カタールW杯組み合わせ決定!日本代表が解決しなければならない課題
日本時間4月2日午前1時に2022カタールW杯の組み合わせ抽選会が行われ、日本はグループEに入り、スペイン、ドイツと同組になりました。さらに大陸間プレーオフで、ニュージーランドとコスタリカの勝者がグループEに入ることになりましたが、プレーオフの結果、コスタリカが勝利し、日本はドイツ、コスタリカ、スペインとグループリーグで戦うことになりました。
2018W杯でスペイン、ポルトガルのグループにイランが入ったことを思い出していました。スペイン、ポルトガル、イラン、モロッコのグループBでイランは1勝1敗1分(勝点4)でグループリーグ敗退しています。
この時スペインとポルトガルが勝点5で突破したことを考えると日本がグループリーグを突破するためのボーダーラインは勝点5。つまり、スペイン、ドイツを相手に勝点4を積み上げておかないと日本のグループリーグ突破は難しくなるでしょう。
今回はグループリーグ突破のために日本代表が解決しなければならない課題について考えます。
1.選手層について
カタールW杯でグループリーグを突破しベスト16の壁を破るために、改めてアジア最終予選で招集された日本代表メンバーを振り返ってみたがスタメン組とベンチ組の差が明らかなのは気になるところです。
中盤3選手の代役不在
4-3-3にした時の中盤の3枚、遠藤航(シュトゥットガルト)、守田英正(サンタ・クララ)、田中碧(デュッセルドルフ)は代えが効かない。特に遠藤選手と守田選手が抜けると中盤が機能しなくなったのはカタールW杯出場権を獲得し、消化試合となった最終戦のベトナム代表との試合を見ても明らかだった。
スタメンを固定して仮にグループリーグは突破出来たとしても決勝トーナメントを勝ち抜けないのは東京五輪で痛いほど感じている。この時は4-2-3-1だったが、ダブルボランチを遠藤選手と田中選手で固定していた。連戦での疲労蓄積もあり、準決勝、3位決定戦のパフォーマンスはいつもと比べても格段に落ちていた。
中盤は運動量と球際の強さ、場面によってはイエローカード覚悟のプレーを選択することが求められる。ドイツ、スペインとの試合に遠藤選手、守田選手、田中選手の中盤3枚を同時起用できないと厳しくなってしまうことが予想されるが、フル出場できる保証はないので同タイプの選手を新たに発掘する必要がある。
常連メンバーの中から選ぶなら板倉滉選手。2021-2022シーズンに所属していたシャルケではセンターバックにくわえてボランチでもプレーしていたので選択肢の1つとなってくるでしょう。原口元気選手も所属するウニオン・ベルリンではインサイドハーフでの起用も増えているので試してもらいたい。
新戦力を発掘するなら、川辺駿(グラスホッパーズ/スイス)、井手口陽介(セルティック/スコットランド)、齋藤未月(ガンバ大阪)の3選手を上げたい。今後の活躍次第になるが現代表のチームコンセプトに合ったプレーは出来ると考える。
エースストライカー不在
これまで1トップは大迫勇也(ヴィッセル神戸)が起用されていたが、ポストプレーはドイツを相手に通用しないだろうから攻撃の戦術変更は必然となった。FWに関しては当確選手なし。それだけ決め手にかけるのは得点力不足が大きく影響している。
大迫選手を筆頭に、浅野拓磨(ボーフム)、古橋亨梧(セルティック)、前田大然(セルティック)が軸になってくると思うが、オナイウ阿道(トゥールーズ)、上田綺世(鹿島アントラーズ)、林大地(シント・トロイデン)、原大智(シント・トロイデン)、田川亨介(サンタ・クララ)などクラブで結果を出しているフォワードならチャンスは巡ってくるだろう。
4-3-3が基本フォーメーションになりつつあるので1トップとして考えるより3トップで考えた方が良いかもしれない。センターはボールが収まってヘディングの強い選手が入るのは理想ではあるが、3枚ともスピードタイプの選手を並べても良い。
むしろ守備重視の戦術からカウンターを仕掛けるなら割り切った采配も出来るはず。そうなると日本の誇るスピードスターとして、永井謙佑(FC東京)、宮市亮(横浜F・マリノス)の一芸枠の選手がサプライズ選出される可能性も出てくる。
2.フォーメーションについて
フォーメーションに選手を当てはめるのか、起用する選手によってフォーメーションを決めるのか。
4-2-3-1から4-3-3に変更した時は「起用する選手によってフォーメーションを決める」方に比率は傾いていたが、現在の日本代表は「フォーメーションに選手を当てはめる」方が比率は高いと見ている。
4-3-3でスタートして試合展開や選手交代で4-2-3-1にシフトするようになってきているが、「フォーメーションに選手を当てはめる」戦い方が今の日本代表だと思う。
4-3-3
日本代表の基本フォーメーション。ただしスタメンの顔ぶれがある程度固定されてしまうので対策されやすい。ドイツ、スペインを相手にするなら守備戦術がしっかりしているシステムを採用し、前半をスコアレスで折り返して後半勝負もゲームプランの1つだ。中盤で奪ってからのショートカウンターが最も威力を発揮するが、攻撃の枚数が少ないため個の力に頼る部分が多いのが難点でもある。
4-2-3-1
1番バランスの取れているシステムだが、アジア最終予選でも対策されて全く機能しなかった。1トップに縦パスが入るとセンターバック2枚で囲まれて潰される。ボランチとディフェンスラインの間で起点を作られてプレスが機能しない。といった問題が解決できないと現状のままでは同じ失敗を繰り返す可能性が高い。
3-5-2
4バックが主流だが本来の日本代表に1番合っているシステムと私は考える。近年は「3-4-1-2」と表記されることもあるが、守備では5バック気味にして守りを固め、攻撃では絶対的な司令塔をトップ下に配置し、攻撃にかける人数は少なくてもカウンターでしっかり点を取るスタイルが世界の強豪国を相手にする時は有効ではないだろうか。
各フォーメーション毎に考察してみると、基本フォーメーションは結果が出ている「4-3-3」になるだろう。オプションとして「4-2-3-1」ウルトラCとして「3-5-2」まで準備することが出来れば、グループリーグで番狂わせを起こすことだって夢ではない。
3.あとがき
中盤3選手の代役不在、エースストライカー不在、基本フォーメーションの3つを上げて、カタールW杯までに日本代表が解決しなければならない課題を明確にしました。現場レベルになればもっと多くの課題が存在していると思いますが、客観的に見ただけでもこれだけ上がってくると不安になります。
2022カタールW杯は11月21日開幕のため準備期間は半年間程度です。異例の冬季開催ということで、欧州はシーズン真っ只中、Jリーグはシーズン終了後という中で、海外組と国内組のコンディションの差も従来のW杯とは異なる調整が必要になるでしょう。
そのために残り少ない代表活動期間の中で、W杯に向けてチーム作りをしなければならないですが、これまで積み上げてきたものにこだわるのではなく、W杯で結果を残すことができるメンバーを集めて戦ってほしいですね。