宇宙業界ニュースまとめ 【2023/9/10〜9/16】
みなさん、こんにちは。
以下、2023/9/10〜9/16の宇宙業界でのニュースを振り返りたいと思います。
よろしければ、ご覧ください。
それでは本題に入りましょう!
🇯🇵 日本の宇宙開発に関するニュース
日本政府 宇宙技術戦略を策定する方向
日本は新しい「宇宙技術戦略」を策定する方向で進んでいる。
これは国内の宇宙産業の成長と競争力強化を目指して、重要な技術の選定と開発計画を明示するもの。
戦略は継続的な更新(ローリング)が行われ、その具体的な運用方法については今後検討される。
初めてこの戦略策定の進め方が議論された会合で、関係者は産業競争力向上と商業化支援の重要性を強調。
策定は2023年度中を目指し、2024年度以降の技術開発予算の参照資料として活用される見込み。
🚀 ロケットに関するニュース
ULA 第三の打上げ事業者を採用する案に賛成
United Launch Alliance(ULA)は、米宇宙軍NSSLプログラムで第三の打上げ事業者を採用する案に賛成すると表明。
現在、このプロジェクトにはULAとSpaceXが参加しており、Blue Originが新たな競争者として参入する可能性がある。
👩🚀 有人宇宙開発に関するニュース
2024年にAxiom Spaceの民間宇宙飛行士ミッションAx-3が予定
2024年初めにAxiom Spaceの民間宇宙飛行士ミッションAx-3が予定されており、元NASA宇宙飛行士マイケル・ロペス=アレグリアが指揮を執る。
他のクルーはAlper Gezeravcı、Walter Villadei、Marcus Wandtの3名。
🛰️ 人工衛星に関するニュース
Ball AerospaceはNASAから486.9百万ドルの契約を獲得
Ball AerospaceはNASAから486.9百万ドルの契約を獲得し、NOAAのGEO拡張観測衛星プログラム向けにGeoXOサウンダーを1台供給。
この赤外線機器は、西半球の大気の湿度、温度、風をリアルタイムで捉え、天候予報とハリケーンの予報の精度を向上。
GeoXOサウンダー
National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA) のジオステーショナリ拡張観測(GeoXO)衛星プログラムの一部として開発される高スペクトル赤外線機器。
この機器は、西半球上空の大気の湿度、温度、風の垂直分布に関するリアルタイム情報を提供する能力を持っている。
この技術は、気象予報の精度を高めるために使用されることを目指しており、特に数値気象予報や短期的な予報の改善、およびハリケーンの進路や強度予報の向上に貢献することが期待されている。
このようなデータは天候に関連する災害への対応を改善し、よりタイムリーかつ正確な予報を提供することによって人々の生活と財産を保護することにも寄与する。
GeoXOサウンダーの開発と統合は、多くの異なる施設で行われる予定であり、2030年代初頭にはデータ収集が開始されるとされている。
このプログラムはNOAAとNASAが共同で管理し、いくつかの商業パートナーと協力して開発と構築を行っている。
Thaicomはアジア向けの衛星を提供するためにエアバスを選定
Thaicomは2027年にアジア向けの衛星を提供するためにエアバスを選定し、エアバスは今年の静止通信衛星の受注でトップに立った。
Thaicom-10は、需要の変動に対応できるようソフトウェアにより容量とカバレッジが調整可能。
Telesat 衛星コンステレーションを計画
Telesatは2026年半ばからSpaceXのロケットを使ってLightspeedブロードバンド衛星コンステレーションを1年間で展開する計画を発表。
このプロジェクトは全球カバレッジを目指しており、2027年末までに商業サービスを開始する予定。
アマゾンのProject Kuiper 2024年までに打上げを開始予定
アマゾンのProject Kuiperにおいて、Arianespace、Blue Origin、ULAは、それぞれのロケット開発の遅れにもかかわらず、2024年までに衛星の打上げを開始する予定。
アマゾンは2026年までに半数、2029年までに全衛星の配備を完了させる必要がある。
Phase Four社のthrusterが商業衛星での試用に成功
Phase Four社のMaxwell Block 2 radio-frequency thrusterが商業衛星での試用に成功。
新スラスターはモジュール式で、大量生産にも適しており、ホールスラスターと競合する。
次世代の製品も開発中で、2024年6月に顧客への納品を目指す。
NeuraSpace 宇宙交通管理プラットフォームを提供
半年間で衛星を25基から250基へと増加したポルトガルのスタートアップ、NeuraSpaceはAIと機械学習を利用した宇宙交通管理プラットフォームを提供。
新たにDragonfly Aerospaceと連携し、その衛星EOS SAT-1の安全と効率を高める計画が進行中。
アリアンスペース 2026年に小型静止通信衛星を打上げる
アリアンスペースは2026年にIntelsat向けに小型の静止通信衛星IS-45をAriane 64で打上げる予定。
この衛星はSwissto12というスイス企業が製造し、ヨーロッパ宇宙機関の支援を受けたHummingSatプラットフォームが基盤。
Esri ArcGISをMicrosoft Azure Spaceへ統合
EsriはArcGISをMicrosoft Azure Spaceへ統合し、多くの顧客の地球観測データへの高速アクセスを実現する。
また、MicrosoftはAIを利用した地理空間データ解析スタートアップSynthetaicともパートナーシップを締結。
ArcGIS:
Esri社によって開発された地理情報システム(GIS)。 GISは地理的データを管理、分析、ビジュアライズするためのツールやアプリケーションを提供。
ArcGISは地図の作成、地理的分析、空間データの管理など、多くの機能を提供しており、企業、政府機関、教育機関などで広く利用されている。
このプラットフォームを利用することで、ユーザーは地理的な洞察を得ることができ、より効果的な意思決定や予測が可能になる。
インテルサットとAalyria Technologies 地上・宇宙間の高速通信を目指す
インテルサットとAalyria Technologiesは、2024年に地上と宇宙の間で高速データ通信を可能にする双方向光通信ネットワークの構築を目指す。
これは宇宙経済の基盤を形成することを目的としており、他惑星間とのデータ通信を改善する。
SpaceXとSES クルーズ船でブロードバンドサービスを提供
SpaceXとSESが協力し、クルーズ船向けに統合されたブロードバンドサービスを提供する計画。
最大3Gbpsの容量を提供し、SESがソフトウェアの最適化を担当。
サービスは年内に運用開始予定で、Pro(1.5Gbps)とPremium(3Gbps)の2段階のプランを検討。
KaleidEO AIを利用した画像解析に成功
KaleidEOは、AIを利用して宇宙からの画像解析に成功。
同社は自社の衛星を持っていないため、他社衛星データを利用して実証。
この技術は、災害対応や国家安全保障などに貢献するとしており、2025年には自社の地球観測衛星を4基打ち上げる予定。
🌕 惑星探査に関するニュース
ドイツがアルテミス協定に署名
9月14日、ドイツがアルテミス協定に署名し、持続可能な宇宙探査への取り組みを強化。
DLR局長のワルター・ペルツァーは、この取り組みはドイツとアメリカ間のパートナーシップを更に促進するものと位置づけている。
AFRLの深宇宙監視計画Oracleの立ち上げが延期
AFRLの深宇宙監視計画Oracleの立ち上げが延期。
2025年を目指していた計画は、プロジェクトの複雑さと予算問題から2027年に延期。
この計画は、月近くの宇宙空間にある物体の追跡と位置情報の更新を目指しており、Advanced Space社が開発する。
🪖 防衛に関するニュース
SilentBarkerミッションが静止軌道へ打上げ
9月10日、United Launch Alliance (ULA) Atlas 5 ロケットによって、National Reconnaissance Office(NRO)のSilentBarkerミッションが静止軌道へ打上げれた。
このミッションは、他国の衛星の動きを監視し、米国の安全を保障することが目的。
Geost ミサイル追跡衛星8基のペイロードを製造
Geostがノースロップ・グラマン社と契約し、米Space Development Agency(SDA)向けのミサイル追跡衛星8基のペイロードを製造する。
このペイロードは「Starlite」と呼ばれ、アルミ缶ほどのサイズ。
2025年に打上げ予定の衛星に搭載される。
米宇宙軍 商業衛星サービス利用に関する新しい戦略を策定中
米宇宙軍のチャンス・ソルツマン将軍は、商業衛星サービスを軍事活動に統合する新しい戦略を策定中で、間もなく公開される予定。
この戦略は、宇宙産業の急速な進展とその潜在力を最大限に活用する方法を提供する。
米宇宙軍 迅速な衛星打上げプログラムを開始
米宇宙軍と企業が協力し、「Victus Nox」という迅速な衛星打上げプログラムを開始。
同プロジェクトでは、警報後最大60時間での打上げ準備を目指す。
専門家は、この野心的な計画には大きな投資が必要と指摘。
中国 宇宙物体の識別や追跡を強化
中国人民解放軍は新しい基地を設立し、宇宙物体の識別や追跡を強化。
この基地は米宇宙軍の部隊と類似の役割を果たし、宇宙の状況認識を高めることで中国の安全保障をサポートする。
今後の米中関係に影響を与える可能性も。
ファイアフライ・エアロスペース急速な準備期間で打上げ成功
9月14日、ファイアフライ・エアロスペースは米軍宇宙部隊と協力し、急速な準備期間でVictus Noxミッションを成功させた。
依頼受領後、27時間で打上げを実施。
同ミッションは、急報性と戦術的な対応力の向上を目指す宇宙プログラムの一環として実施された。
💡 その他のニュース
衛星から直接携帯電話へのネットワーク提供の可能性が注目
衛星通信市場では直接携帯電話へのネットワーク提供の可能性が注目されており、地上ネットワークに接続できない多くの人々を対象とした市場価値は“1000億ドル以上”とされる。
デバイスの互換性やサービス料金の課題もあり、市場形成に時間がかかる可能性も。
ITU 宇宙の持続可能性を強調
ITUは、衛星の増加と宇宙デブリの問題に対処するために宇宙の持続可能性を強調すると述べた。
具体的な取り組みは明らかにされていないが、ITUと欧州宇宙機関が衛星の干渉問題を解決するための協力を開始。
オードリー・シェーファー氏がSlingshot Aerospaceに参画
元ホワイトハウス宇宙政策担当者のオードリー・シェーファーが宇宙データ解析企業Slingshot Aerospaceに参加。
同氏は戦略・政策部門の副社長に任命され、スペースオペレーションの安全推進と業界の発展をサポートするポリシーの進展に取り組む。
Swissto12 2800万ドルを調達
Swissto12が静止軌道(GEO)市場を目指して、小型のHummingSat衛星の製造拡大に向け、2800万ドルを調達。
UBS投資銀行とヨーロッパ宇宙機関の支援を受け、コスト削減と地域特化型サービスの提供を目指す。
宇宙上場企業 投資家を引き付ける方法を模索中
2年前に上場したRocket Lab, Redwire, BlackSkyは投資家を引き付ける方法を模索中。
2021年のSPAC合併後、株価は下落。
パネルディスカッションでは、現況と資金調達戦略に焦点を当てた議論が。 利益への道筋を示すビジネスモデルの重要性が強調された。
米国上院 SpaceXの調査を開始
米国上院は、SpaceXがウクライナでのStarlinkインターネットサービスの利用を遮断したとの報告を受け、調査を開始。
ウォーレン議員は国防省とSpaceXの契約関係を見直すよう要求。
国家安全保障に関連する問題を含め、同問題を徹底的に調査する計画。
米国防省 衛星の安全を保障する計画を議会に提出
米国防省は、GPSや宇宙通信の安全を保障する計画を議会に提出。
報告書では、敵対的行動による衛星への影響を最小限に抑える方法や、衛星ネットワークをより耐性の高いものにする取り組みについても触れている。
衛星から携帯電話への直接接続サービス 成熟には10年必要か
衛星から携帯電話への直接接続サービスに関する議論がEuroconsultのパネルディスカッションで行われた。
一部は急速な成長を予測している一方で、他方は市場の成熟には10年程度かかると考えている。
ジェネラルアトミクス EO Vistaを買収
ジェネラルアトミクスが宇宙・航空機用センサー企業EO Vistaを買収。
買収価格は非公開。
EO VistaはGA-EMSグループに統合され、2025年に計画されている気象画像衛星の開発。
同社は2013年設立で、DoDやNASAにセンサーを供給してきた。
気候変動対策の拡大が宇宙産業に変革的な成長の機会に
地球観測関係者は、気候変動対策の拡大が宇宙産業に変革的な成長の機会をもたらすと述べた。
これにはCO2や他温室効果ガスを検出、監視する技術の開発が求められる。
また、SpaceX開発中のStarshipより大型衛星のコストが削減される見込み。
非営利組織YEESS 2年で会社数を6社から15社に拡大
2021年に設立された非営利組織YEESSは、2年で会社数を6社から15社に拡大し、ヨーロッパの宇宙スタートアップの急成長を支えている。
競争を奨励し、主要契約者との連携を促進しており、ヨーロッパでの活動拡大のチャンスを求めている。
U.S. Export-Import Bank 50億ドル以上の衛星産業融資を検討中
U.S. Export-Import Bankが50億ドル以上の衛星産業融資を検討中で、今年中に13億ドルの融資が可能と見られている。
副社長のPryor氏は、特定の企業や技術を優遇しない方針を強調し、新市場への融資も視野に入れていると述べた。
NASA 未確認異常現象(UAP)について新しい取り組みを発表
NASAは未確認異常現象(UAP)の理解向上のための新しい取り組みを発表。
UAP研究ディレクターにマーク・マキナーニーを任命。
データ分析にAIと機械学習を活用し、UAPに関する議論を「センセーショナリズムから科学へ」とシフトさせることを目指す。
以上
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