仮題 ドリスの紡ぐ言葉、パレットの色
昔見た映像の中でドリスは、こう言っていた。
服はその人の語る言葉、その人の生活を彩るパレットの色のようなもの。
ドリスの服はいつも詩情に溢れていて、
音楽が聴こえてくる。それは時にゲーテであり、ノヴァーリスであり、コクトーであり、クラシックであり、ジャズであり、ロックであった。
ドリスの作品を纏うと、なぜか穏やかな心地になれる。
それは私を守る鎧というようなものではなく、常に肩の上で私をみまもる精霊とでもいったような。
だからドリスを着ているひとやドリスの作品を選んでいる人々の眼差しはいつも優しさに満ち溢れている。まるで色とりどりに咲く花畑の中にたたずんでいるかのように。
ドリスのショウを会場でライブで見たことはないが、動画やルックブックで見るショウの様子からは、ドリスのショウはまるで子供時代にはじめて見たサーカスや、遊園地、映画館や植物園に行ったときのように映った。まるで作品たちがそのショウの思い出をきりとってうつした印画紙のように、ときにほろ苦く、ときに微笑みを伴って私に迫ってくる。
ドリスはかくもうつくしくいとしい。
いつかファンレターを書いて送ってみよう。
6月のその後に。