名に達した
・新規入会者数は減らないが、これ以上サーバにご新規をいれてもなじめないと判断

そこでサーバの分割を考えた。まったくゼロから「41歳前後で遊ぶサーバ」をもうひとつ作り、そこにご新規を入れていく。こんなイメージだ。

赤もすぐに人数が増えたので、「イカ41(空)」を新設した。

3つのサーバの毎週のボイスチャットの合計時間推移だ。

白、赤、空はなんでも遊べるサーバだが、途中で「シャケ41」という、サーモンラン専用のサーバを新設している。テーマ別のサーバが新設された瞬間だ。

サーモンラン専用サーバのボイスチャット時間もいれると推移はこうなる。参加者がそれぞれのサーバを使い分けながら、全体の活動量としては少しずつ増えている様子がわかると思う。

10/10まではボイスチャットのデータを取得してなかった

そのままいろいろなサーバが増えて今に至る。10ヶ月前後でサーバの種類を増やしながら、全体としての活動量が緩やかに増えている。

コツ3:問題がおきたときに「ルールを追加」で解決しない

・特に「〇〇は禁止」のようなルールは極力作らない
・禁止された内容は、9割以上の人にとっては当たり前のこと
・ルールを書くことで守れる人は、もともと禁止されるような内容を実行しない
・禁止される内容を実行してしまう人は、ルールを読まない。もしくは自分の行動がルールに反していると理解していない
・よって、禁止ルールを増やしても「堅苦しさ」を増すだけで、効果を発揮することが少ない
・ルールを設定するのではなく、何かしら問題が起きそうな場合は、管理人が個別に指摘する

コツ4:人間関係の揉めごとが起きるので、噂話だけは禁止する、DMも推奨しない。

これは他のサーバ運営者に教えてもらったルールだ。

ルール1:ボイスチャットにいない人の話はしない

噂話が揉めごとの要因になりやすい。その場にいない人の話ばかりしているようだと、ご新規も参加しにくいし、良いことはない。

ルール2:メンバー同士のDMは公開されてもよい内容で

DMも、噂話と同じく、間接的に話が伝わったりして、揉めごとがおきる。公開される前提でやりとりを推奨する

DMが公開されるときは、どんなときか?例をあげる。

・A(仮に男性とする)がB(仮に女性とする)にDMで言い寄ったり、口説いたりするような行為をしている
・Aは公開の場ではそういうことをするような印象を持たせないが、DMではそういうことを特定の人に行っている
・Bが管理人に対して、Aからこういうことをされている、という相談をうける
・管理人としては、B側の意見だけでなく、A側の意見もきくことになる。B側が一方的な偏った見解を持っている可能性もあるため
・大抵は、A側にきくと「そういう意図はなかった」みたいなことになる。
・このときの納得度の高い解決策は、AとBのDMのやりとりを公開すること。A側にそんな意図がなければ、別に公開されても問題ない。B側も被害者であれば自分の訴えを裏付けることになるから問題ない

コツ5:管理人は仲良く遊ぶことをあきらめる

・人数が増えてきたら、管理人が特定の人とだけ遊ぶことが派閥をつくったりして、良からぬ方向にいく
・人数が多いコミュニティを運営したいなら、全参加者と等距離の人間関係を保つほうがよい
・もともと自分も楽しむためにサーバ運営を開始した人も多いかもしれないが、一定数以上の規模になったら、自分が一参加者として遊ぶことは難しい
・自分も遊びたいなら参加人数を増やさなければいいだけ

コツ6:運営方針に納得していない人もサーバで遊び続けることを知っておく

運営方針に反対だったり、価値観がちがっても、残り続ける人が一定数存在。自分だったら方針に反対だったらそのサーバを去るので、気づかなかった。方針に反対でも他と比較すると遊びやすいとか、既に仲良くなった人がいるとか、いろんな理由があるだろう。

コツ7:引き抜きや特定の人達だけで個別のdiscordサーバをつくって遊ぶことを歓迎し、囲いこまない

・ある程度参加者の新陳代謝があったほうがいいので、参加者を囲い込まないことが大切
・個別に仲良くなった場合は、その人達だけでサーバをつくり、勝手に遊んでもらうことを推奨している

コツ8:参加者にほとんどのdiscord権限を解放する

・イカ41では、チャンネル作成権限や、イベント機能等、ほとんどの権限を全員に解放している
・たまに間違う人もいるけど、その場合もすぐに誰かが修正してくれるから大事故には至っていない
・管理業務の負担が減る
・自分では思いつかないチャンネルができたりして、それが活性化のヒントになったりする

コツ9:管理方針に一貫性を求めない、一貫性を求める人に対して説明しすぎない

・その場の思いつきで実行したことから面白いものが産まれることもある
・自分が持っている情報が変わったとき、それを知らない人からすると判断基準が変わっているように見えるが、そういうもの
・一貫性がないことを指摘してくる参加者もいるが、「一貫性があることが正しいことだ」というのは思い込みに過ぎないので、そのように回答する
・「一定のゆらぎ」に新しい何かが生まれる機会が眠っている

コツ10:大会運営をやりすぎない

・特にスプラ3においては、インターネット上で「大会」の開催頻度が大きい
・参加者の中には大会参加を望まない人も多いし、誘われて断りにくい人もいる
・以下のようなガイドラインをつくっている。ガイドラインなので守らなくてもよい
・大規模な大会をやる場合は、チームを直前発表にして、事前練習などを減らして参加者の負担を減らす
・人数少ない大会なら、好きにやってもらって良い

コツ11:退会処理を行う理由を理解する

・イカ41は非公開のサークル。まったく活動していない人に見られている気持ち悪さを回避するため、活動していない人は退会してもらっている

退会処理を行う条件

  • イカ41すべてのサーバにおいて、直近30日のボイチャ、テキストが0

    • どこかのサーバで1回でも書き込みやボイチャ参加があればOK

    • 対象者には、シークレットチャンネルを作り事前告知、リアクションがない場合は退会処理

閲覧だけで楽しんでいる人を確認する方法がないため、退会前にリアクションだけしてもらうことにしている。

コツ12:「やったほうがいいこと」はたくさんあるが、やることのデメリットを理解してない意見も多いことをふまえる

参加者からいろんな意見が出てくるので、取捨選択をするためにどうするか。

  • すべての施策にはメリットデメリットがある

  • 今の方法のデメリットと、新しい方法のメリットだけを比較しても意味がない

  • 今の方法のメリットデメリット、新しい方法のメリットデメリットを全部並べて比較する

    • 実際には、それらは数字で誰もが納得できるように優劣を比較できないことが多い

    • 結果として誰か(今回の場合は管理人)の感覚的な判断に依存することになる

  • この前提を理解しないままの意見は、「自分に欠けている視点を得る」という意味では参考になるが、実現するために取り入れることは難しいことが多い

    • アイデアに対して「そんなことはわかってる」という感想が瞬時に出てくることは誰しも経験があるはずだ。

    • 繰り返しになるが、「自分に欠けている視点を得る」という意味では参考になるのでありがたい。ただ、あくまでヒントであって、そのまま実現するようなものではないことが経験上は多い

コツ13:参加者からの意見を聞く機会をつくる

・フォームによるアンケート
・管理人がボイスチャットで遊び方を聞く
の二つを行っている。

定期的にアンケートをとって、全部に回答している(意見を反映するとは限らない)

こんな感じで回答している。

ご意見と回答の例

ボイスチャットで30分ぐらい、協力者を募って遊び方をヒアリングするのも有効

google フォームで募集した。結構ヒントがあった。

運営してみてよかったこと

ゲームの上達速度が早まる

スプラに関するいろいろな情報が集まってくるので、知識のアップデートに役立つし、一人でやるより明らかに上達速度が速いように感じる

自分以外の人の発想が面白い

・親子で遊ぶサーバや、50人ぐらい集まって5つのプラベが同時並行で開催される「懇親会」等、参加者が自分たちで企画して実行してくれるものが増えている。自分にはない発想の企画が動いているのが見ていて面白い

ゲーム友達が増える

ゲームだけする同世代の友達をいまからつくるのはかなり難しい。観察している限り、そういうつながりがたくさんできていて良いことだ。

同世代にお勧め漫画とか聞ける

スプラ以外の話をするチャンネルもある。漫画は参考になった。

40年続けるという目標ができた

去年は「イカ40」で40歳前後が遊ぶサークルだった。今年の正月に「イカ41」に改名し、毎年1歳ずつ年を取る設定にした。40年後、80歳前後になってみんなでゲームをする未来を目指していて、そういう先の楽しみがあるのは面白い。公式なオフ会も40年後までやらない予定。すでにイベントはたてている。

運営してみて大変なこと・課題とか

いろいろ書くけど、そんなに困ってない。

サーバ運営業務に割く時間がたりない

「管理人を他に募集したらいいのでは?」等のアイデアはでるが、上に書いたような「コツ」がすべて言語化されているわけでもなく、私が感覚で運営しているため、分業が難しい。管理人個人の特徴として仕組み化が苦手という問題もある。

運営方針に関して、参加者に説明するのが大変

できるだけ判断基準を公開して納得してもらえるようにしたいが、それに割く時間がとれなかったり、上手く説明できなかったりする。

各参加者の「善意?」に頼っている部分があり、綱渡り

例えばご新規歓迎用のサーバがあったとしても、そこでご新規の方と一緒に遊んでくれる人がいつもいるとは限らない。discordの質問にいつも誰かが答えてくれるとは限らない。管理人の私が全部できるわけもなく、いまのところはなんとかなっているが、こればっかりは継続できるのかわからない。

情報整理等ができない

総合案内ページとかあるけど、私が情報整理が苦手で、うまくできてない。

イカナカマに集客を頼りすぎ

「イカナカマ」というスプラのチーム募集サイトからの参加が多い。ただ最近は一定の規模になってきて、知り合い経由で紹介されて参加する方も増えてきている。


以上です。

同じようにdiscordサーバを運営している方と情報交換したいので、ぜひご連絡まってます。Xのアカウントはこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?