スピーカー修理
静岡の実家から引き揚げたステレオセットがある。実家の25畳はあるオーディオ・ルームに置いてあったので大きく、重い日本メーカーの製品だ。
カネがある時に買ったので高級品ばかりである。特にスピーカーはオンキョーのD-77FRXという名機である。
母が介護施設に入ってからは、実家にはほとんど帰らなくなっていたので、何年も放置してしまった。
それで低音部のウーファーが壊れた。スピーカーのコーン紙は紙製なので、湿気の中に放置すると「加水分解」してしまい、穴が開いてしまった。
低音量で鳴らしている時は問題ないが、大音量にすると「ビリビリ」と、穴から空気が漏れる音が大きくなってしまう。
オンキョーの担当部署に連絡したら、ウーファー部分のみを取り外して送れば、新しいコーン紙(現在では湿気に加水分解しないような金属素材になっている)に交換してくれることが分かった。
直径30センチはあるので大きい。太い六角レンチ8本で筐体に固定されていた。
対角線上の順番で外していき、筐体に歪が出ないように慎重に作業した。コーン紙の裏には巨大な磁石が付いていて背後の基盤に2本の端子が刺さっていた。
それを外すとウーファーのみが外せる。
外したウーファーを梱包の段ボールに入れていたら、太いボルト1本と、六角レンチ1本が行方不明になった。
あんな大きなモノが何処に行ってしまったのか、と必死に探した。
見つけた時に納得した、コーン紙裏の巨大で強力な磁石にくっついていた。危うくメーカーに送ってしまうところだった。
オモシロイのでウーファーを外した状態で鳴らしてみた。高音・中音部のみの音なので、まあウルサイ。
うーむ、楽しみである。これでスピーカーを大音量で鳴らせる。アンプはサンスイのもので、会社が倒産しているので修理が依頼できない。なぜかPhono端子のみが壊れてLPレコードが再生できない。元エンジニアたちが、ネット上に修理専門にしているが高額になってしまう。
しかしヨドバシのオーディオ・コーナーで遊んでいたら、専用の増幅アンプをかませればLINE端子に接続できることが分かった。6千円そこそこでPanasonicから良いモノが出ている。これを買うことにした。
CDデッキはTEACの高級機種で底部に厚さ1センチ以上もある鉛の板が入っている。これでCD回転部の回転ムラを防いでいる。
こんなアンプとデッキなのでメチャクチャに重い。30キロを超えており、このイーズカでもあまり動かしたくない。
これで東京の部屋で2セットのオーディオ装置が使える。日本製のオーディオはコイルがぐるぐる巻きのモノが入っていて、重低音の再生が得意だ。
音のメリハリは弱いが、クラシックなどには適していて、ボーカルの声などは奥深さが伝わって来る。
最近、日本メーカーは住宅事情を反映してこんな巨大な高級機を作らなくなってしまった。修理しない限り入手できない。
静岡から引き揚げて来たレコードが数多くあるので、ゆっくりと楽しむことができる。
ああ、股間に響く重低音が楽しみだ。