顧客層の違いから、モバイル通信単価の下落の仕方に明らかに違いが出ている話

どうもこんにちは!

色々な企業の決算を読んでいると面白いと思うポイントや資料を見かけることがあります。

なので、これからは週に1回くらいのペースで面白い資料やポイントだけに絞った短めの記事を書いていこうと思います。

今回の話はモバイル通信単価に関する話です。
楽天モバイルの参入や政府からの要請もあり、2021年3月にモバイル通信の大手各社とも格安のプランを導入しました。

その結果ここ数年でモバイル通信の顧客単価は下落していますが、通信会社の顧客層の違いによって、その下落の仕方には各社で差が生まれています。

そこで、問題です。
大手3社でモバイル通信単価の下落率が遅い順に並べると?

さて、その答えですがドコモの出している通信単価に関する資料を見てみると、通信単価の下落が最も遅いのがドコモで、最も大きく下落したのがソフトバンク(B社)、その中間がau(A社)となっています。

結構多くの方が当たったのではないでしょうか。

auに関しては2022年3月期あたりまではソフトバンクと同じように通信単価が下落していましたが、他社に先んじて下げ止まっており2023年度には上昇傾向となっています。

ソフトバンクも2023年度に入ってからは下げ止まりましたが、ドコモは下げ止まっていません。
下落率や下げ止まる時期なども各社で違いが出ています。

ちなみに、各社とも徐々に通信単価が下落していますが、これはやはり徐々に低料金プランへの移行が進むためです。

有名な理論にイノベーター理論というものがあります。
ここでは詳しくは触れませんが、めちゃくちゃざっくり説明すると大多数の人に新しいサービスが普及するのは時間がかかるという話です。

新しい低価格で絶対的にお得な料金プランが出ても、心配だとか手続きが面倒だとかで意外と人は動きません。
なので情報が出そろってから徐々に移行が進んでいくわけです。

徐々に通信単価が下落している点を見ても、こういった新サービスの普及は一気に進むわけではない事が分かりますね。

さて、改めてもう少し詳しく各社の通信単価の推移を見ていきましょう。
2021年3月期と2024年3月期の各社の通信単価を比較してみます。

モバイル通信単価(2021年3月期→2024年3月期)
ドコモ:4280円→3930円(▲8.18%)
au:4400円→3959円(▲10.02%)
ソフトバンク:4290円→3740円(▲12.82%)

このように下落率に差が生まれている事が分かります。

そして2024年3月期時点ではモバイル通信単価に関してはauとドコモは同程度となっており、ソフトバンクは他社と比べて200円ほど低い水準です。

ソフトバンクが他社と比較して単価の下落が大きく、そして単価も低いのには、その顧客層が関係している事は想像できると思います。

ソフトバンクは、iPhoneの取り扱いによって拡大してきましたから、新しいものを受け入れるユーザーが比較的多いはずです。
さらに、そもそもソフトバンク自体が後発組ですから他社からの移行をしてきたユーザーも多いでしょう。

なので、低料金のプランへの移行や、楽天モバイルなどのより低価格の他社への移行も他社と比べ多かったと考えられます。

一方でソフトバンクより以前からモバイル通信を展開するドコモやauではこういった移行が進まないユーザーがより多く、同程度の単価となっているのは面白いですね。

とはいえ、通信単価はauとドコモは同水準ですが違いが表れている側面があります。その1つが解約率です。
2021年3月期→2024年3月期の推移を見てみると以下の通りです。

解約率(2021年3月期→2024年3月期)
ドコモ:0.48%→0.67%
au:0.58%→1.05%
ソフトバンク:0.93%→1.13%

解約率はauの伸びが最も大きいです。
以前はソフトバンクが明らかに高かったですが、auも2024年3月期にはその水準に近付いています。

ドコモと単価は同程度となっていましたが、auユーザーの方が他社サービスへの移行は多いという事ですね。

そしてもう1つ、先ほど見たように下落スピードに関してもドコモと比べてauの方が早かったわけです。

その点を考えてもauの方が、新サービスの受け入れが早いユーザーは多かったと考えられます。

ドコモはもちろんNTT系ですから、国有企業だったわけで以前からその安心感で長期間契約している保守的なユーザーが最も多いと考えられます。

最近は楽天モバイルも参入シェアを一定程度伸ばしていますが、業績面を考えてみると、単価の下落も遅く、他社への移行したがらない保守的なユーザー多い、ドコモが通信関連の事業に関してはシェアや高収益を維持できる可能性が高く、ソフトバンクが最も移行が進む可能性が高いという事ですね。

想像の通りかと思いますが、このようにドコモが最も保守的なユーザーが多く、au、ソフトバンクと続いているというのが、通信単価の変化を見てみると分かるというのが面白いと思いましたので、今回はそんな話を取り上げてみました。

ちなみに楽天モバイルに関しては通信単価は他社の約半分ほどで、解約率も高いです。
とはいえ、解約率は低下傾向にはあり、契約数も増加していますから今後の推移には注目です。


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