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ネガティブ・ケイパビリティを考えるヒント⑦ ~Beingによるリーダーシップ~

「弱い力=ヴァルネラブル(vulnerable)」という語句は、コロナ禍において、当時ニューヨーク州知事であったアンドリュー・クオモの言葉を通して、一般に広まっていった。クオモは、重篤な病を抱える人、高齢者、経済的な理由で身を安全な場所におけない人たちのことを、「弱い人(ヴァルネラブル・パーソン)」と呼んだ。そして、そういった社会的弱者を阻害しない世界、手助けを必要としている人たちをネットワークの中で守ってく世界が、ニューノーマルであると言い、未曽有の困難を乗り切ろうとした。その時、クオモは、これら5つのクレドをもってニューヨーク市民に呼び掛けた。
 
1.タフであること(tough)
2.賢明であること(smart)
3.規律を守ること(disciplined)
4,歩調を合わせること(united)
5.愛を忘れないこと(loving)
 
これら、5つのクレドを見て、気付いたことはないだろうか?これらの言葉のなかに、1つも「○○しよう」という行動、つまりDoingは含まれていない。Doingの羅列が行われると、必ず、この行動は正しい、この行為は正しくないなどの「正義の対立」が起こる。Beingは、状態の維持を目的として、Doingに先立つ規範やあり方を示している。これなら対立は起こらない。すべてが並行状態で充たされる。これがニューノーマルの時代の新たなリーダーシップなのかもしれない。

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小林範之
最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。