高級クラブから呼ばれた
水曜日は家でカレーを作っていた。ハーブカレーである。ハーブを10種以上、カレー系スパイスを20種くらいは放り込んでいる。いつも10人前をズンドウ鍋で一気に作る。
このズンドウ鍋はオカマのキャサリンから貰ったのだが、厨房用のモノなので本当に使いやすい。
カレーをタッバに入れて冷凍庫に仕舞おうと思っていたら、スマホにメールが入った。
はるみママからで「今夜、来てほしい」という内容である。「ヒマだが、15日までカネがない」と返信したら、支払いは15日以降で構わない、という。
彼女とも、もう20年以上の付き合いである。真理子ママの店でちいママをやっていた。真理子ママが亡くなった時は、ショックでふさぎ込んでいた。
真理子ママは夕張出身で、イーズカが短パンで行くと「そうよ、こんな足のオトコたちが炭鉱にはウヨウヨ居たのよ」と喜んでくれた。
イーズカは肉欲派の「肉体派」なので、この手のママたちからは歓迎されていた。カラオケでは歌いながら踊りまくっていた。
歌も体力で歌う、忌野清志郎やクレージー・ケン・バンドが多い。踊れる曲と、日本語に直訳しやすいラブ・バラードを得意にしていた。英語直訳カラオケを十八番芸にしていた。
マンハッタンズの曲を「俺には、オマエが嫌いそうな友達がたくさん居るんだ」と語り出し、「キスして、アバよっつって別れようぜ」とコブシを効かせて演歌のように歌っていた。
カレーをタッバに入れ、真っ赤なシャツとドギツイ緑色のパンツで出掛けた。上着は玉虫色のウエストサイズのペラペラなジャケットである。
レディース・ジャケットかと思ったが、サイズもボタン位置もメンズである。
入店と同時にはるみママが絶賛してくれた。「こんな色が着こなせるのは、日本中にイーズカちゃんしか居ないと思うわ」とのことである。
深い「赤と緑」はクリスマス・カラーであり、まだ半年ほど早い。
早苗ちゃんも「ホントに感心するわ」と大笑いしてくれた。日々是プレゼンであり、店に対して常にサブライジングを提供しなくてはならない。クラブの常連としては、手が抜けない。
清志郎がインタビューで「ステージに立つときは、ド派手にしないと、すぐに手抜きしたとか言われるので、大変なんだ」と言っていた。よ~く分かります。
ファッション談義で盛り上がったあと、自粛期間中の話になった。はるみママが「休業中にも店の換気で時々来てたけど、なんか忘れてるなあ、と思ったら、ブラジャーするのを忘れてた」で大爆笑である。
「再開した時も、しばらくやってなかったので、眉毛ってどう描くんだっけ、と迷ったわ」とオチが続く。
そして自粛解除後の感染者が歌舞伎町でまとめて発生し、それもホストクラブばかりな事に話題が移った。
ママたちも「ホストは歌舞伎町から出ていけ~」とデモしたい気持ちらしい。良く分かる。
ホストなどは新宿の狭いマンションに2段ベッドを詰め込んで、密集して寮生活しているようなものである。ひとりでも感染したら全員が感染する。
イーズカも歌舞伎町のジム「オアシス」に居た時に、大量のホストが入会しては退会していくのを見て来た。
まあ単なるバカの集団で、健康管理に気の回るようなヤツは皆無である。その上に無礼でマナー知らずなので、ロッカールームで何度脅しつけたか分からない。さっさと死ぬべきクズしか居ない。出来ることなら、宇宙空間に追放した方が良い。
そしていつもの婚活報告をした。最近は若い娘とばかり出会っているので画像を見せていたら、「イーズカちゃん、やけどくらいならイイけど、火だるまにはならないでね」と心配された。
このFBの作文もプリントアウトして渡したので、「あとでゆっくり読むわ。元出版社の編集で、自分の本を出した人が居るから、彼にも見せとくわ」とのことである。
楽しかったので酩酊した。翌朝の木曜日は作業量がハンパなく多いので、まっすぐ帰宅した。