FIFAとワールドカップ・サッカーを調べている
FIFAに関する記述はネット上には意外と少ない。仕方なく区立図書館の検索をかけたら書籍は沢山あるので、片っ端から借り出した。
オリンピックのIOCは調べていたが、FIFAやサッカーは手付かずであった。まず『電通とFIFA~サッカーに群がる男たち~』(2016年、田崎健太著、光文社新書)を読んでみた。
デンツーの高橋治之(たかはし・はるゆき)という人物が登場する。「長銀をつぶした男、高橋治則、イ・アイ・イグループ総帥」の兄である。「ペレ・サヨナラ・ゲーム・イン・ジャパン」を成功させて、電通スポーツ事業局の中心人物となり、FIFAのアベランジェ会長や次のブラッター会長とも遣り合っていた人物だ。
イーズカがデンツーに居たのは1989年から1994年までの5年間なので、ちょうどその時期の話が展開されていて面白かった。ただコチラは単なる契約社員だったので、デンツーの中枢部で何が進行していたのかは、当時は分からなかった。
デンツーを辞めてから、偶然に2002年日韓共催ワールドカップのイタリア戦のチケット販売に関わったので、この本に書かれている内容も外から見ていた。
彼は2001年に常務、2007年には専務になっている。
デンツーがアディダス社の2代目ホルスト・ダスラーと共同出資で誕生させたISL(インターナショナル・スポーツ・アンド・レジャー)の仕掛人でありながら、具体的な活動からはパージされてしまう。猜疑心の塊であるホルスト・ダスラーに嫌われたようだ。
アディダス社というのも不思議な会社で、創立者のアドルフ・ダスラーは靴職人で、そのクツをベルリン大会の100メートル優勝者ジェシー・オーエンスに提供したのは、息子のホルストだった。息子はアディダスの3本ラインをオリンピックを活用して世界ブランドに押し上げた。家内制手工業のような靴屋が、一気に世界ブランドとなったような歪さを抱えていた。
その経営陣には、ホルストの姉妹が入り込みホルストの監視役のようになっていた。
ISLは1982年に設立され、ワールドカップサッカー、オリンピック、世界陸上の3大権利を保有していたが、1987年ホルストが51歳で病死して、テニスやゴルフにも手を出した多角経営が裏目に出て、2001年に倒産してしまう。
IOCはISLと契約解消し、独自にマーケティング戦略を進めるようになり、FIFAはアベランジェ会長とブラッター会長にまで捜査が及び2015年FIFA汚職事件で全員がFIFAを辞任している。
世界のスポーツ界においてオリンピックとワールドカップサッカーは抜きん出たイベントだが、IOCは東京大会の強硬姿勢で威信を失いつつあり、2024年パリ大会と2028年ロス大会は決まっているが、その後に開催できる保証は無い。
ワールドカップサッカーも2022年カタール、2026年カナダ・アメリカ・メキシコ共同開催大会までは決まっているが、その後は未定である。
アディダス社はフランス人実業家に買収され黒字化を果たすが、その方向性は明確ではない。デンツーは株式上場によって管理化が進み、異能の社員を失ってコバンザメ商法に堕している。
オリンピック利権とサッカー利権は確実に残るだろうが、そのプレーヤーの入れ替わりは激しく、2030年以降の動きはまったく読めない。
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