月考
昨日は、月食だった。
しかも満月の日。
下半分くらいまで見えて来た月をながめていると、光の強さからか、左右と下部の輪郭がゆらぎ、残像を残し、まるで蓮の花ひらく様のように見られた。
そしてその半分が全体になり、とうとう満月になった。完全なる円相。
光のゆらぎは徐々に消え去りしっかり丸くなり、急に兎があらわれ、首をかしげ、月に戻った。
雲のなかをぎょろりと浮かぶ月は、ときに蕭白の龍の目になり、蘆雪の虎の眼になるが、
昨日の満月の前日は、まるでジュリアン・オピーだった。
毎夜あるが、毎夜ちがう。
その様を和歌や俳句に詠みつづけるのも一興一興。
譲りうけた和歌軸に、このような一首があった。
小山田に暁かけてなくしかの聲する方に月ぞかたぶく
この歌をよすがに月を愛でる心をやしないつつ。
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